11月のお茶のお稽古とブローチ

(「晩秋の唐池公園」に次いで二つ目です)

冷え込みが厳しく12月か1月のような日になりました。
雨が降らないだけましと思いながら先生のお宅へ。
庭の木々が色づいています。とりわけニシキギ(錦木)の紅葉が美しいので写真に。

お部屋の中へ入ると、このニシキギが生けてありました。
珍しいピンクの椿は西王母(せいおうぼ)という早咲きの椿だとか。
初めて聞く椿の名前でした。
掛け軸は「開門多落葉」、今の季節そのままです。
Naさんは、前回お休みでしたので久しぶり。先週、入院されていたお母さんが急に亡くなられたそうです。前日お見舞いに行って普通にお話しできたのに…とか。死因はいわゆる誤嚥性肺炎だそうですが、9月に一度危ない時があって、今回は心構えができていたので、よかったと。能勢の実家で家族葬でやったけど孫まで入れて30人も集まったので賑やかな良いお葬式になってよかったと仰っていました。

Noさんのお義母さんも同い年の94歳で福井県。ご主人が車で帰っているけど、雪が10cmも積もったと連絡があったとか。いつもは二人で帰られるのに、今回は老人会の行事が土曜日にあるのでと。先生のお母さんも私の父と同い年の101歳で施設に入っておられます。私が親より早く死ねないというのがプレッシャーだというと、「分かるワ〜私も一緒」と言われました。
何やら涼しい風が…と思ったら先生が字が見えなくてエアコンを冷房にしていたと。そして、幼稚園のお孫さんに「おばあちゃん、脳トレしたらいいねん」と言われた話をされて、みんなで大笑いしました。小学生の孫じゃなくて幼稚園の孫に言われたのがショックだったと先生も。脳トレの意味が分かった使い方に一同感心してしまいました。お稽古に入る前のお茶抜き話が長くなりました。
今日のお棚は、塗りの施されていない白木の変形棚です。
その上、棗(なつめ)は、白地に紅葉したツタの葉が大胆に描かれています。
漆塗りと言えば黒塗りが普通と思っていましたが、白塗りという漆塗りです。
昔は「白塗り」といっても、ベージュの色がついていたそうです。
こんなに白いのは最近のもの。最近と言っても20年ほど前からとのこと。
水差しは黒々とした丸い形で正面にはえくぼのような凹みがあります。

お客さんに回った時、二人で「きっと備前よね」と言いながら、先生に確かめてみました。
丹波焼だそうです。塗りを施してない素焼きの丹波焼きだそうです。
乾燥したときの色と、水で湿らした時の色が違うからよく見てごらんなさいと言われました。
最後の立礼式のお稽古に入る前に、先生がタオルに水を含ませて表面を湿らせると黒い色が一層深まって見えました。
蓋を水屋に持っていかれて水につけて、それを元に戻すときの作法を習いました。
蓋の窪みに溜まった水は、建水の上で蓋を縦に振って水切りします。

↑主菓子はゆず味の白餡が入っていました。
↓みのお焼の先代の地味目のお茶碗と京焼の吹き寄せのお茶碗を選びました。吹き寄せのお茶碗はこの季節にしか使えないものだそうです。

↓朱赤の一貫張りの箕には干菓子が吹き寄せられたように少し隅に寄せてあります。
どっしりとした志野焼のような萩焼のお茶碗。飲み心地がとても良いお茶碗でした。

お茶を点て終わって建水を片付けた時の写真。
棚の上には使った柄杓と蓋置を飾り置きしています。
三角に切り取られたような棚の上にト飾りの置き方で。
棚板は木目がハッキリとしたヒノキ。

下の棚の木目は、左から右に流れるように、
逆に、上の棚の木目は、その流れが右から左へと。
棚の厚みには竹が貼ってあります。
黒いゴマのようなものが見えますが、ゴマ竹とか。
触るとブツブツと出ています。
細工が繊細です。
さて、今日は、Noさんはお得意のビーズで新作(編み方もビーズも)のネックレス。Naさんは9月の台湾旅行で買ったというペンダント。私は祭日の昨日手に入れたブローチをあずき色のセーターの胸元につけていきました。最近は長く垂れないものならネックレスをしても先生に注意されません。もちろん、時計や指輪は駄目です。私は大抵、一見新聞紙で作ったとは思えない手作りの花をつけていくのですが、今日は、昨日手に入れたブローチのデビューでした。

「それ、なに? ガラス?」と言われたので、「プラスチックかな。イギリスの1950年だったか1930年代の少しアンティークなもの。裏から削ってある」とはずして見せました。「どこで?」と言われて、「箕面、市役所の西側の西洋骨董を扱っているお店」「そんなお店、ある?」「去年で20年だって」と、昨日の話を。
唐池公園の後、少し遠いけど歩いて行こうと思ったお店、昨日は開いていて奥から女性オーナーが出てこられました。お目当ての鏡は売れてしまっていましたが、ちょうど最近買付け旅行から帰ったところとヨーロッパ事情を一人でたっぷり聞かせていただきました。海外に出ると、中国の力が強いこと、日本での爆買いがヨーロッパに変わったようです。どこに行ってもたくさんの中国人に会う。マナーは良くないけれど凄い勢い。一帯一路は完成しますよ、日本はもう置いて行かれているとも。
「それで、買わずに出られなくなった?」と言われてしまいましたが、なぜか気が合って、お店の椅子に二人で座って話し込んでしまいました。テーブルの上に置いてあるオーナーが持ち帰ったというアクセサリーの中から、記念に一つ買ってもいいなという気になったのは確かです。またお話聞かせてもらいますねと言ってお店を出てきました。ちょっと高くつきましたが、鏡は100円ショップでもいいかと。
(お店の名前は、おばあちゃんの台所、「グランマーズキッチン・”Grandma's Kitchen" 」です)