◎原発事故を起こした福島第一原発2号機の格納容器内の放射線量は、2日発表された段階では毎時530シーベルトでしたが、一週間後には100以上も数値が上がり毎時650シーベルトとなりました。16日、東電は、事故を起こした格納容器内に投入した調査ロボットが目標とした原子炉直下に到達できなかったと発表。溶け落ちた核燃料(デブリ)の状況把握という目的は達成できず、ロボットの回収も断念したとのこと。
↑18日(土)の日経新聞は事故を起こした1〜4号機の現状をイラストにして並べています。ロボットを投入した2号機は別にカラーの大きな図にしています。圧力容器の核燃料が溶けて作業用足場の鉄格子を溶かして格納容器の底に落ちている図になっています。
ところが、元東芝の技術者だった後藤政志さんによると、「メルトダウンした核燃料がメルトスルー(溶融貫通)して圧力容器を突き抜けていることが今回分かった。圧力容器より弱い格納容器や建屋のコンクリートを突き破るメルトアウトの可能性が高い」とのこと。想像を絶することが内部で起こっている・・・ということですが、知らないでは済まされないので、さかのぼって記事を張り付けてみます。(「福島2号機、過去最高値の推定650シーベルト ロボット作業を断念(2017/2/10):http://www.j-cast.com/2017/02/10290343.html)
◎いつもお世話になっている「ウィンザー通信」さんが「即死の燃料デブリ残骸・推定放射線量530シーベルトの現実から、逃げるのはもうやめよう!」と題したブログで、2月4日の日刊ゲンダイの記事を引用しておられます。2日に毎時530シーベルトと発表された段階での記事です。(引用元:http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/80fd0d4707a557524ca2ccb7ff3333f8)
これ↓は、東京電力が公表した、福島第一原発2号機の、原子度格納容器の内部調査で撮影した映像です。
ここの一部で、毎時530シーベルトという、超がつくほどに高い線量が測定されました。
この530シーベルトという線量が、どれほど異常で危険なものなのか、わかりやすくまとめてくださった記事を、紹介させていただきます。
↓以下、転載はじめ
【ガチでヤバすぎる】廃炉どころか完全に収集つかなくなってる・・・もうシャレにならない状況
【メディアplus+】2017年2月4日(http://vroad.biz/archives/56)
出典:即死の燃料デブリ残骸でわかった廃炉のデタラメ皮算用 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/198938/
東京電力は2日、福島第1原発2号機の原子炉格納容器の内部調査で、撮影した映像を解析したところ、
一部で、毎時530シーベルトという超高線量を測定した、と発表した。
これは、とてつもない数値だ。
ICRP(国際放射線防護委員会)の指標では、宇宙線や大地からの「自然放射能」に加えた「追加被曝線量」の公衆限度は、年間1ミリシーベルトとされている。毎時換算で、およそ0.11マイクロシーベルトだ。
福島原発事故後に、日本政府が、避難指示を解除する目安の除染目標にしたのは、年間20ミリシーベルト。
長期にわたって居住が制限される、「帰還困難区域」の線引きは、年間積算線量が50ミリシーベルトとされた。
1000ミリシーベルトが1シーベルトなのである。
今回、計測された530シーベルトという高線量は、想像を絶する世界だ。
「マイクロ」も「ミリ」もつかず、しかも「毎時」。1999年に、茨城県東海村の核燃料加工会社で起きた、臨界事故で死亡した作業員の被曝量は、最大で20シーベルトと推定されている。
放射線医学総合研究所によれば、毎時6〜7シーベルトが、100%致死量だという。
東電は、「推定値だから30%の誤差がある」と説明しているが、7掛けしたって毎時370シーベルト。
人間が近づけば即死するレベルであることには変わりない。
■「メルトアウト」が起きている可能性
