「東アジア共同体の前に、まず日韓連携』(内田樹)


先週の新聞広告。よく、こんな、エゲツない書き方で煽るもんですね。領土が取られそうなロシアに対しては何も言えずなのに・・・

山崎 雅弘さんがリツイート

yunishio
@yunishio 1月16日


どちらの記事にも認知症を防ぐという記事が載せられており、ああ…そういう読者層を抱えた雑誌なんだな、と思うと同時に、中学生にレイシズム暴言を繰りかえして敗訴したブログの投稿者が66歳だったのを連想する。

打越 さく良
@sakurauchikoshi


なんだか…目を疑う。
国際羞恥なんとかとか、反日なんとかとか。

ネトウヨ的。
それでいて、ロシアのロの字もない。…

●徴用工の問題。日本政府も原爆投下については個人請求権を認めて、アメリカに対しては個人でやってくれとダブルスタンダード。それなのに韓国に対して個人請求権を認めるなとは、ちょっと言えないのでは・・・それとも、相手が韓国だったら何でもあり。

内田樹さんがリツイート
▲Hiroshi Makita Ph.D.
‏@BB45_Colorado 1月13日
俺にはサッパリわからんのだが、自国民に対して個人請求権は消滅していない(だから合衆国政府、ソ連邦政府、ロシア政府に請求しろ)と公言してきたのは日本政府だぜ。
徴用工賠償判決は完全にその枠内じゃん。
何反撥しているんだい?


金子勝
@masaru_kaneko
【外交音痴と国際的孤立】韓国政府を批判する国際的論調は無い。もともと新日鉄住金が賠償支払いで和解をしようとしていたのを官邸が止めたことに始まる。国内向けに政治問題化させようとするアベの外交音痴が失態を招いている事態なである。ゴーン問題もIWC脱退も同じ。


◎ご近所で緊張関係があると、どんなに暮らしにくいか、主婦なら分かります。ご近所とは仲良くするのが当たり前。ベタベタする必要はありませんが、お互い気持ちよく暮らしていくには知恵を働かせてご近所仲良くするのは当然。それを、自国ファーストで、何でもかんでも敵対心丸出しで噛みついているようでは、いけません。
内田樹氏の「東アジア共同体について」という文章。日本と中国、そして韓国について書かれています。特に、中国は西に関心が向いていて東はそれほどでもないのが大昔からなので、日本に対する対応の仕方は先が読めないが、韓国とは親しくできるというこの記事は、とても面白い内容でした。読みながら考えてみました。

東アジア共同体について2019-01-06 dimanche
鳩山・木村鼎談本「第四章」から。東アジア共同体について話した部分を抜粋。

http://blog.tatsuru.com/2019/01/06_1045.html



東アジア共同体が、想像できる範囲での最適解だということは間違いないと思います。でも、関与するファクターが多過ぎる。われわれが何かをしたいと思っても、どういう手立てがあるのか、それがどういうプロセスで実現できるのかの予測が立たない。いちばん大きいファクターは中国です。
日本はアメリカの属国なわけですから、アメリカからの自立を果たすということが国家戦略としては最初に来るわけですが、中国がその動きをどう評価して、どう対応するのかがわからない。アメリカの支配から脱して、国家主権を回復するという日本の国家戦略を、中国が肯定的に評価するのか、それとも新たな変数が増えるということで否定的に評価するのか。独立した日本を含んだ場合に、中国がどんな東アジア戦略を描くことになるのか、それがまだ見えないのです。


◎なるほど、満州から侵攻した日本軍国主義は、アメリカに従属したままアメリカに抑えておいてもらった方が安心と中国が考えるかも知れないということですね。アメリカから自立した日本は中国にとって安心・安全な隣国なのかわからないという警戒心、分からなくはありません。信用されてなくても仕方がない戦後自民党、特に最近の安倍政権は歴史を逆回転させようとしていますので。中国がそんな日本への疑念を抱いたまま描く東アジア戦略?たしかに、分かりません。

いまは「一帯一路」や「21世紀海洋シルクロード」の構想が示されています。あまり言う人がいませんけれど、これはきわめて「中国的」なアイディアだと僕は思っています。いずれも中国人の中華思想」のコスモロジーにぴったりと合っている。


