前川喜平氏「『森友疑惑』に直言」と佐藤優氏「国政調査権を発動せよ 書き換え文書は高いレベルの幹部にまで配布か」

前文科事務次官前川喜平氏が森友疑惑で昭恵夫人お付きの谷さんの上司について直言。一方で、元外務省分析官の佐藤優氏も森友疑惑で3つの問題点を挙げて超党派の第三者委員会をとこちらも直言。二つ並べてみます:

内田樹さんがリツイート

かまやん
‏@kama_yam 3月19日
前川喜平「国有地の売買をめぐるような案件で、経済産業省出身の一職員である谷査恵子氏の独断で、財務省を動かすことは、まず不可能。谷氏の上司にあたる今井氏が、財務省に何らかの影響を与えたのでは。今回の問題は、財務省の凋落を象徴している(AERAdot.3月19日:https://dot.asahi.com/wa/2018031800021.html

 “キーパーソン”の佐川宣寿前国税庁長官がようやく国会で証人喚問される。前文科事務次官前川喜平氏が「森友疑惑」について直言する


【図表で見る】森友学園問題の一連の流れはこちら



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 国政調査権のある国会に提出された文書が改ざんされていたとは、民主主義が崩壊する事態で犯罪的行為だ。こんな悪事を、真面目で小心な官僚が、自らの判断でできるなど、到底考えられない。文書改ざんは、官邸との間ですり合わせがあって行われたとしか思えない。官僚が、これほど危険な行為を、官邸に何の相談も報告もなしに独断で行うはずがない。文書の詳細さを見れば、現場がいかに本件を特例的な措置と捉えていたかがわかる。忖度ではなく、官邸にいる誰かから「やれ」と言われたのだろう。


 私は、その“誰か”が総理秘書官の今井尚哉氏ではないかとにらんでいる。国有地の売買をめぐるような案件で、経済産業省出身の一職員である谷査恵子氏の独断で、財務省を動かすことは、まず不可能。谷氏の上司にあたる今井氏が、財務省に何らかの影響を与えたのでは。今回の問題は、財務省の凋落を象徴しているともいえる。かつての財務省といえば、官庁の中の官庁。官邸内でも、財務省出身者の力が強かった。だが今、官邸メンバーに財務省出身者がほとんどいない。経産省を筆頭に、他省庁の官僚出身の“官邸官僚”の力が増す一方で、財務省は官邸にNOが言えない状態なのだろう。


 佐川氏は今、政治の新たな“犠牲者”になりつつある。彼は“誰か”を守り通すという選択肢以外持ち得ていないようだが、今や一民間人であり、自由人。もう誰にも忖度する必要はない。もし本当のことをしゃべり始めたら、官邸からとんでもないバッシングを受けるかもしれない。しかし私自身がそうだったように、そのバッシングが、身動きの取れない呪縛を解く道につながることもある。


 私も加計学園問題より以前、文科省天下り問題で国会に参考人招致されたときは、まだ役人体質を引きずっていた。政権を守るために忖度もしなければならないと思っていた。でも、そうした一切の未練が吹っ切れたのが、(加計学園獣医学部の新設の認可に関して、前川氏が会見を開く3日前に掲載された)読売新聞の記事。「官邸はこういうやり方をするのか。ならばもう何の気遣いもいらない」と、逆にすっきりした。だから佐川氏も本当のことを言えば、楽になれる。


(本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2018年3月30日号


◎18日の産経新聞が、元外務官僚の佐藤優氏の記事を掲載。財務省の今回の公文書改ざん問題の3つの問題点を挙げ、与野党を超えて国会内に第三者委員会を作って徹底調査を呼び掛けています。全文引用です:

内田樹さんがリツイート
立憲民主くん
@rikken_minshu 3月19日

財務省が公開した文書には決裁欄が記された表紙が欠けている。誰が決裁したのか、秘密なのか極秘なのかも分からない。極秘文書ならば、配布先のリストが残っているはず。財務省が本当に隠したいのはこの事実ではないか、と佐藤優さん。www.sankei.com/politics/news/180318/plt1803180005-n3.html

