11月3日は憲法記念日?と「誰がために憲法はある」の井上監督インタビューより

3日の日の蛙ブログは、翌日の映画「誰がために憲法はある」を紹介した内容でしたが、次のようなコメントをいただきました:

文化の日」の制定背景をある書物で読みました。

憲法記念日の制定と深~い関連があるようです。
その意味で、この日に表題の映画上映会があったことは
大変素晴らしいことだと思います。

 私は前日頂いたチラシのおかげで、11月3日は憲法記念日だと思って(?)いました。母がよく11月3日は「明治節」と言っていて、二人の妹たちは知らないと思いますが、長女の私は母が口にしていた言葉はよく覚えています。本当は何の日で祭日?と夫に聞いたら「文化の日」。そうでしたね~。

そこで「文化の日憲法記念日」で検索してみたら、トップに出てきたのがこれでした:「文化の日」と「憲法記念日」と「明治の日」の関係とはkokorona.com/wp/daybyday/culture_and_constitution_day/

ここの説明によりますと、当初、11月3日の新憲法施行日を憲法記念日にしたかったが、GHQが、明治節明治天皇の誕生日)が休日になるのはまずいと反対、そこで、半年前の憲法公布日の5月3日を憲法記念日に。かわりに、憲法以外の記念日ならOKということで、憲法の内容にも関係のある「文化の日」としたそうです。明治への回帰を絶対許さないというGHQの強い意志が働いたのですね。

さて、井上淳一監督の「誰がために憲法はある」は、5月3日の憲法(公布)記念日を目指して製作されました。それが、箕面では憲法施行日の翌日に上映されたことになり、改めて現憲法の成り立ちや精神に関心が向かいます。

会場で求めたパンフレットは内容が充実、読み応え十分、一日で読み切れないほどです。間に挟まれていた水色のリーフレットが、民医連の月刊誌に掲載された井上淳一監督のインタビュー記事でした。この中に、あの日壇上で話された内容がありますので、その部分を紹介です。公立中学の現場での異様な警戒ぶりが現憲法の危機を顕しています。

その前に、トークの時、言及された内容を。

この作品には足りないところもある。例えば私は元々改憲派で(天皇に関する)憲法1~8条はいらないと思っているし、9条と矛盾する沖縄の問題や、戦争での加害責任についてなどには触れていない。しかし、今の安倍政権の下での改憲だけは許せない。主権在民基本的人権をなくし、戦争のできる国にしようとしている。ウソではない。何なら今スマホ自民党改憲案を調べてみて下さい、全部出ている。

最初、自民党改憲案の危険性を映画にして世に訴えようようと思ったが、『いいじゃないか』という意見が出たら困ると思った。ここで客席から笑いが。『いまは、そういう人たちが居るんですよ、それで、考え直して、「憲法くん」から「前文」、母親と同い年の渡辺美佐子さんとの出会いから「朗読劇」を後半に』というお話でした。

では、インタビュー記事の後半から:

 広島のある公立中学校では、(朗読劇の)女優さんたちと中学生が一緒の舞台で共演しました。その後の懇談でも心と心が触れ合う交流があり、大切な記憶が確かに手渡されたと感じました。

重要な場面をカット

 映画をご覧いただくと分かるのですが,その中学生を映した場面はすべてカットせざるを得ませんでした。校長先生をはじめ学校側の理解を得ようと努力したのですが、「(出演した生徒が)いのちを狙われるかもしれない」とまで言われてしまった

 学校側としては「朗読劇のドキュメンタリーだと思って撮影を許可したら、”憲法を守る”映画だった」ということかもしれません過剰なリスク回避と忖度が相まって、政治的なことをタブーにしてしまう今の教育現場の現実があります。そもそも憲法について考えることは、政治的でも何でもないのですが。

 私だからこうやって問題を公にして話していますが、テレビなどのマスコミでは、企画の段階で「面倒なことはやめておこう」という配慮が日常茶飯事でしょう。上からの強権的な圧力や規制ではなく、表現の自由を行使する前の段階で委縮してしまっている「あいちトリエンナーレ」の展示中止が世間の耳目を集めましたが、これは氷山のほんの一角。この国の表現をめぐる状況に危機感を覚えます。

宇野重吉さんの言葉

 映画の中で,、女優の日色ともゑさんが師匠の宇野重吉さんの言葉を紹介しています。NHKの朝の連続テレビ小説のヒロインを務めたあと、たくさんの仕事の依頼が舞い込んだ。どうやって何を基準に選ぼうかという時に「その仕事に正義はあるか」と言われたのだそうです

 私なりに解釈すると「10年後、20年後、後から振り返って自分に恥ずかしくない仕事をしろ」という意味ではないかと。とても印象に残った言葉です。

 私自身、この映画の制作を通して、改めて憲法前文に対する理解を深めました。あの時代に、よくぞここまで視野を広げた理想主義を描けたなと思います。私たちはそれに向かって生きようとすればいいのではないか

 憲法前文に規定された平和的生存権も素晴らしいですが、反韓嫌韓が蔓延する今は、「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視てはならない」の部分が重要です。

 「再び戦争の惨禍が起こることのないやうに決意して作られた憲法です。皆さんは自分の子どもや孫に語っていますか。「この映画を見てみろよ」でもいい。みなさんと一緒に憲法の理解を深めながら、若者や関心を持ってこなかった人たちにも伝わるような言葉を獲得したいと思います