AbeOut0223と「米国から見た辺野古」(在沖海兵隊は安全保障ではなく経費節約)

「特別な1日」さんの月曜日のブログ(https://spyboy.hatenablog.com/)では、お約束通り、土曜日の銀座安倍退陣デモ「AbeOut0223」の楽しいご報告です。青空の下、昼下がりの銀ブラアピールで歩いた方たちが600人だったそうです。思い思いのプラカードを掲げたデモの様子をぜひブログを訪ねてみてください。そして恒例の映画レビューも是非。沖縄の県民投票の結果は72%以上が反対でした。投票に関連してSPYBOYさんがブログで紹介されている元山仁士郎さんのツィートをコピーさせていただきます:

元山仁士郎@「辺野古」県民投票
@Jin46o

ある女の子からもらったお手紙。

「けんみんとうひょうにさんかしたいです」

県民投票に参加したいです。

と。

参加できる方、この子のためにも、将来の沖縄をどうするかはっきりと意思表示いただければと思います。

投票所では身分証だけでも投票できます。20時まで。

Go Vote.#辺野古県民投票

息子に聞くと、帰省のため1週間前、沖縄を出たときは反対が60%と言っていましたので、7割以上の反対票に驚きました。元山氏の五市離脱に抗議するハンガーストライキがあったり、アメリカではロブ梶原さんのホワイトハウス署名があったり、若い方たちの反対意思表示にかける熱意が数字にも表れたようです。そして、↑のような幼いこどもたちまで。泣かされますね。今度は大人が応える番です。

それなのに、国会答弁の安倍首相は普天間基地の危険性を述べて相変わらず辺野古が唯一の解決策。立憲の枝野氏は「普天間基地の危険性を一番わかっているのは沖縄県民.その危険性がわかっている県民が辺野古Noと言っていることについてどう思うのか」ともう一度質問。『唯一の解決策にNoの民意』が出たのですから、政府は撤回して考え直すのが仕事です。少なくとも工事を中止して県知事さんと話し合うべきです。民意の結果をもってアメリカのトランプ大統領辺野古新基地建設撤回、普天間基地閉鎖・返還を掛け合ってください。安全保障上、沖縄に海兵隊がいなくても問題ないようですし(この件、後半で)。

想田和弘さんがリツイート

金子勝

@masaru_kaneko 2月25日
·【論理的に破綻】辺野古新基地と普天間移転はそもそも結びつかない。なのに辺野古新基地ができないと、普天間移転はないとご飯論法。しかも、軟弱地盤で工期は最低13年、経費は2万5千億円に膨れ上がる泥沼公共事業これではいつまでたっても普天間は移転されないことになる。滅茶苦茶だ。

 

山崎 雅弘
@mas__yamazaki
何かをインパール作戦になぞらえる言説は多いが、「技術的問題の発生で完成の目途が立たなくなり、予算がいくら必要かもわからなくなった工事」を、指導部の面子と威信を守るために強行するという辺野古の図式は、成功の見込みがないインパール作戦が強行された経緯と重なる。 

 

内田樹さんがリツイート

津田大介

@tsuda

「真摯に受け止め」てないし、「基地負担軽減に向けて全力で取り組」んでないし、「沖縄県民と対話を重ね」てないし、「今後県民と理解求めて全力で対話」するそぶりも見られないし、何というかコメントの全てがウソなのすごいと思う。

安倍首相「真摯に受け止め負担軽減取り組む」 県民投票:朝日新聞デジタル
asahi.com

 

山崎雅弘

@mas__yamazaki
東京の中央政府にとって、今回の沖縄県民投票の結果は、兆単位の税金を無駄にドブに捨てるような土木工事を止める「大義名分」となり、明瞭に示された「民意」は米国政府との交渉で強力なカードとして使えるなぜそうしないのだろう? 特定の土建業者を除けば国民の大多数にとって良い展開になる。


布施祐仁
@yujinfuse

シングルイシューで賛否を問う県民投票で明確に民意が示されたのですから、日本政府にとっても、アメリカ政府に辺野古新基地の実現は困難になったと訴えるこれ以上ない大義名分ができたと思います安倍首相がいま説得すべきは沖縄県知事ではなくアメリカ大統領です。

  

布施祐仁

@yujinfuse

それにしても、日本に配備しておいた方が安上がりだから政治的合理性や軍事的合理性と関係なく居座り続けるという構造を生み出している思いやり予算」を始めとする駐留経費負担非常に問題だと思う。ちなみに日米地位協定には、駐留経費はアメリカが負担すると明記している。

◎布施氏の二つ目のツィートの内容は、朝日新聞の22日(金)の「オピニオン&フォーラム」頁の「耕論 米国から見た辺野古」で取り上げられました。記事は、賛成と反対の典型的な両論併記の形になっています。

f:id:cangael:20190222154113j:plain

政府と全く同じ意見の、ジェームズ・ショフ氏は、在沖海兵隊の中国に対する抑止力は心理的効果を狙ったものであり、将来自衛隊が担えばよいとし、普天間唯一の解決策である辺野古は決まったこと、「もし計画を見直すことになれば、(ややこしい問題の再現となり)、滑走路の長さや基地機能の問題、隊員の家族が通う学校や医療施設、騒音対策などなど米側の関係者はうんざり」だというものです。だからといって、この先完成するかわからない辺野古でよいというのはあまりに無責任。

