カニサボテンと山崎雅弘氏「歴史修正主義者の本当の目的」(「歴史の歪曲」は何のため?)

◎月曜日、午前中に母の面会の予約のため電話。珍しく選んだ時間を30分ずらしてOKになりました。行ってみると丸テーブル3つはすべて男性入居者と女性が既に話し合っておられて、テレビの前の豪華ソファがL字に置いてあるところに座って待つことに。

母はスタッフさんと少し離れて歩行器で歩いてやってきました。元気そう。ホームが紅葉見物に車を出して元循環器病センターがあった辺りへ連れて行ってくれたとか。私たちが紅葉の並木を見た『三色彩道』のことだろうと夫が。

その時車内で一緒になった男性から「あの芋ほりの軍手の俳句はあなたでしたか」と言われたそうです。屋上の芋ほりには二人しか参加していなくて、もう一人は男性だったと言っていましたので、その方です。母にも話ができる人が少しずつできてきたようです。薄手の毛布を今度持ってきてほしいと言われ、今回は私からは市から届いた来年のカレンダーを渡してきました。クリスマス・ランチも予約したとのこと楽しんでいるようで安心。

5つ先輩で104歳のMさんのことを聞かれていたので、先月のお茶の時先生に聞いたことを伝えました。元気だけど耳が聞こえなくなって筆談と伝えたら、「耳がダメな人は長生きするのかもね、私と一緒で聞きたくないことは聞かないから」に夫が「そうかもしれん」とすぐ相槌。笑ったことでした。

隣の家の、母が大事にしていたカニサボテンが咲き出しています。

f:id:cangael:20201129103929j:plain   f:id:cangael:20201129103840j:plain

🔲第二次大戦の日本についてアジアの国々の人々がどんな風に思っているかを調べた外務省の2002年の調査のグラフ。先週の山崎氏のツィッターが取り上げていました。「忘れることはできない」と言う人たちが一番多いフィリピン、シンガポールで3割以上、インドネシア、マレーシア、タイで2割強、一番少ないベトナムで1割強です。2002年ということは第二次世界大戦が終わって57年、半世紀以上経ってのことです。この数字、多いか、少ないか・・・取り様はあっても、ゼロにすることはとてもできません。それを無かったことに、と言うより日本が解放してくれたと感謝していると日本人が解釈することなどできるでしょうか・・・
 
 
 
 
1945年への道
 
@wayto1945
 
日本に解放してもらってアジアに感謝されて云々とかいう妄想、この外務省調査一発で砕け散るように思うんですが(史実に忠実なら何を持ってきても砕け散ると思いますが)、信じたい代物しか信じない御仁に論理的認識能力を授けるにはどうしたらいいんでしょうかね。
 

f:id:cangael:20201125231323p:plain

 🔲私たち戦後教育を受けてきた者にとって常識だと思っていた考え方を否定する人たちが増えて、今や歴史的事実そのものを認めようとしなくなっています。主に日本会議の人たちの考え方ですが、歴史を書き換える『本当の目的』とは?を山崎雅弘氏が書いています:

 
 
山崎 雅弘
 
@mas__yamazaki
 
一年前、『歴史戦と思想戦』(集英社新書)の発売後に受けたWezzyのインタビュー記事です。 歴史修正主義者が歴史を書き換える「本当の目的」/山崎雅弘インタビュー
歴史修正主義者が歴史を書き換える「本当の目的」/山崎雅弘インタビュー - wezzy|ウェジー
 政府間の対立がエスカレートして泥沼化したように見える日韓問題。両国の関係がこじれた根本的な一因として、安倍政権やその支…

歴史修正主義者が歴史を書き換える「本当の目的」/山崎雅弘インタビュー - wezzy|ウェジー (wezz-y.com)

🔲 「歴史修正主義者」と言われる人たちの「日本」は戦後の日本ではなくて戦前の「大日本帝国」のこと:

歴史修正主義者が歴史を書き換える「本当の目的」/山崎雅弘インタビュー

  政府間の対立がエスカレートして泥沼化したように見える日韓問題。両国の関係がこじれた根本的な一因として、安倍政権やその支持者が掲げる「歴史修正主義」を指摘する声は多い。

 国際社会の視線も同様だ。アメリカ「ワシントン・ポスト」紙は、日本で影響力を増す歴史修正的な考え方が東アジアにおける平和を脅かし、世界経済にも悪影響を与えかねないとはっきり指摘している。

 しかし一体なぜ、歴史修正主義は日本でこれほどの力を勝ち得たのか?

 南京大虐殺否定論などにおける歴史修正のレトリックを暴きだした新書『歴史戦と思想戦──歴史問題の読み解き方』(集英社)を上梓した戦史・紛争史研究家の山崎雅弘氏に話を聞いた。

歴史修正主義者が歴史を書き換える「本当の目的」/山崎雅弘インタビューの画像2

【山崎雅弘】
1967年、大阪府生まれ。戦史・紛争史研究家。主な著書に『中国共産党人民解放軍』(朝日新聞出版)、『日本会議 戦前回帰への情念』(集英社)、『1937年の日本人』(朝日新聞出版)、『「天皇機関説」事件』(集英社)、『沈黙の子どもたち──軍はなぜ市民を大量虐殺したか』(晶文社)などがある。

__________________________________________________________________________

 「歴史修正主義」が力をもつことでどんな問題が起こるのでしょうか?

