お見舞いに行ってきました。

日曜日、選挙の日の夕方、知り合いのお一人暮らしのKさんの甥と姪に当たるという方たちの訪問を受けました。
何事かと一瞬嫌な予感もよぎりましたが、最悪の事態ではなく、ホッとしました

4月に、ご本人と電話でお話ししてからお目にかかったことがなかったのですが、一月以上も前に家の中で転んで骨折。一晩動けず、翌日ヘルパーさんが発見、救急車で病院に運ばれ、そこで入院中。「治っても今まで通りの一人暮らしは無理なので、私たちの住んでいる近くの施設へ入所することに決まった」ということでした。あと1,2週間で・・・ということでしたので、昨日、お見舞いに行ってきました。

一回りも二回りも小さくなったKさんを見て、ビックリしました。でも、お話ししだしたら、大丈夫。いつものKさんでした。
「死んでも病院や施設には入るもんかと思って生きてきた。やっぱり、こんなところに入ったら、殺される」と相変わらず物騒な表現で、相部屋の皆さんに聞こえたら悪いな〜と私の方が気が気でありません。「骨折ではなくて、外れたんだ」ということで、手術はせず、コルセットもなし。「一日も早く退院して家に戻りたいが、3か月経たないと帰してもらえない。それで、リハビリの所で、頑張っている。ケアマネージャーさんが探してくれて、甥たちの近くで、治ったらすぐに退院させてくれる施設を見つけてくれたので、認定書さえ下りれば、そちらに行く。もう一度元気になって、世話になった人たちに恩返ししないと」と気丈です。私も「そうね、早く元気になって、沢山、返して下さいね」と相づちを。

梨の皮をむいて一口サイズに刻んで持っていったのを「一緒に食べましょう」と差し出したら、「セッカクやから」と一口ほお張って、「ナシやね〜」と口の中でゆっくり転がしながら「あ〜、おいし〜」と。私も一つ口に入れました。

たくさん、お話しして、「嬉しいよ〜」と何回も涙を流されるので、胸がつまります。おそらく甥ごさんの近くの施設に入られたら、戻ってこられることはないでしょう。疲れてもいけないと、最後に手を握って「お元気でね」と言って別れました。父と同い年、大正5年生まれで93歳です。

甥ごさんに施設入所の件「納得されましたか?」と聞いたとき、「はい、納得してくれまして」と仰っていたことがよく解りました。
何と見事な「説得」。ご本人の自尊心を傷つけず、性格や前向きな生きる力に依拠した「納得」を引きだしておられます。こんな見事な説得の仕方があるんだな〜と感心しました。病院の担当医、リハビリの先生たち、ケアマネさん、そして身内の甥ごさん、姪ごさん、皆さんのチームワークの成果です。Kさんの人となりとそれを生かした愛情いっぱいの周りの皆さんの温かい思いやりに、なんだか、心打たれて帰ってきました。
  数年前まで、独り暮らしのお年寄りの方達に通信を発行していて、「こういうのは続けなアカンよ」と励まして下さる熱心な読者で、また、自作の俳句の寄稿者としても、私の通信を楽しみにして頂いていたので、今回はKさんお一人のための「花だより」を作って届けてきました。