気がかりなのは、毎時530シーベルトという放射線量が、運転中の原子炉圧力容器内と同程度の放射線量だ、ということだ。
メルトダウン(炉心溶融)した核燃料が、圧力容器の底を突き抜け、地下水と接触して再臨界に達している、ということではないのか。
原子炉格納容器を設計していた、元東芝技術者の後藤政志氏が言う。
後藤政志氏:
「東電が公開したカメラ映像では、原子炉の真下に、大きな穴が開いている様子が見えました。
核燃料が圧力容器を破って、外に漏れ出たことは間違いありません。
ただ、それは、われわれ専門家が、事故当初から指摘していたこと。
東電や政府は、なかなか認めようとしませんでしたが、メルトダウンは大前提なのです。
今回、メルトダウンした核燃料が、原子炉圧力容器を突き抜けて、外側の格納容器に漏れ落ちる、メルトスルー(溶融貫通)が起きていることは裏付けられた。
圧力容器を破るほどの核燃料では、格納容器はひとたまりもありません。
圧力容器は、70気圧に耐えられるよう設計されていますが、格納容器の設定は、わずか4気圧です。
建屋のコンクリート壁にいたっては、単なる覆いであって、超高温のデブリ(溶融燃料)による浸食を、防ぐことは難しいでしょう。」
核燃料が原子炉建屋の床を突き破る、「メルトアウト」が起きている可能性は高い。
これが地下水に達していれば、いくら循環冷却しても、放射性物質の拡散を防ぐことはできない。
チャイナシンドロームが進行中のような惨状下にある、と考えるべきだろう。
先月28日、事故後の復興について、関係閣僚らが議論する福島復興再生協議会が、福島市内で開かれた。
議長を務める今村復興相が、冒頭の挨拶で、
「福島、東北の復興も、3月にはいよいよ7年目に入る。マラソンでいうと、だいたい30キロ地点ぐらいにきているのかな」とホザいたのは、まったくもって信じがたい感覚だ。
福島の現状を、どう認識しているのか。事故処理は、まだスタートラインにも立っていない。
原因さえ解明されていない。それでマラソンの折り返しを越えた30キロ地点だと?
こんな無神経な発言をして、大臣をクビにならないのが不思議だ。
■ 廃炉費用は税金か電気料金で、結局は国民負担
東電は、今月中に、最新型のロボットを投入して、デブリの状態を確かめる予定だったが、作業用足場に開いた穴が、走行ルートを妨害するため、計画の練り直しを余儀なくされそうだ。毎時530シーベルトという高線量も想定外で、廃炉への道は、ますます混沌としてきた。
後藤政志氏:
「この高線量では、ロボットに使われている半導体やモーターがやられてしまうので、2時間程度しか動かせず、限定的な調査しかできません。
もっとも、仮に線量がもっと低くても、ロボットが正常に動くかは分からない。
あれだけの過酷事故を起こしておいて、簡単に廃炉までたどりつけると思う方が間違っています。
今回の内部撮影によって、政府と東電の廃炉スケジュールが、完全に破綻したことが露呈しました。」
事故が起きた11年の年末に発表された、廃炉の工程表は、
2年以内に、1〜4号機の貯蔵プールにある、使用済み燃料の取り出し作業に着手、
1〜3号機の溶融燃料は、10年以内に取り出し作業を始め、30〜40年後に、施設を解体撤去する廃炉が完了する、というものだった。
事故からまもなく丸6年になるのに、工程通りに実行できたのは、4号機の使用済み燃料取り出しのみ。
事故を起こした1〜3号機の燃料には、着手できない。建屋内の線量が高すぎて、人間が近寄れないのだ。そのうえ、溶け落ちたデブリが、どんな状態で、どこにあるのかさえ分からない。これのどこが「アンダーコントロール」なのか。
当初の計画からは、大幅に遅れているのだが、政府は、デブリの取り出しを21年に始め、30〜40年で廃炉を完了させる、というスケジュールを変えようとしていない。ここが悪魔的だ。
「政府の工程表は夢物語でしかなく、見直す時期に来ていると思います。
福島原発の場合、燃料をすべて取り出して更地にするという意味での廃炉は、数十年単位では無理でしょう。
問題なく運転終了した原発でも、廃炉まで数十年かかるのです。
米国のスリーマイル島事故では、核燃料がまだ格納容器内にとどまっていたから、なんとかなった。