佐藤優の世界裏舞台】
2018.3.18 11:30


国政調査権を発動せよ 書き換え文書は高いレベルの幹部にまで配布か



 財務省は12日、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書をめぐる疑惑について、14文書で書き換えがあったことを認めた。財務省の説明によれば、格安で払い下げられた事実が発覚した去年2月以降に書き換えが行われた。


 産経新聞は13日付の「主張」で、〈都合の悪いことを隠すため、公文書をこっそりと書き換えるのは改竄(かいざん)というべきである/国会答弁を取り繕うために不正を働き、どんどんボロが出てきた。「役所の中の役所」ともいわれる財務省の官僚が、公文書の書き換えで公正であるべき行政をねじ曲げていた。お粗末ではすまない行いである/行政内部の問題にとどまらないのは、安倍政権が国会答弁や記者会見で、事実に基づかない説明を続けてきたことである。結果として、政権そのものに対する国民の信頼を傷つけたことを、直視しなければならない〉と指摘した。その通りだと思う。


 安倍昭恵首相夫人や複数の国会議員らの名前を消し、国有地売買を特例で処理することを示す文言を決裁終了後の公文書から削除した行為は、売買の判断に関わる極めて重要な事項を存在しなかったかのように偽装する工作だ。騙(だま)す意図があったことは明白だ。極めて悪質な行為だ。有権者の直接選挙で選ばれた議員によって構成される国会に提出する文書にこのような改変を行ったことは、主権者である国民に対する背信行為だ



 少なくとも3つの異常なことが起きている。



 第1は、公文書を改竄するというあってはならないことが起きたことだ。


 第2は、国権の最高機関である国会が財務省に「真実を明らかにせよ」と要求したのに対して嘘をついたことだ。


 第3は、未(いま)だ本当に重要な情報を財務省が開示していないことだ。


 今回、財務省はA4判80枚の文書を公開したが、決裁書に必ず付いているはずの決裁欄が記された表紙が欠けている。だからこの文書を誰が決裁したのかが分からない。そのコピーを誰に配布したのかも分からない。この文書に秘密指定がなされていたのか否か、なされていたならば「秘密」なのか、「極秘」なのかも分からない。極秘文書ならば、配布先のリストが残っているはずだ。


 筆者は外務省に勤務していたときに、国会議員の関与した案件に関する決裁書や報告書を多数作成した。その経験に照らした場合、今回、財務省が書き換えを認めた文書は、高いレベルの幹部にまで配布されていると思う。財務省が本当に隠したいのはこの事実ではないかとみている。


 財務省は本件を理財局の一部職員による「暴走」として処理しようとしているが、霞が関(官界)の相場観からして、そのようなことは絶対にない財務省の高いレベルが、細部はともかく、書き換えについては早い段階から知っていたが、麻生太郎副総理兼財務相には伝えていなかったのだと思う。



 野党はこの問題を安倍晋三政権に打撃を与えるために最大限利用している。しかし、本件を政争の具にすべきではない


 冷静に考えてみよう。安倍政権が永続することはない。官僚が政治家におもねる体質が今後も続くと、外交において国益を毀損(きそん)する事態が生じかねない。将来、北朝鮮との国交正常化で歴史に自分の名前を残すことを考える首相が出てきた場合、外務官僚が首相官邸の意向を過剰に忖度(そんたく)して、結果として金正恩政権におもねるような外交政策を取る可能性すらある。


 連立与党でも、公明党幹部の発言からは、この問題が日本の民主主義の根幹を揺るがす危険性があるとの危機感が強く感じられる。本件に関しては、与党対野党という分節化ではなく、行政府による立法府軽視という視座で問題をとらえる必要がある。


 国会が国政調査権を発動して超党派の第三者委員会を作り、書き換えが行われた経緯、指揮命令の実態、本件に関与した財務官僚の動機などについて徹底的に調査すべきだ真相を解明した上で、関係者が応分の責任を取るとともに、実効性のある再発防止メカニズムを構築すべきだ。(作家・佐藤優