『安倍政権が学ぶ「ナチスの手口」=「緊急事態条項」』(石田勇治東大教授)


山崎 雅弘さんがリツイート

岩上安身 ‏@iwakamiyasumi · 18時間18時間前

岩上安身さんがtaramuをリツイートしました

安倍晋三氏を、独裁者ヒトラーになぞらえるパロディはさんざん見てきたが、パロディが成立するのは笑えるうちである。ヒトラーとナチズム研究の第一人者である石田東大教授の話を聞けば、両者の相似点があまりに多すぎてもはや笑えない。必読。

taramu
‏@mootah_moo
参院3分の2議席で日本でも現実に!安倍政権が「学ぶ」「ナチスの手口」とは何か?絶対悪ヒトラー独裁政権の誕生過程を徹底検証! 〜岩上安身による石田勇治・東京大学教授インタビュー(前編) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/313466 … via @iwakamiyasumi

◎紹介されている記事はとても長いものですが、「記事内容」に至るまでの最初の部分を貼り付けてみます:

「『ナチスの手口に学んだらどうか』と言う人が、国政の中心にいる恐ろしさ」──。



 ドイツ近現代史が専門の東京大学教授、石田勇治(いしだ ゆうじ)氏は、このように口にし、「世界では、ナチスは絶対悪だ。少なくともナチスを肯定したら、常識的に先進国では信用を一発で失う」と続けた。


 参議院選挙の真の争点、緊急事態条項での改憲20世紀前半のドイツ、ヴァイマル共和国でいかに国家緊急権が乱発され、その結果、議会制民主主義がいかに空洞化していったか。


 他方、現在の日本をふり返ると、改憲の発議に必要な3分の2の議席改憲勢力が手に入れ、その頂点に立つ安倍総理は、時と場合に応じて口にする言葉を変え、見せる顔も変えて、巧みに、緊急事態宣言条項の導入をはかろうともくろんでいる


 世界でその当時、最も民主的な憲法を抱いていたヴァイマル末期のドイツと、戦後憲法の危機に瀕する日本。


 安倍政権下の現代日本の状況と、当時のドイツにはおそろしいほど数多くの類似点があることを、石田氏は2016年7月1日に行われた岩上安身によるインタビューで解き明かした。


 ヒトラーのナチズム(ファシズム)は、これまで「民主主義の喝采の中から生まれてきた」と言われてきた。しかし、実は民意で選ばれたわけではないし、ヒトラーが超絶的なカリスマで、彼が主体となって独裁権力を自らの力で簒奪したのでもない。


 第一次大戦の敗北後、帝国は瓦解し、当時では最も民主的なヴァイマル憲法下の民主制に移行していたが、戦勝国からの賠償の取り立ては厳しく、ドイツ経済はハイパーインフレにも見舞われ、騒然とした世情の続く中、極右と極左が台頭、ヒトラーのナチ党は選挙で躍進を果たしはしたが、その議席数は過半数に満たなかった。彼を強大な権力者に押し上げたのは、かつてのドイツ帝国を取り戻したいと願う、ヒンデンブルク大統領ら旧保守派と「新興右翼」であるナチスとの利害の一致と、「国家緊急権」という仕組みが憲法に残され、乱用されていたこと、「大統領内閣」という仕組みが大きく作用した結果、ヒトラー自身も予期できなかったほどの独裁者に押し上げられていったのだ。



 今、日本で、安倍晋三氏がヒトラーと同様の独裁者になりうる、と言ったら誰も本気にはしないだろう。だが、当時のドイツでも、あるいは世界も、ヒトラーがそんな怪物的な独裁者になるとは思っていなかったのだ。


 麻生太郎副総理は、「ある日、ヴァイマル憲法ナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうか」と発言した(2013年7月29日、櫻井よしこ氏が理事長を務める国家基本問題研究所にて)。


 ヴァイマル憲法ナチス憲法に変わった、というのは誤りだが、ヴァイマル憲法が大統領緊急令(緊急事態宣言)によって無効化されてしまったのは事実だ。ヒトラーが台頭していく過程や歴史的背景だけでなく、安倍政権がとろうとしている自らの権力強化と憲法改悪(どころか廃絶)への狂ったような情熱とその手段は、あまりにも酷似している。


 第一次世界大戦で、帝政ドイツ(注1)は完璧に打ちのめされが、帝政派と称する保守派は残った。その筆頭が、プロイセン王国の伝統を受け継ぐ帝政主義者のヒンデンブルクだった。1925年、ヴァイマル共和国(注2)大統領に初当選した彼は、国会を衆愚政治の場ととらえ、代議制民主主義に代わる権威主義統治の可能性を追求した。(注:省略)


 当時、もっとも民主的といわれたヴァイマル憲法は、男女同権、国民の幅広い政治参加、直接民主制、国民の基本権・生存権、労使共同決定、8時間労働、失業保険(労使折半)などを決めていた。これにより一気に大衆政治が浸透し、国民投票が何回も行われ、ある種ポピュリズム(大衆に迎合し人気をとる政治姿勢)的になっていく。