世界的に見ても、過酷事故で燃料デブリになったものを、取り出した例はありません。
福島では、形状をとどめていないデブリがどこにあるかも分からないし、メルトダウンした原発が3基もある。
チェルノブイリのように石棺化しても、100年は持たないでしょうし、本当に廃炉に至るまでには、途方もない年月と金額が必要になる。廃炉費用がいくらかかるか、誰にも分かりません。
ところが、政府は、最終的な費用の計算に先行して、国民に負担させるスキームの議論を始めた。
ホント、ふざけています。
40年という廃炉工程表を取り下げないのは、着実に廃炉に向かっているというパフォーマンスでしかない。
東電を存続させ、原発再稼働を進めるためです。」経産省は昨年、事故処理の負担スキームを審議する、有識者会議を立ち上げた。
福島原発事故の賠償・廃炉費などは、計21.5兆円になると、従前から倍増する試算を発表。
6年経って近づくこともできない現状を考えれば、費用はどこまで膨れ上がるか分からないのだが、新電力の託送料に上乗せする方針を固めた。託送料なら、国会の承認も必要ない。
儲けは自分たちのもので、事故負担は国民にツケ回す。
そういう都合のいいビジネスモデルを、ゴリ押ししようとしている。
「40年での廃炉なんて、どう考えても無理です。現実的な廃炉計画を、立てられる状況にもない。
しかし、原発輸出を成長戦略に据えている安倍政権は、既存の原発を稼働させたうえで、新設の仕組みもつくりたいのでしょう。
世界に向けて、安心・安全を担保するためには、虚構の事故処理シナリオを維持する必要がある。
何兆円使おうと、工程表通りの廃炉はできないと思いますが、それも結局、税金にしろ電気料金にしろ、国民負担にされてしまう。
それでも原発再稼働を支持する国民が、どれだけいるのでしょうか。」原発はコストが安いなんて、よく言う。
福島原発の現状を見れば、原発再稼働は正気の沙汰とは思えない。
原発事故は、収束どころか現在進行形だ。
オリンピックなんて、やってる場合ではないのではないか。
★「カレイドスコープ」さんのブログ(http://kaleido11.blog.fc2.com/blog-entry-4809.html)で知ったのですが、国連アドバイザー、松村昭雄氏の「福島第一原発二号機による地球規模の大惨事の可能性:太平洋と米国への影響や如何?」という記事があります。その中で、京都大学大学院教授 竹本修三氏の「福島第一原発二号機による地球規模の大惨事の可能性」という記事を引用紹介されています。 その部分をメインにコピーしておきます。
(引用元:http://akiomatsumura.com/2017/02/%e7%a6%8f%e5%b3%b6%e7%ac%ac%e4%b8%80%e5%8e%9f%e7%99%ba%e4%ba%8c%e5%8f%b7%e6%a9%9f%e3%81%8c%e5%bc%95%e3%81%8d%e8%b5%b7%e3%81%93%e3%81%97%e3%81%8b%e3%81%ad%e3%81%aa%e3%81%84%e5%a4%a7%e6%83%a8%e4%ba%8b.html)
福島第一原発二号機が引き起こしかねない大惨事 太平洋と米国への影響や如何?
February 12, 2017Japanese, Translations
(翻訳:神学博士 川上直哉)<前略>
損傷した福島第一原発二号機の格納容器内の放射能レベルは、専門家が信じていたよりも格段に高いものであったことが、今や、明らかとなりました。
二号機の危機を前に、私は一つの恐ろしい記憶をよみがえらせています。それは2011年3月の地震の後に福島第一原発四号機が引き起こしかねなかった大惨事です。四号機は、ヒロシマ型原爆の14000倍に相当する放射能をその内側に蔵していたのでした。二号機の危険性は今、私たちにいくつもの問いを持って迫っています。
・次の大地震が起こる蓋然性はどれくらいなのか?・原子炉建屋の耐震強度はどれくらいなのか?・圧力容器の中にある放射性核物質がどこにあるか、どうやってわかるのか?