中国の基本的な趨勢はやはり「西漸」なのです漢代から、中華皇帝は国内統一が済むと、まず西に向かった。張騫や李陵や霍去病や衛青といった、われわれが中学生くらいのときから学ぶ人たちのたどったコースはいまの「一帯一路」とほぼ重なります。明代には鄭和が大船団を組んで、東シナ海を南下して、マラッカ海峡を抜けて、インドから紅海を経て、東アフリカまで航海をしていますけれど、このコースは「21世紀海洋シルクロード」とほぼ重なる。つまり、中国人にとって、中華皇帝の「王化の光」が広がってゆくときのコスモロジカルな地図は紀元前から現代まで、ほとんど変わっていないということです。たぶん、中国人にとってこの動線にはある種のつよい訴求力がある。ですから、この動線の方向にさまざまな事業を展開して、AIIBで集めた資金を投下し、そこに国内の過剰生産した鉄鋼や過剰な労働力を投下して、完全雇用を実現するというのが中国の長期的な国家戦略なのだと思います。それについてはおそらく国民的な合意がある



例えば、鄭和の船団は七回にわたって大航海をするわけですけれど、ついに一度も東へ向かわなかった泉州から出港して、すぐに南下してしまう。東に三日ほどの旅程で、日本列島があるのですけれど、見向きもしない。
こういう「何かをしなかった」場合については、歴史家はあまり興味を示しませんけれど、僕はけっこう国のふるまい方の根幹にかかわる重要な情報が含まれていると思います。


その「東にはあまり興味がない」中国ですけれど、日本がアメリカから自立して、主権国家として独立した国際政治のプレイヤーとなった場合に、どう遇するつもりなのか。日本をイーブン・パートナーとして迎えるということがありうるのだろうか。これはにわかには予測しがたいということです。

「西」へ向かう強い趨向性を持ちながら、その一方で、「東」については、中国人はコスモロジカルな強い物語を持っていない朝鮮半島、日本列島、台湾というのは、王化の対象である「東夷」にカテゴライズされます。もともと「化外の地」ですから、中華皇帝が実効支配する土地ではない。現地の支配者に自治を委ね、彼らが帝国に敬意を払い、朝貢してくる限り、さまざまな贈り物を下賜する。「東」について、中国人は特に強い領土的野心を示したことがない。歴史的にそうなんです。


◎「西漸(せいぜん)運動」と言えば、19世紀のアメリカ合衆国での白人による西部開拓、幌馬車で未開の地を私有地にしていく様子や、「怒りのブドウ」を思い浮かべます。西部への移住運動であり、領土拡大運動であり、辺境(フロンティア)に東海岸アメリカ人や、新たなヨーロッパからの移民が移住していった様子を思い浮かべます。それが、そっくり中国にも当てはまるのですね。
 西への関心は、漢や明の時代からあったもので、それが「一帯一路」や「21世紀海洋シルクロード」のコースと重なる。一方で、東に対する無関心。これが中国2000年の歴史を通しての中華思想コスモロジー・世界観なのだ・・・そうなんですね〜

アジア諸国の中で、いちばんそのふるまいが予測可能なのは韓国だと思います。87年の民主化以降の韓国は、国としてどういうかたちをとるかについてかなり安定した戦略を持っていて、それは国民的合意を得ている。ですから、日韓連携が一番計画的には実行しやすいと思います。
日本と韓国が相互に信頼しうるパートナーになること、これは他のどの組み合わせよりも現実性が高いし、実現すれば東アジアを安定させるための大きなファクターになります。韓国の人口が六〇〇〇万人ですから、日本と合わせると二億近い人口をもつ、巨大な経済圏ができる。生産力も開発力も両国ともにレベルは高いですから、日韓が連携すれば、一気に政治的にも経済的にも世界的なプレイヤーになれる
ですから、東アジア共同体を立ち上げる場合には、まず文化的に最も近い韓国との連携をうち固めることから始めるのが合理的だろうと僕は思います。日韓は言語的にも、宗教的にも、倫理観や美意識や、生活文化においても、非常に近いところにいます。この両国が緊密な信頼関係で結ばれれば、東アジアで中国と拮抗しうるだけの力を発揮することができる。


◎日韓関係は政治的には危機的と新聞やテレビで言われています。しかし、韓国で著書が何冊も翻訳され、毎年韓国で講演をしている内田樹氏は、大丈夫、市民の間の連携は深まっていると。