 結果、ヴァイマル共和国の末期には議会が機能しなくなり、「大統領内閣」という、ヒンデンブルクが陰でキングメーカーになった体制のもとで、皮肉にも利害が一致したナチ党のヒトラーを首相に担ぎ出してしまった。



 それだけではなく、ヴァイマル憲法に書かれた権利により、力をつけた労働者と共産党の台頭が資本家たちの反発を買い、共産党を敵視するヒトラーに有利に働く。ヒトラーヴァイマル憲法を、「(第一次世界大戦に勝った)連合国の押しつけだ」とも主張していたというこの点など、現行の日本国憲法を「アメリカの押しつけ憲法だ」とことあるごとに騒ぎ立てる安倍晋三氏ともよく似ている。


 さらに、ヴァイマル憲法第48条の「国家緊急権」が、政局の要所要所にクサビのように打ち込まれ、歴史の奔流をヒトラー独裁へと導いた。とどめの一撃が、首相に登りつめたヒトラーヒンデンブルクに発令させた「民族と国家を防衛するための大統領緊急令(国会議事堂炎上令)(注3)」だ。これにより、授権法(全権委任法)(注4)が成立し、ヒトラーの独裁体制が完成した。

(注3)

1933年3月28日、ヒトラーヒンデンブルク大統領を動かして出させた非常事態宣言「国民と国家を防衛するための大統領緊急令」(議事堂炎上令とも呼ばれた)共産党の国会議員をはじめ急進左翼運動の指導者を一網打尽にした。プロイセン州だけで約5000人が数日のうちに逮捕された。

(注4)

近代ドイツ史において、ナチスに全権委任を許した1933年3月23日の特別法。正式には「民族および国の危機を除去するための法律」といわれ、議会や大統領の承認なしに政府が立法権を行使できる法律となっている。


 このような流れを説明した石田氏は、安倍政権が改憲で進める緊急事態条項は、ヴァイマル憲法第48条の国家緊急権に、授権法を合体させた恐ろしい条項だ、と語気を強めて指摘した。


 ヒトラーは、『ドイツよ、ひとつになれ。ひとつになれば強くなる』と演説で何回も言った。共産主義社会主義も民族を分断するための思想であり、それをひとつにするのが自分たちだ、と主張。平等主義と実力主義、全体への献身と自己犠牲を訴えている。『強くなれ』の真意は戦争をするため。しかし、そこは最後まで明かさないのです」



 ちなみに、ナチ体制での失業者政策は「青天井の公共投資をし、勤労動員をかけ、夫婦共働きを禁止し、女性勤労者を家庭に帰す」というもの。石田氏は、これは民族共同体の思想につながると指摘する。


 岩上安身は「安倍政権は一億総活躍と言い、世界中に何兆円もバラまきながら、女性が働くために必要な保育所などの予算、3000億円は出さない。日本会議などは、家族主義を謳い、男女の役割も昔と同じようにしたい。当時のドイツと今の日本は、まったく同じ構図だ」と眉をひそめた。


 特に印象的なのは、1932年7月、ナチ党が第一党になる選挙の前に、危機感を募らせたアルバート・アインシュタインら、著名な学者、芸術家、文学者ら33名が連名で出した野党共闘を求める緊急アピールだ。


 「(ナチ党の台頭をくい止めるための)最善策は2党(社会民主党共産党)の統一候補者リストだが、せめてリスト協力が実現するように望む。どうか天性の怠慢と臆病な心のせいで、我らが野蛮の中に沈み込むことのないように」


 ヴァイマル共和国の政治状況、知識人たちの切迫感などは、7月10日の参議院選挙で、野党共闘によって改憲を阻止できるかどうかの瀬戸際を迎えた、今の日本の状況と驚くほど似ている。

 インタビューの終盤で岩上安身が、ある集会で発言する自民党政治家の映像をモニターで見せると、石田氏はしばらく絶句し、「……日本の現状は、深刻だ」とため息をついた。


ヴァイマルはワイマールのこと。本テキストでは、石田氏の表記に従いヴァイマルに統一しています。


記事目次
ナチスの手口に学んだらどうか」と言う人が国政の中心にいる恐ろしさ。緊急事態条項は戦争したい人たちにとっては必須。集団的自衛権とワンセット!
ヴァイマル憲法を連合国の押しつけだと主張していたヒトラー。反体制勢力が権力を握ったのがヴァイマル共和国
社会民主党共産党が手を組んでいたら、ナチ党は押さえられた!? デジャヴュのようなヴァイマル共和国の歴史
「どうか天性の怠慢と臆病な心のせいで我らが野蛮の中に沈み込むことのないようにしよう」──アインシュタインらが求めていた野党共闘


以下省略。全文はコチラで:http://iwj.co.jp/wj/open/archives/313466 … via @iwakamiyasumi

◎記事目次(1)の「緊急事態条項」の内容がよくわかる箇条書きをお借りします: