箕面の紅葉と茨木のりこ「それを選んだ」と「四海波静」

西光寺さん、ドライブウエーを横切って裏のイチョウの木の階段から境内へ。

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週明けの今朝は雨。でも、12月1日の昨日は素晴らしいお天気でした。予報を聞いて、モミジを見るのは今日が最適と思っていたのですが、スキー板の修理ができたので受け取りに神戸まで一緒に行ってほしいと夫に言われ、車で出かけることに。JR三宮駅すぐ近くのビルにあるお店なので、駐車した車で5分ほど待っているのに付き合うことに。結局、3時間がかり、帰って昼食をすますと山へ出かけけるのは1時過ぎになりました。

美しい紅葉を写真に収めるには日差しが頼り。山間の谷には太陽が中天に来る12時ごろから2時過ぎまでが最適。それ以前、それ以後では山の陰になって日が差し込みません。で、この日は滝の近くの楓の林はあきらめて、手近な西光寺(聖天宮)さんで暦をもらうことに。カナダのSさんからのリクエストの手紙が今年はまだ届きませんが、なにかあったのかな? もし、手紙がなくても、私の方から送っておこうと思って社務所で、あの~毎年いただいているのですが…と言いかけたら、あぁ、あれ、その、暦!と言われて、私も、はい、その暦です。オレンジ色の表紙の農事暦と吉兆が書かれている開運暦の小冊子をいただいてきました。

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さて、紅葉ですが、イチョウの黄葉はさすがもう終わっていましたが、楓の紅葉が全盛期を過ぎたあたり。遠目には真っ赤で美しく見えます。結局、竜安寺境内まで行って戻ってくることに。数日前から取材でアメリカに行っている長男の無事を祈ってお参りも。2011年、ニュージーランド地震で日本人学生の犠牲者が出て、その取材に長男は初めて海外へ。現地到着後、いざ取材という時に、東日本大震災発生。急遽、日本でもっと大きな地震津波発生、取材をやめてすぐ帰国するようにと言われトンボ返り。今回は、そんな大災害がないようにと。 

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◎唐突ですが、ここで茨木のり子さんの詩を一つ。

   それを選んだ

 

退屈極まりないのが 平和

単調な単調なあけくれが 平和

 

生き方をそれぞれ工夫しなければならないのが 平和

男がなよなよしてくるのが 平和

女が溌剌としてくるのが 平和

好きな色の毛糸が好きなだけ買える

眩しさ!

ともすれば淀みそうになるものを

 

フレッシュにもち続けてゆくのは 難しい

戦争をやるより ずっと

見知らぬ者に魂を譲り渡すより ずっと

 

けれど

わたくしたちは

それを

選んだ

 ◎もう一つ、昭和天皇と笑えない群衆を詠んだ詩。

   四海波静

 

戦争責任を問われて

その人は言った

  そういう言葉のアヤについて

  文学方面はあまり研究していないので

  お答えできかねます

思わず笑いがこみあげて

どす黒い笑い吐血のように

吹き上げては 止まり また噴きあげる

 

三歳の子だって笑い出すだろう

文学研究果たさねば あばばばばとも言えないとしたら

 

四つの島

笑(えら)ぎに笑ぎて どよもすか

三十年に一つのとてつもないブラック・ユーモア

 

ざらしのどくろさえ

カタカタカタと笑ったのに

笑殺どころか

頼朝級の野次ひとつ飛ばず

どこへ行ったか散じたか落首狂歌のスピリット

四海波静かにて

黙々の薄気味悪い群衆と

後白河以来の帝王学

無音のままに貼りついて

今年も耳澄ます除夜の鐘

◎2つの詩は「別冊太陽」の「茨木のり子 自分の感受性くらい」より。