一方のローレンス・ウィルカーソン氏は、はっきりと「安全保障上の理由ではなく、思いやり予算」=「海兵隊が現在も沖縄駐留を継続している元々の判断をたどれば、何ら日米の安全保障とは関係ありません沖縄駐留を継続した方が必要経費を節約できるし、何よりも海兵隊という組織の政治的な立ち位置を守ることができる」と書いています。そのうえ新しい問題として沿岸部の基地は最近の気候変動による海面上昇で使えなくなるリスクがあるというのです。以下、全文書き移しです:

 

自然災害にも攻撃にも脆弱

元米国務長官主席補佐官 

ローレンス・ウィルカーソンさん

 東西冷戦の終結を受け、海兵隊本部は1990年代前半、国内外すべての海兵隊基地や構成をどうするか見直し作業をしたことがあります。私は当時、海兵隊大学のディレクターを務めており、この検証作業にかかわりました。

 海兵隊の見直し作業では、在沖海兵隊も検証対象となりました。部隊の段射撃訓練や飛行訓練、爆弾投下訓練をする地域として沖縄の適合性を調べたところ、運用は「極めて難しい」と判断されました。また、朝鮮半島有事の作戦計画「5027」などを始め、対中国、対東南アジアへの展開含めて在沖海兵隊の戦略的な役割を調べました。在沖海兵隊は戦力規模が小さすぎて、「太平洋地域に前方展開させる戦略的価値はない」との結論に至りました。

 ただし、コスト面からしらべたところ海兵隊を当時の移転候補だった米本土のカリフォルニアに移転させるよりも、沖縄に駐留継続させる方がコストが50~60%安くなることがわかりました。日本側が駐留経費負担をているためです。

 在沖海兵隊移転による海兵隊への政治的な影響についても分析され、「海兵隊を米本土に移転すれば、米政府がそれを理由に海兵隊全体の規模を縮小させる可能性が高い」という予測が出ました。

 この結果、海兵隊本部は当面、海兵隊の沖縄駐留を続けることを決めたのです。

 つまり、海兵隊が現在も沖縄駐留を継続している元々の判断をたどれば、何ら日米の安全保障とは関係ありません沖縄駐留を継続した方が必要経費を節約できるし、何よりも海兵隊という組織の政治的な立ち位置を守ることができるという分析だったのです。

 

 私はこれまで何度もアジア太平洋地域における米軍の机上演習をしてきましたが、在沖海兵隊は台湾有事であれ、南シナ海有事であれ、米軍の戦闘力にはなりません。米中戦争がもしあるとすれば、空と海における戦闘。米国は海兵隊員を中国本土に上陸させるような愚かな作戦はしません。

 中国に対する抑止力として戦略的に重要なのは、米国が日本防衛に確実に「コミットメント(関与)」しているというシグナルを明確に送ることです。海兵隊員を沖縄に置くよりも、米本土から核搭載可能のB2戦略爆撃機を日本周辺で飛行させる方が効果があります。いざとなれば米国は日本のために、中国に大きなダメージを与えるーー。その意思をはっきりと示すことができるからです。

 日本政府は辺野古沿岸部を埋め立てて建設していますが、軍事基地を沿岸部に建設する時代でもありません。気候変動による海面上昇で自然災害を被るリスクは高まっています。60~70年後には巨額の建設費が無駄になってしまう恐れがあります。

 例えば、米軍基地でも現実に気候変動の問題は起きています。マーシャル諸島のクエゼリン環礁にはロナルド・レーガン弾道ミサイル防衛試験場りますが、最新の研究では近い将来、水没のリスクが報告されています。また、米東海岸バージニア州ノーフォークの海軍造船所は、原子力空母寄港する重要な港ですが、近年は急激な海面上昇による高潮などの大きな被害を受けています。30年後は使えなくなるという懸念が出ているのです。

   ーーーーーーーーーーーーー

          ーーーーーーーーーーーー

 辺野古の基地は、中国など外部からの攻撃に脆弱すぎるという問題があります。2,3発の精密誘導弾の攻撃を受ければ、滑走路は跡形もなく消え去るでしょう。戦略的な観点で言えば、辺野古の基地建設は愚かな計画です。もし私が安倍晋三首相の立場であれば、現計画に固執して沖縄の人々と敵対する手法はとらないでしょう

 日本政府にとって必要なのは、こうした変化に適応することです。米政府もまた、変化に適応する必要があるでしょう。

 

(Lawrence Wilkerson:1945年生まれ。ブッシュ(子)政権下の2002~05年、パウエル米国務長官(当時)の首席補佐官。現在は「海外基地再編・閉鎖連合」のメンバー。)