カナダからの手紙

最近の嬉しいことといえば、卓球での10代選手の活躍とか、テニスの大坂なおみさんの相次ぐ快挙とチャーミングな受け答えとか、昨夜のサッカー日本代表の試合とか。囲碁の9歳の仲邑菫さんとか。母に言わせれば日本も豊かになった。小さいころから環境を整えるだけの豊かさを享受できるようになった、ということに。
その母が、先日の夕食どきのこと、早く食べ終わって、夫が一人ビールから焼酎へと飲みながらおかずを突っついているとき、最近見た情報番組で気になったことを話し始めます。「松井(知事)さん、なんでいつまでも都構想て言ってるんやろう?」「一度住民投票で否定されているのに、しつこいよね〜」と私も。「今年6月のG20、大阪であるっていうけど、どこであるんだろう?」「住之江のインテックス大阪と言ってるよ」とニュースを見ながら私が答えても、「どこなんやろう、どこなんやろう」といつまでも言ってるので、スマホで「今年のG20の会場」を出してみました。
インテックス大阪の地図がでてきましたので、母に「ここ、大阪湾の近く」と見せましたら、やっと「あ〜、ここなの」「そう、ワールドトレードセンタービルの近く」「ここだったら知ってる。何回も行ったことある」と。「大勢の外国人を呼べるような所が大阪にあるの?そんな立派なホテルがあるの?」と口癖のように言って、ず〜と心配していましたが、やっと解消です。その間、私の方はテーブルをはさむ距離にいながら大声を張り上げてのやり取り。
納得して隣へ引き上げるのを送り出して、「やっと解消」と私が言うと、夫も「あの年で、海外事情や、国内事情についてあれだけ関心があるんだから、大したもんだ」と。「たっぷり時間があって、新聞をしっかり読んで、ニュース番組をしっかり見ての情報通だから、負けるね〜」と私も。その母が詠んだ俳句です:


  生き残り 装ってみる 初鏡

  ドライヤーの 余熱いとしむ 寒の入り

  やわらかに 梅の風くる 平成 逝く



◎カナダの友人から手紙が届きました。いつになく長文の手紙です。「寒中お見舞い申し上げます」で始まる手紙、個人的な個所を除いて、紹介してみます。最初の話題は、私が暮れに紅葉狩りのついでに西江寺でもらって来た「開運暦」について書かれています。

私が、こちらの日本人の友人たちに、こうして毎年 暦を送ってもらっていることを申しますと、「日本に分身がいるのネ」とうらやましがられています。暦はこちらでは「 Farmers' Almanac」として 今でも農業、漁業に従事している人たちに使われています。もちろん「大安」とか「仏滅」とかはありませんが。そして月の満ち欠けを 今でも宗教上の行事の軸としているインド人、中近東そしてアフリカの人達等等、多民族国家のカナダなので、暦を見て、なるほどと、うなずけるケースも多いです。ちなみに、今年の中国のお正月は2月5日の新月の日です。トロントも最近は中国からの富豪が多くなり、中国のお正月は中国街で盛大に行われます。(昨年11月ごろから街全体のデコレーションをやっていました)

◎「開運」としてでなく、農事暦として見ていたことがわかり、”謎”が解けました。次はカナダの老人ホーム事情です。

12月の末に突然オンタリオ州に「ひとつ」しかない(カナダ全国でも、2つしかないのでは?)日系の非営利団体の経営する「モミジ」というretirement home から電話で、寝室1つとかなり広い居間/dining room のある物件が空いたので、入居されますかと電話がありました。「モミジ」はトロント市内、近郊でも有数の立派なコンドミニアム形式の住居なので、私も5年前に申し込みました。
普通は、10年程待たないと入居できないほど人気がある所なので、急ではありましたが、入居を決めました。きっと、私が身寄りのない独居なので優遇していただいたのではと感謝しています。
この歳になると、自分でいくら計画しても解決できないことばかりです(病気/健康状態等も含め)。これからは、いろんな事を、「人間の生き方」として受け入れる「心」が必要なんだナァーと実感する昨今です。


◎これは、朗報です。今のマンションでも人間関係を大切にされていたので、日系の施設ならもっと住みやすくなるのでは。

こちらでも、キリスト教の教会などは、改装されて、マンションになったりと……人々は、宗教からどんどん離れていっています。が「心」の問題は大きくなるばかりで、精神病患者が沢山/沢山います。生活保護を国から受けてる若者も激増しています。それで国では現在、そういう若者に、生活保護ではなく、「最低給与」という形で生活費を支給する政策を考えています。又、犯罪も、アメリカ都市のように増え、昨年一年で、100件に近い殺人事件が(トロント市内、近郊市内)ありました。
こういう社会情勢を見ると、つくづく、私達が生まれ育った時代は「良かった」と思います。日本も、こういうカナダ社会と、似通っているのではと想像しますが、それに加えて、台風、地震等の自然災害、政治の問題等、大変と存じます。
それでも、何とかカナダの年金で暮らしてゆけますから、私もできるだけ、制作活動(ほとんどデッサン、設計図など平面の仕事です)に励み、何か私が出来ることがあれば、社会のお役に立ちたいと願う次第です。

◎カナダの方が、日本の先を行ってるのか? いずこも若い人たちが大変なのは同じですね。
トロントの夜は、-11℃,-12℃にもなるそうです。久しぶりのお便りにあちらでの暮らしぶりも書かれていて頑張っている様子。うれしいお便りでした。同封されていたハガキを郵便局で投函してきました。今日あたり山口のWさんに届いているでしょう。一時、日本に住んでおられたときは、我が家のお茶飲み仲間でしたので、あの時のメンバー、今は私を含めて3人ですが、この手紙をお二人にも紹介しようと思っています。
(昨年の晩秋から咲き続けていた山茶花も、新年を迎えるとハラハラと散りだしました。寒椿、別名・獅子頭も花の終わりを迎えて、いよいよ春の木、椿の花が咲きだしました。道すがらの垣根の椿が咲きそろっています)