・二号機建屋が倒壊した場合、適切な避難距離とは何キロなのか?・太平洋の生態系にはどんな損害が加えられているのか?・福島第一原発から大量の強烈な汚染水が太平洋に流れ出ている。その影響を受ける北米西海岸に住む人々、とりわけ子どもたちに、どんな潜在的リスクが生じているのだろうか?
ここに、竹本修三博士(京都大学大学院教授・地球物理学)の協力を得られたことを感謝して記したいと思います。博士は私の疑問への答えを寄せてくださいました。以下、博士の見解を転載します。(松村昭雄)
福島第一原発二号機による地球規模の大惨事の可能性
京都大学大学院教授 竹本修三
2016年7月28日、東京電力株式会社(TEPCOと略。この企業体が原子炉を取り扱っている公益事業体である)は、ミュオン宇宙線の透過を利用して(それはちょうどX線の利用に似ている)、福島第一原子力発電所第二号機原子炉の画像を公開した。圧力容器の下部に180トンから210トン相当の物質の影が映っていた。TEPCOの出した結論は以下のとおりである。「二号機の核燃料は、そのほとんどが、圧力容器の中に残されていると推定される。」
福島第一原発二号機のミュオン散乱法による原子炉イメージング。コンクリート製の放射線遮蔽体の中に入れた「ミュオン検出器2(FMT-2=Fukushima Muon Tracker-2)」が、原子炉建屋の前面に設置された。一般的なミュオン散乱の角度はごくわずかである。
(訳者註:ミュオン散乱法については、http://fukushima.jaea.go.jp/initiatives/cat01/pdf1412/data_04.pdf を参照のこと)
福島事故が解決に向かっている、とは、とても言えない状況である。二号機には、大量の核燃料が残されている。ここから生じる問題は、特別に重大なものとなる。第二号機の商用稼働は1974年7月に始まる。2011年3月11日の事故において、建物の破壊なしに、二号機は高温と高圧という過酷な環境の中で持ちこたえた。しかしながら、長い間使用した原子炉である。長期にわたる放射線照射によって、間違いなく圧力容器は劣化している。もし巨大な地震に見舞われたならば、二号機は壊れ、内部に残されていた核燃料とその他デブリが拡散してしまうだろう。その時、首都圏は居住することもできなくなる。2020年の東京五輪など、まったく問題にならない事態がそこに予想される。
冷却用プールに格納されている核燃料棒の数は次のとおりである。一号機=392本。二号機=615本。三号機=566本。通常であれば、電動ポンプによって冷却用の水が送り込まれ、これらの燃料棒は冷やされ続けている。もし、電力に滞りがあった場合はどうなるのか。あるいは、強烈な地震がこのプールを破壊した場合はどうなるのか。そうした場合、いったい何が起こるのか。そうしたことを考えるとき、私たちは不安に満たされるのである。
2016年11月22日に、地震があった。震源は福島県沖であり、マグニチュードは7.4であった。2016年12月28日に、地震があった。震源は茨木県北部であり、マグニチュードは6.3であった。これらはすべて、東北沿岸地域沖で起こった2011年の地震の衝撃を受けた地域である。この地域においてマグニチュード7クラスの地震がたびたび起こることを、私たちは予期しておかなければならない。つまり、震度6ないし7の地震によって福島第一原発が倒壊するという可能性はある。このことを無視することはできない。その中でも二号機に起こりうることこそ、最悪の恐怖である。その圧力容器の中には巨大な量の核燃料デブリが封じ込められているのだから。
2011年3月の事故の中で、急激な温度変化と圧力変化があったが、二号機の圧力容器はそれに耐えた。しかし、放射線照射を受け続けた結果の劣化ということをまじめに考えてみると、間もなく起こると予想される新たな大地震によって、二号機は深刻な打撃を蒙るかもしれないのである。