水曜の関西テレビの「アンカー」、5時からは青山繁晴さんのニュース解説です。
この日は、ご自分の得意分野（奥さんの青山千春博士の専門でもあって）のメタンハイドレートの解説でしたので、いつにも増して力が入っていました。全文書き起こしのブログ（アンテナの”ぼやきくっくり”さん）もありますが、私なりに整理してみます。
力が入ったのは、政府や東大の学者が日本海側の良質なメタンハイドレートの存在を、大国や隣国を怖がって無視・隠そうとすることに対して。結局、敗戦直後から続く既得権益者の言いなりだと。しかし、そのことを問いただす地方自治体の新しい若い力が日本の希望であると青山氏が熱く語ります。
メタンハイドレートは「燃える氷」と言われる白い塊で、地震地帯に分布する人類最後の埋蔵資源であり、地球温暖化には一番悪影響が少なく、熱効率が高い。10年前から日本でも注目されています。
今月中旬から愛知県沖でメタンハイドレート海洋産出試験に着手というニュースが流れていますが、それに先立つ1月31日に、「メタンハイドレート開発促進事業中間評価検討会」という大事な会議がありました。（青山氏の独立総合研究会は傍聴参加のみ）
この会議では「太平洋側だけでやってきたのは正しかった」という会議になるはずだった。ところが、和歌山県の県庁職員から疑問が出された。「日本のメタンハイドレートは地層中（海からさらに下の地層の中）と海底表面の2種類あるはずだが、今日の話はなぜ地層中のみなのか？」
これに対して、東京大学准教授が「第1目標が地層中からだから。地層中の方が開発しやすいからというのは変だが。」と答えた。（実際は地層中より海底表面の方が開発は楽なのだから、これはこれで正直な発言だと。）
大手民間企業技術系幹部（圧力がかかるので公表できない）からも質問があった。「太平洋側ではメタンハイドレートは、海底から下の泥の中で砂と分子レベルで混じっている。ところが、日本海側では白いメタンハイドレートが露出している。結晶で存在して純度も高く取り出しやすい。」
東大准教授に代って政府関係機関の幹部が答える。「日本海側は今は開発対象ではない。理由は、量が分からず、場所は上越沖のみだから」。しかしこれはウソである。
去年7月にスコットランドの国際ガス・ハイドレート学会で、韓国が竹島近海のメタンハイドレートを調査し発表している。＜←日本海（JAPAN SEA)が東海（EAST SEA)と表記されている。日本側から正式に抗議しないので、学会では「東海」で納得されてしまう＞
「戦争に負けた日本が資源大国になっては困る。アメリカとか国際メジャー石油資本、アメリカ、イギリスの支配する、それらが黙っていない」と怖れる人たちが日本にはいる。ところが韓国のメタンハイドレートの実用化のお金を出しているスポンサーはアメリカエネルギー省と国際石油資本である。
67年前戦争に負けて以来ず〜と敗戦後の日本の在り方に乗っかって、そこから利益を得ている人たちが、いつまでも日本を敗戦直後の日本のままにしておきたい。
東シナ海の所は水産庁の委託で調べて分かった。エネルギーをやっている経済産業省は既得権益べったりで、東京大学もべったり。
東シナ海の尖閣諸島の上の方も、千島列島全部、カムチャッカ半島のすぐ下まで、メタンハイドレートの宝庫。だから、メドベージェフ大統領は国後島に足を下した。石油工学で無理なら土木工学でやればいい。実際、バイカル湖では日本のゼネコンが協力している。
日本の政府が及び腰で避ける理由は２つ。１つは、太平洋側だけをやってきたと指摘されるのが怖い。2つ目は、日本が資源大国になるのが不都合。
太平洋側にはこの10年間で500億円、自民党時代からやっていて成果が上がっていない。また、日本が資源を持って大きな発言をすると中国や韓国に怒られる、アメリカも嫌がるという思い込み。
突破口は誰か？ 東京で開いた検討会に、自分で自腹を切って霞が関へ行って会議に参加し、正確・公平なメモを取った和歌山県（太平洋側）の職員、桑将倫（くわ・まさみち）さんのような普通の青年だけど、志とフェアな精神の個人だけでなく、自治体で連携すればよい。
太平洋側の和歌山と日本海にも面している兵庫県、新潟と静岡、あるいは愛知県と連携していく。自治体の連携から日本の希望が始まる。
青山氏の力の入れ方に、ついていけないこともよくあるのですが、今回は大丈夫でした。
真ん中右の図。政府発表に対して、青山氏が赤で付け加えた日本海側のメタンハイドレート分布図。政府は調査していないので「判らない」と答えている。
赤い帯は、東シナ海の尖閣諸島や竹島などを覆っていて、中国や韓国と事を荒立てたくない「事なかれ」の日本政府は調査さえしようとしないという。そのうち「同盟国」のアメリカが韓国と一緒になって日本領域内のメタンハイドレートをゴッソリということにならないといいですが。