山崎雅弘(以下、山崎) 「歴史修正主義」とは、南京虐殺否定論や、慰安婦問題の非人道性を否定する言説などを指しますが、まず、歴史修正主義者たちがこうした歴史の歪曲を「なんのために」やっているのかを知っておく必要があると思います。

──彼らはなにを目的に従来の通史を書き換えようとしているのでしょうか?

山崎 日本における歴史修正のパターンを見ていくと、すべて最終的には同じ点に到達します。
 それは、「大日本帝国の名誉と威信を守る」ということです。
 そのために、過去に大日本帝国が犯した不都合な出来事をなかったことにする。つまり、大日本帝国が周辺の国や地域に対して行った非人道的な行為を否定するわけです。
 南京虐殺慰安婦問題の事実を書き換える行為は、あくまで大きな目的のためのプロセスであって、それ自体が目的というわけではないんですよね。 

🔲なぜ戦前の非民主的な日本が良いのか・・・「権威に従属する一体感」の方が自由より楽だと思う人たち: 

──日本においても一般的な戦後教育を受けた人は、基本的には「大日本帝国は負の象徴のひとつ」という感覚だと思うのですが……。

山崎 第2次世界大戦後の日本に生きる人々は、日本国憲法で保障された基本的人権や自由を謳歌してきたのに、なぜわざわざ、人権が制限されて自由もなかった時代に魅力を感じるのか?
 それは、その人たちは自由や権利を獲得することよりも、「自分が立派な集団の一員であり、強大な権威の庇護に置かれていると感じることによって、自分自身の存在価値を確認できる」ということに重きを置くからだと思います。

──「自由」より、行動や権利を規制されてでも「なにかに属している」ということの方に魅力を感じるのですか。

山崎 これは日本に限ったことではなくて、普遍的な話でもあります。
 社会心理学精神分析の研究者であるエーリッヒ・フロムは『自由からの逃走』という本のなかで、ナチスドイツが勃興した理由を同じように読み解いています。
 「自由」って、それを使いこなすことのできる人にとっては有益なツールですけど、そうでない人にとっては負担になるんですよ。

──「自由」を負担に思う人もいる。なぜでしょうか

山崎 自由は「ひとりひとり好きなことをやっていい」ということですが、それが心地いいという人もいれば、逆に不安になってしまう人もいる。
 自由をどのように使いこなせばいいか分からないがゆえに、自由であることよりも「自分は立派な組織の一員である」「立派な組織のなかで役割を果たしている」と感じることで生きがいを得る人もいるわけですよね。

──その感覚は分からなくもない気はします。

山崎 そうした権威主義的な人にとって、大日本帝国というのは完璧なパッケージなんですよ。
 大日本帝国では、神話と現実をごちゃ混ぜにするかたちで天皇の権威を高め、国民は宗教的な思想を背景とした絶対的な権力構造の下に置かれた。
 天皇が権威をもっている根拠は神話のベールに隠されているので誰にも検証できない。検証できないので、絶対的な存在としての天皇の権威は際限なく高められていきました。
 すると相対的に、国民の権利や自由、命は際限なく軽くなっていった。その到達点として起きた悲劇が先の戦争です。

──悲劇を引き起こした大日本帝国的な価値観は戦後いったん否定され、二度と同じ過ちを繰り返すまいという反省が今日まで受け継がれてきました。それがなぜ現在の日本で再び力をもち始めたのでしょうか?

山崎 2011年3月11日がきっかけのひとつになったと思います。
 あの日以降「」という言葉がよく使われるようになりましたよね。これは要するに、孤独感を慰めるための言葉です。
 未曾有の災害に直面した不安から、人々は自分も集団の一部であり、周囲との「絆」があると確認したがった。そのときに使われたのが「日本人」という民族集団としての意識なんです。

──「日本すごい」ですね。

山崎 そのあたりを契機に「日本人はいかにすごいか」をテーマにしたテレビ番組が出てきて、「外国から来た人は日本文化のここが好き」とか「日本の技術力に世界が驚いた」とか自国礼賛の優越感をくすぐるようなコンテンツが増えました。
 昔から大日本帝国的な権威主義に惹かれる人は一定数いましたけれど、3.11以降その数は急激に増え、そうした空気感のなかで登場したのが2012年12月に発足した第2次安倍晋三政権ということだと思うんですね。
 安倍政権およびその支持層というのは、まさに大日本帝国的な精神文化を継承しようという集団なので、需要と供給が一致したと言えるのかもしれません。 

🔲ではなぜそんな権威主義者が生まれたのか? 

日本の教育は「個人」を確立できなかった

──根本的な疑問なんですけど、なぜそんなに権威にすがりたがるのでしょうか?

山崎 戦前、戦中はもちろんですけど、戦後も、そして現在にいたるまで、民主主義の根幹である個人主義の教育をやってこなかったということに尽きるのだと思います。これは重大な問題です。

──なるほど。

山崎 いまも昔も、「集団に合わせる」とか「親、先生、先輩の言うことには従う」という基本的な教育の構図は変わっていない。

 個人としての価値を認め、「各人が独立して思考・行動していい」ということを教えてこなかった。

◆全文はこちらで: 歴史修正主義者が歴史を書き換える「本当の目的」/山崎雅弘インタビュー - wezzy|ウェジー (wezz-y.com)