◎7日の羽鳥慎一のモーニングショー「そもそも総研」は「緊急特集」で「戦争は止まるのか?外交の目的とは?」を放送。丁度母の施設へ差し入れのプリンと頼まれていた化粧品を届けるため出かけるところだったので、慌てて録画することに。
元外務審議官の田中均氏と元駐ウズベキスタン大使の孫崎享氏が「戦争と外交」について話していました。途中の録画分から書き起こしてみました。字を大きくしたり色付けしている箇所は画面で強調されていた部分です。
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東部の帰属問題、ロシアは譲歩できるのか?
(ナレーションで説明)
ロシアがウクライナ東部にこだわる理由
歴史をたどると10~12世紀、ロシア、ウクライナ、ベラルーシは「キエフ公国」という1つの国でロシア人とウクライナ人で地域の往来があった。
1922年にウクライナはソビエト連邦の構成共和国になり、独立後も東部に多くのロシア系住民が生活。
玉川徹氏:今、もうロシアは東部2州というのは独立した国だと宣言しちゃっていますよね。それを自治権というふうなかたちで、ある種後退させるわけですね、ロシアからすると。それでもロシアはOKというのでしょうか?
孫崎享氏(元駐ウズベキスタン大使):ロシアが認めるのは国連が監視するかたちで選挙をする。ロシアと一体となるか、或いは独立するか。そういう自ら決める権利を東部に与えればいいと。だから、国際機関の監視のもとに選挙をやれば、その結果、7~8割がロシア系ですから、ウクライナに戻るという選択は無くて、ロシアとの併合か自分の国の独立を望むだろうと。
玉川:というのは、ロシア側の考えですね。
孫崎:そうです。
(ナレーション)孫崎氏は選挙をすれば東部のロシア系住民は「ウクライナからの自立」を選ぶだろうと考える。ウクライナ側も『民族の自決権』を認めざるを得ないので国際機関の監視下での選挙に応じるだろう。
しかし、ロシアが現在実効支配しているのは東部だけでなく南部まで広がっている。
玉川:南部もどんどん支配地域に置いているわけですよね。で、その南部を全部放棄し て東部だけというかたちだとロシアにとって、現状からすると妥協というか後退になると思うんですけれど、そこまで下がる可能性はあるんですか?
孫崎:南部では都市を攻撃しているのは港湾ですよね。非常に気にしているのは、やはり武器が入ってきて、そして東部ももう一度戦場になるのではないかという恐れが依然としてありますからね。そういう状況においては港湾を押さえたいという気持ちはあると思います。
なぜロシアが後退したかという事を考えると、もうこの戦争は勝てないんですよロシアは。最新の地対空ミサイル、或いは対戦車ミサイル、こういうようなものがでてきて、この威力を明確にロシアが分かった以上、戦争を継続することでウクライナを支配できることはないということは分かったと思います。
だから、もしも、これで戦争がずっと続いていけば、勝ち目のない戦争をつづけることなんですね。
玉川:そうすると、もう当初の目的は達することはできないから、最低限どこだ、ということになるか、ということ。その”最低限”が東部だということ。
孫崎:そうですね。
(ナレーション):一か月以上交戦状態が続くウクライナ。
二人の外交官は戦争を止める手立てはあると考えていますが、
そもそも戦争を避けることは出来なかったのでしょうか?
戦争は回避できた? 元外交官2人に緊急取材
玉川:そもそも今回のウクライナの戦争というのは回避する方法はなかったのでしょうか?
田中均さん:あったでしょう。あったと思いますよ。
ソ連が崩壊した時にロシアの扱い方というのが充分ではなかったと思う。ロシアを民主主義諸国の中に引き込まなければいけないという議論だった。だからG8に入れたわけですよ。
だけどロシアのような国は、何が一番関心があるかというと軍事なんですね。だからロシアの非常に苦しい時期を経ながら、ロシアの軍事費というのは増え続けた。
本来NATOはそれに対してやっぱりきちんとした枠組みを作って意思決定の透明化とか或いは信頼醸成とか軍備管理という事をやっておかなければいけない。
ところがロシアは石油・ガスを持っていたわけですね。だから平時においてはそういう経済的なロシアが提供するベネフィット(利益)に目がくらむ。アメリカも日本もヨーロッパも間違えた。そうでなければ戦争は止められたのではという気はしますね。
今からでも遅くないということではなくて、今、止めなきゃいけない。もう1回、アメリカ、ヨーロッパ、日本は徒党を組んでどうすべきかという事をきちんと相談しなければいけないですよね。
G7で集まって「制裁を強化しましょう」と言うのはいいけれど、どうやって戦争を止めるんだという事を真剣にシナリオを作ってほしいと私は思いますね。
外交で戦争は止められるのか?
玉川:国際紛争の解決の手段としては外交があり戦争があるわけですね。現実として、外交で戦争が止まるのか、という事を言う人もいると思います。これについてどう思われますか?
孫崎享:私は止まると思います。
すべて武力紛争というのは、何らかの政治的な対立があるんですね。
その政治的対立というものをよくよく考えると紛争になったときの犠牲と政治的な譲歩、これを比較した時には、決裂した時の戦争の武力の被害の方が大きい。
玉川:それが外交上の譲歩ということですね。
孫崎:そうですね。
田中均:私も外交官を長年やってきましたけれど、何を目的にやっているかというと、やっぱり紛争・戦争を防ぐ為に外交が何ができるかということなんですよ。それ以外の目的なんて外交にはないんですよ。やっぱり人が死ぬという事を止めるのは国家の重要な責務ですよ。
だから外交の一番大事なところというのは戦争を止めるということでなければいけないと思うんですね。
戦争を止めるために必要なのは?
田中均:戦争を止めるためには外交が機能していかなければならない。外交的な合意を作るときにはNATOが強く連帯しないといけないし、アメリカが中心になって外交を行うべき。
経済制裁を東部の主権問題と組み合わせて1年で結果を作る。その間は停戦という状況を続けた方がいい。
崎享:東部の自決権を認めてもらう。国連憲章でも「民族の自決権をまもる」というのが大原則
玉川:世界は何ができるか。
羽鳥慎一さん:外交、大事ですよね。さっきCMでも話がありましたが、外交のテーブルで効果を上げるためにも、ある程度軍事的効果も必要なんだという。あぁそういう事なんだ。だから、ある程度の軍事も必要なんだ…と言う、そうなんだな~複雑なんだな~と。
玉川:ある程度テーブルに着くまではお互い闘わなければならないとすると、これはウクライナの国民にとっては、‥‥ロシアの兵士も死んでますからね、それを思うと、それが世界か…という感じになりますけど・・・
結び:アメリカが中心になって積極的に戦争を止めるべきである。
玉川:僕は外交で戦争が止められるのかまだ疑問ですが、でもまだやってない。外交をやっていない。それに、戦争にならないための、戦争を始めないための議論、どうすべきかも今から話し合うべきだと。
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