昨日、いよいよ椿の下の山椒の葉が食べつくされてしまいました。これはまずいと思い切って緑の幼虫をクレマチスのトレリスの下のもう一本の山椒の木(こちらも1メートル足らずの独り生え)。押しつぶさないように気を付けながら体を剥がしにかかりますと全力で抵抗します。そりゃそうですね。突然巨大な人間の手が体を掴むんですから。命の息衝きを手で感じながら、アナタのためなのよと引っ越し。
しばらく後で見に行くと糞をしていました。お昼過ぎ、また見に行くと、向きが変わって葉っぱを食べた跡がありました。良かったよかったです。これで食料の心配はありません。
この日は午前中はヨーガ、午後2時から近くのメイプルホールで樹木希林さんと市原悦子さんの最初で最後の共演映画「あん」の上映がありました。午前と夜と3回ありますので、夫は午後から山へ行きたいので午前中に。ヨーガが終わって家に帰ると鍵がかかっていました。2時間の映画なので12時半までかかります。
そうそう、ヨーガでは、娘さん一家が横浜というUさんに、先週のSPYBOYさんの記事、神奈川新聞の白血病患者が保育園で2人続けて出て、園庭に放射性廃棄物が埋められていたという話をしました。」「え!?スクープ!そんなん新聞にのってた?」「新聞では…最近の新聞はあてにならないから」「そう、そう」「私が知ったのは、ほら、SPYBOYさんが書いてて」「あぁ、東京の」「そう」。最近ブログを見ていないというので、ブログの日付を伝えて紹介しました(こちらでも引用を↑に)。Uさんのお孫さんは私学の中学生ということで実害はなさそうです。そのUさん他お二人も、ランチを済ませて映画を見るつもりだとか。
映画が始まる前に同じ樹木希林さん主演の次回作「日日是好日」の予告編があり、そのあと樹木希林さんが「あん」の映画について語り始める映像が流されます。ハンセン病(らい病)を扱っているけれど難病映画じゃありませんと静かな語りかけです。
チラシには、お孫さんの内田伽羅(きゃら)さんのデビュー作であることや監督がカンヌの常連監督河瀨直美さんであること、日仏独合作映画であることや原作がドリアン助川であることなどが書かれています。
淡々と季節を足早に追いながら物語が進みます。穏やかな控えめの起伏の中に、どら焼き屋の長瀬正敏、餡づくりの名人で手伝いたいという元ハンセン病患者の樹木希林、中学3年生のカナリアを家主に隠れて飼っていてどら焼き屋にやってきて売り物にならない失敗どら焼きをもらって帰る内田伽羅、三人のドラマが絡み合ってきます。
世間の無知と偏見、差別意識を体現したかのように立ちはだかるどら焼き屋のオーナー浅田美代子。差別意識に反感を抱きつつ、屈してしまう長瀬にも人には言えない重荷を背負う過去が。
脚本のセリフ通りなのか、それとも?と思わせるような樹木希林さんの演技。息子のような長瀬に寄せる思い・・・が明かされ、生きる意味について語りかける徳江さん。
何度もにじむ涙をぬぐいながら東村山市の全生園の静かな木立をともに訪れたような感じがします。訪ねた徳江さんの弱りはてた姿。入れ歯を外して死期迫る徳江さんが自分の人生を語ります。樹木希林さんの遺言のような映画にもなっていると思いました。
満開の桜咲くお花見の桜の木の下で、長瀬さんが「どら焼きいかがですか~」と呼びかける声に徳江さんの伝えたかったことが十分に受け止められたことを感じさせて映画は終わります。
会場を出て、ホールの建物の外でUさんを見つけて声を掛けました。一緒だったお二人は終わってすぐ出られたとか。良かったね~泣かされちゃうねと二人で。そして、内田伽羅さん、お父さんの元木さんに目元がそっくり、お父さん似ね~とこれも二人で。
夫も午前は観客席ほぼいっぱいと言っていましたが、お昼の部もほぼ満席だったようです。さすが、樹木希林さん、本の売れ行きも良いそうですので、最後の作品ということで沢山来られたのだと思います。静かに生きる気力が湧いてくる映画です。
◎「らい予防法が廃止された1996年に、ハンセン病を背景にした小説を書こうと思い立ったという」著者のドリアン助川さんのインタビュー記事を: