美しい37歳・熊川哲也さん


つい先ほどNHKのお昼のスタジオパーク、ゲストはバレエの熊川哲也さん。英国のロイヤルバレエのプリンシパルまで上り詰めて26歳で退団。
帰国した日本で自分のバレエ団・Kバレエカンパニーを立ち上げて現代曲に取り組んだり、その後、バレエスクールで後進の指導にも乗り出し、年間50公演、10万人の観客を動員し続けて10年。

「26歳と10年後の今と何か変化は?」という問いに「バレエは自分をアピールする術(道具という意味?)だったが今はバレエという古典(芸術)に奉仕する自分=自分目線のバレエから、バレエ目線の自分」に変わったとのこと。技術を極めた天才が語る自分史ですが、語り口はリズムに乗って軽快そのもの、でも、中身はなかなか深くて重い。

15歳で北海道からいきなりロンドンのバレエスクール、16歳からロイヤルバレエに入団、それから東京だったので、田舎ものが大都会へという感じ。東京があらゆる意味で世界的な先進的な都市であることにある意味カルチャーショックだったというお話しにナルホド。ベートーヴェン「第九」を振りつけた時は、やり始めてすぐ「どうしてみんながやらないのか分った、すぐ後悔した」には笑わせてもらいました。歓喜の歌のところ、少し舞台の映像が流れました。70分全部見てみたかったですね〜
バレエ音楽ではないシンフォニーに振付を考えている時期というのが靭帯切断の大けがをした時で、実際の踊り手ではなく振り付けや後進の指導という別の分野でバレエとの関わりを持てたのは幸せだったといお話でした。

10年前だか、帰国後の肩に力の入った野心的でエネルギッシュな熊川さんのインタビューとは違って、
穏やかで人間的に成長した余裕と「バレエに捧げる人生」という信念を柔らかく爽やかに語る青年
踊っている姿は勿論素敵ですが、人間的にも魅力に溢れた美しい37歳でした。
「一心不乱」の十年だったそうですが、上手に年を重ねた人の美しさです。