実際に、日韓では、草の根レベルでは市民間の文化的な連携は、すでに非常に深い民主化以前ですと、朴正熙全斗煥の時代の強権政治、開発独裁に対しては、違和感や嫌悪感を持っていた日本人が多かった。でも、民主化闘争以降、特にここ十年間くらいの韓国の民主制の成熟は眼を見張るほどです。朴槿恵政権を倒した一〇〇万人集会では、ついに一人の死者も出さなかった。軍隊が市民に発砲し、150人を超える死者を出した光州事件が1980年のことですから、韓国の民主主義の急速な成熟ぶりには驚かされます。民主主義の市民への根づきにおいて、日本はすでに韓国に抜かれたと思います。


 どうして日本が民主主義の成熟度で韓国に抜かれたのかというと、市民がこの民主主義制度を自力で戦い取ったものではないからです。それは多くの日本人が実感していると思います。これまでずっと目下に見ていた韓国が、気がついてみたら、日本よりも民主主義において成熟していた。このあと、南北統一の問題でも、中国やアメリカとの交渉でも、文在寅大統領は安倍首相よりもはるかに精密な手際で、複雑な交渉を展開するだろうと思います。民主化闘争の中で生き延びてきた文大統領と、何の苦労もなく政権中枢に達した三世政治家では経験の厚みが違う。
しばらくは経済的には日本のほうが上かも知れませんが、このアドバンテージがどこまで続くか、もうわからない。日本がこれから東アジアである程度のプレゼンスを維持したいと思うなら、日韓が相互に尊敬し合えるイーブン・パートナーとなるのが最も合理的な解だと僕は思います


◎民主主義において、韓国は日本より成熟している。これは、その通りですね。大統領の不正を許さなかったことも、うらやましいぐらいです。日本はまだまだぬるま湯です。与えられた民主主義の有り難さがまだまだ本当にわかっていないのだと思います。その韓国と日本が仲良くなって組めば、大国中国とも互角に渡り合えます。


ハブ空港、省略>



◎大国と小国の外交は「合従(がっしょう)」か「連衡(れんこう)」か。「合従連衡」は秦の始皇帝の時代の話だが、漢字文化圏の東アジアでは基礎知識として共有されている。この言葉で働きかければ、実現可能! 日韓が友好国になれればこんな愉快なことはありませんね。そのためには過去の過ちを謙虚に反省して、新しい関係を積極的に築く努力が大切ですね。草の根は大丈夫と内田氏は。韓流ドラマから韓国語を学んだり韓国へ旅行に行っているという同年代の方たちを知っています。私がかつて関わった被昇天学園の卒業生は、韓国人と結婚して今は韓国で暮らしています。ヨーガ仲間で韓国旅行を繰り返している方も。ヘイト本ツィッターの韓嫌ツィートにはがっかりしますが、確かに市民の間の絆は広く深くなっていますね。

昔から一つの大国と周辺の小国との外交は「合従」か「連衡」かですアメリカがこれまで西太平洋で展開してきたのは「連衡」政策でした。日本、韓国、台湾とそれぞれ個別に軍事同盟を結んでいた。けれども、同盟国同士の横の連携はとらせない。「分断して統治せよ(divide and rule)」という大英帝国以来の植民地政策をここにも適用していたわけです。論理的には、これに対してはわれわれ小国が選択する道は「合従」しかない。小国が縦方向に連携する。


この戦略の最大のメリットは、中国の「一帯一路」、や「海上シルクロード」構想と同じで、アジア諸国では、誰でもそれが何を意味するかがわかるということです。「合従連衡」という四文字熟語の意味は、たぶん韓国でも台湾でも、あるいはベトナムでも理解されるはずです。いずこももとは漢字文化圏ですから。合従連衡は秦の始皇帝の時代の話ですけれど、その物語は東アジアでは基礎知識として共有されている。「合従と連衡」の二択と言えば、この地域の人たちには共同的な記憶として共有されている。「種族の記憶」として共有されている。ある政治的なアイディアが身体化しているかどうかということは、その実現可能性に深く関与すると思います。             (2019-01-06 10:45)

PS:今朝の内田氏のツィッターにこんなツィートが:

こたつぬこ
@sangituyama 10時間前

時代は変わった。安倍さんの煽りは失敗。世論は嫌韓を評価せず


(朝日新聞世論調査)「韓国の元徴用工や、自衛隊機へのレーダー照射をめぐる問題を受け、安倍政権の韓国に対する姿勢を「評価しない」は48%で、「評価する」の38%を上回った