Nさんの訃報と11月のお茶のお稽古

◎今日はヨーガの日ですが、いつも金曜日の午後だったお茶が、どなたかの都合がつかず水曜日になっていました。ところがヨーガで、休憩時間に先生からNさんが亡くなられたことを聞きました。Nさんというのは、歳は亡くなった父の干支と同じで一回り下、今年93歳のお独り暮らしの方です。9月にSさんと我が家にお招きして3人でお茶の時間を過ごしました。その後、10月下旬に京都の柴漬けが手に入ったので夫の車でお宅まで届けに行きました。駅向こうの急坂の上のお宅で、少し迷いましたが住宅地図を見て訪ねて、勝手口まで行ってお渡しして少しお話しました。それが最後になりました。60歳の時、70歳で仕事を辞められた夫を亡くされて、その後ヨガに顔を出され、脚が悪くなられるまでヨガメンバーでした。娘さんが二人おられますが、このまま独り暮らしを続けて自宅で頑張ると仰っていました。それまで、老人大学での勉強やバラや草花、ビーズやパソコンなど、年齢に関係なく何事にも熱心に打ち込まれる元気な大先輩でした。お茶にお招きした時は母にも顔を出してもらって一緒にお話したこともあって、”7つ年上の母がお手本だったのに、去年母が施設に入ったことがショックだ”と言われました。電話のたびに「どうして施設へ? 自宅でもいけたんじゃないの?」と言われるので、「母もNさんの頃には元気だったけど、糖尿病になって脊椎管狭窄症や骨折が重なったので自分で選んで決めたのよ。元気だったら一人暮らしをつづけていたはずだから、Nさんはまだ大丈夫よ」と電話で答えたりしていました。

先生のお話では、金曜のヨガ教室のご近所の方が「2,3日前に電話で話した時は元気だったのに、救急車とパトカーが来て亡くなっておられた」とのこと。最初は驚きましたが、その内、思い通りの生き方、死に方をなさったと思いました。『自分の家で死にたい。どこへも行きたくない』と仰っていましたし『娘の世話にもなりたくない』とも。その内『お見事…』と思えるようになりました。思い通りに生きて思い通りに亡くなられたんだと。

帰って直ぐ、いつも一緒に食事やお茶を共にしたSさんに電話しました。Sさんとも話しているうちに、Sさんも「偉いな~思い通りの死に方をなさったってことね~」と同じ思いに。思いがけない訃報に接して、午後から変則的なお茶のお稽古日だったことを忘れてしまって、2時にNoさんから携帯電話で「忘れてない?」と言われて飛び出しました。

◎先生と三人でお喋りされているところに、すみませ~んと言って加わりました。本当は控えの間にキチンと正座して頭を下げてお詫びのご挨拶をしないといけなかったのを途中で思い出して反省。気が動転してました。その後少しヨガでの出来事も報告しましたが。さて、11月から炉のお茶です。

掛け軸は「心静寿自長」。読み方を先生に聞きました。「心静かなれば寿(じゅ)自ずから長し」。意味は「心を平静にしていれば、長生きできる」という意味。お花は紅葉したズイナと蕾の椿。ズイナは切り取るとき紅葉した葉が落ちるので難しいそうです。

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いつものように私からという圧を感じて水屋へ向かいました。箕面焼きの赤いお茶碗と大谷焼という深緑のお茶碗を選びました。Naさんがお茶碗を温めて準備を手伝ってくださいました。蓋置は緑色の柴束というのを選びました。稲を刈り取った後の茎を束ねたもので、先生は色が悪いと仰っていました。もらいものだそうで私なら買わないとも。

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Naさんが選んだ吹き寄せの絵柄の京焼のお茶碗とどっしりした厚手の織部のお茶碗。

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主菓子はゆずの香りのする蒸羊羹かな。頂いたとき、ゆずのいい香りがしました。

お干菓子は、小さなもみじの葉の形をした落雁と豆煎餅。

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お点前の終わった後、私は、柄杓と蓋置をトの字に置くト飾りでしたが、

↓こちらはNaさんのお点前が終わった後の飾り付け。

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これが私も使った徳島の大谷焼のお茶碗。

きれいなヒスイ色の釉薬がたっぷりかかっていて、外側には釉薬が流れてできたガラス質の塊が出来ているほど。硬質な感じがして重みもあって、初めてのお茶碗でした。

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波の絵柄の赤い棗。ふたを開けると黒地に金と銀(螺鈿?)の千鳥の模様。

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手に取る時、下のように波の絵柄が横になるのが正しい。茶杓で掬った跡が蓋の絵柄に対して垂直になっているので、絵柄を考えて手に取っていないことがバレてしまいました。身と蓋は、絵柄が上下で連続している箇所が必ず一ヶ所あるので、そこで判断します。身の正面が分らなくて、そのままお点前を続けていたので、そういうことに。

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終わって、12月と1月のお稽古日を決めて、Noさんから福井の柿の実を夫婦で600個むいて作ったという吊るし柿を一本頂きました。10個実がついていますので、これを60本も作って軒下に吊るしておられたことに。有難く頂戴してサンルームに吊るしました。もう少し吊るしておいた方がよいとのこと。