食べること

昨日のNHKクローズアップ現代若い人たちの食生活を取り上げていました。若い人たちだけではないのかも・・・
最近、まともに食事をしないで、お菓子や菓子パンで空腹を満たすだけの人たちが増えているとか。献血も出来ない血液の女性が取り上げられていて、食事について聞いてみると必要なタンパク質が足りていないとか。中年の作家の男性は主食が60数種のサプリメントの錠剤とカップ麺。こういう人の作品を読みたいとは思わないな〜なんて事をすぐ思ったり。

ゲストコメンテーターは料理研究家の辰巳芳子さん(1924年生)。「食事、食べることは愛情」と仰っていて、私は今は亡き義母を思い出しました。
私は卒業してすぐ社会人になり、家の事は何にもしないで結婚しましたので、お料理も本を見ながらの我流もいいとこ。実家からも遠く離れた沼津で共働き、何にも解らないで我武者羅な生活をしていました。それが2歳の子どもとお腹に二人目という状態で夫の家族と同居。一から出直しの家事見習いが仕事でした。その点、明治生まれの母は素晴らしい先生でした。
加賀の温泉町の田舎のこと、野菜は馴染みの農家のおばさんが定期的に大八車をひいて売りに来るので、旬のお野菜が玄関先で手に入ります。魚は馴染みの魚屋さんで、日本海のトレトレの生きのいい魚が安く手に入ります。肉は坂の下の馴染みの肉屋。何でも屋は馴染みのアソコ、とお嫁さん紹介のデモンストレーションみたいなもので、顔繋ぎをされました。スーパー一か所で済ましていたのとは大違い。
新鮮な代わりに、野菜は泥落としから洗い上げての下準備に時間がかかりますし、魚は自分で捌いて、イカはこれまた墨から何から自分で処理しないといけません。つくづく食事の為の時間のかかるのには驚きました。そして、これは「愛情」そのものなんだと得心しました。母は4人の子供に本当に美味しい食事を調えるのに一生懸命だったのです。そして、今は私たち同居家族のために一生懸命でした。こうやってお膳に乗せられる食事が不味いわけはないのであって、本当に美味しい食事でした。今までの「何を作りたいから材料をスーパーで調達」というのから、「旬の食材がこうだから何を作ろう」と考えるようになったのも母のお蔭でした。

で、この辰巳さんが「身体は刷新されている」とも仰っていました。
私たちの身体中の細胞は日々失われていて日々新しく作られているということを言っておられるのだろうと思います。
鴨長明方丈記、「ゆく川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず」ということですね。
生きることは食べること、食べることに一生懸命になることは一生懸命生きることでも・・・
楽しく生きることは、楽しく食べることでも・・・