水曜日は、5時頃から関西テレビで「アンカー」というニュースのワイド番組がありますが、ニュース解説の担当が青山繫春さんです。石原都知事の辞任と新党問題がありましたが、さすが青山氏、2日前の月曜日の9時からのNHKニュース番組で取り上げられた、「メタンハイドレート、日本海側でも新発見」を解説でした。
私もこのニュースを見ていて、「なんで新発見? 青山さん、前からアンカーで言ってたよ〜」でしたので、何かの間違い?と思ったりしていました。
青山ファン?がこのニュースを見て、関テレの「アンカー」宛て「『新発見』の横取り?」と「青山さんの自説が認められてよかったですね」という二通りの投書があったそうです。
◎蛙ブログでは今年の2月10日に取り上げています。こちらの方が短くてまとまっていますので是非:「日本は資源大国(日本海のメタンハイドレート)」(http://d.hatena.ne.jp/cangael/20120210/1328835587)
先ずおさらいです。「燃える氷」と言われるメタンハイドレートのもう一つの特徴は「石油や天然ガスは、例えば中東のカタールのような地震の起きない国でとれるというのが常識。ところがメタンハイドレートに関しては逆さまで、むしろ地震の起きる所で獲れる新しい天然ガス。従って、これが発見されただいたい14〜15年ぐらい前から、世界でも日本が注目されていた。実はもう10数年前から、当時もちろん自民党政権ですけど、日本政府は、この調査を始めました」ということで、南海トラフのあたりで調査し、実際、メタンハイドレートはあった。しかし、「海底の泥の中に砂と一緒に混じり合ってるから、なかなか取り出しにくい。ところが、その後に分かった日本海のほうは、塊でむき出しになってる」。そこで、青山氏は「日本海側をまず先にやって、取り出しにくい太平洋側へのいい刺激にもなる」とこの「アンカー」でも5年も前から言ってきた。
<なぜ政府はずっと今まで日本海側をやらなかったのか?>
「日本政府が日本海側のメタンハイドレート開発に取り組まなかった理由は、太平洋側に税金を注ぎ込んだことを批判されたくない。それから、日本海側はすぐ資源になるから世界秩序を変えたくない」
1つ目、「太平洋側にだいたい500億円ぐらい入れてんですが、まだ実用化できてません。日本海側は、すぐ資源になりそうで、日本海側をやったら、太平洋側が批判されると思い込んでるわけです。 勝手に自分の保身のために、とにかく批判されるのが嫌だと、役人も学者も、思ってるわけです。だから日本海側は見ないことにしようっていうのが、ある。
2つ目、「世界秩序を変えたくないっていうのは、要は、日本は資源のない国だと長年思い込んでたが、日本海側のほうは、すぐに使えるかもしれない。つまりカタールから買わなくてもいい。カタールから買うためにアメリカの力も借りてたけど、アメリカの力、つまり国際メジャー石油資本の力も借りなくていい。そうすると、世界が変わってしまって、日本が資源を持つ国になるんだから、日本にとっては良いはずが、困る人がいっぱいいるんです、日本国には。どういうことかというと、資源がないんだと、教育でも言い、メディアでも言い、国会でも言ってると、高〜く、中東から売っていただくのに、それを感謝しなきゃいけない。高〜いってことは、マージン、利ざや、儲けが大きいってことになるんでそれに関わってる方々はですね、それが既得権益になってる。
「『メタンハイドレート日本海側広く存在か』というおとといのNHKニュースの内容は、『新たなエネルギー源として期待を集めている天然ガスの一種「メタンハイドレート」が、太平洋側だけでなく日本海側でも、広い範囲に存在する可能性が高いことを、明治大学などの研究チームが発見しました』というものでした」、「で、これはNHKはたまたま例に出しただけであって、その、全国紙も多くが、このように」「日本海にもメタンハイドレートがあることが新たに分かったという趣旨にしか受け取れない、報道をやったんですね。ところがですよ、皆さんたとえばこの雑誌、これ、「地学雑誌」って書いてますが、これは文字どおり、地質学の専門誌です。これは一般雑誌じゃなくて、本当の、権威のある、学会誌ですが、これ日付見ていただくと、2009年ですね。で、この表紙に、表紙に写ってるものはこれ日本海のメタンハイドレートの塊です。ね」
「これはあの、世界に実は衝撃を与えた写真でもあるんですが、あの、私たちと、あるいはたとえば東京海洋大学、東大、そういう所が一緒にやって、これはすでにたとえば2009年で、学会雑誌の表紙にもなってるのに、今さら、何で新発見だと、みんなが、皆さんがびっくりするのは当然のことなんですね。
引用先は「アンカー青山氏解説全文書き起こしブログ」の「ぼやきくっくり」さん(http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/sb.cgi/1281)
以下、要約で:
青山繁晴氏の奥さんの青山千春博士は、青山氏の独立総合研究所の自然科学部長で、メタンハイドレートでは第一人者とか。
2009年の表紙の写真はメタンプルームという700メートルほどのメタンハイドレートの粒ないしは泡の柱です。
上越沖というのは佐渡島の南、新潟県。日本海の浅い海(907m)(太平洋側では4000mの深さ)。(←の写真の)右側は兵庫県沖(日本海側)で青山千春博士が今年6月に撮ったもの。青山博士のは安い魚群探知機でとらえたもの。しかし発表されるときは偉い学者さんの名前の後に「**ら」とか「**ほか」で片づけられる。東京大学教授なら名前が前面に出て、青山博士が「海底資源探査システム及び海底資源探査方法」という特許を持っていても、民間のシンクタンクというだけで、何のことわりもなく学術的内容を公表されてしまう。この特許というのは米・露・韓・豪・中の各国が持っていて、これらの国がすでに日本の周辺の海に手を伸ばしている。青山博士の特許は使用料を国内で一円も取っていないが、実は日本がこの事業で締め出されないようにするためだった。
ところで、NHKの先日のニュースでは、「日本海全部で新しく発見されたのではくて、佐渡島の南では、すでに発見されてた。新たに、兵庫県とか、鳥取県のところにもあります、そして秋田沖にもあります、新たにこういう所がどんどん見つかりましたってことを発表、してるんです。しかし発表全体の様子からして、も、その報道ぶりは、日本海でとにかく新しく見つかったってふうに、なってしまってるわけですね。で、その背景として、ひとつ考えなきゃいけないのはですね、この秋田沖でやったのは、去年の夏なんですよ」。実際は去年の夏に見つかったが、口封じの誓約書にサインさせられ、今回の発表となった。
去年7月にスコットランドの国際ガス・ハイドレート学会で、韓国が竹島近海のメタンハイドレートを調査し発表している。「戦争に負けた日本が資源大国になっては困る。アメリカとか国際メジャー石油資本、アメリカ、イギリスの支配する、それらが黙っていない」と怖れる人たちが日本にはいる。ところが韓国のメタンハイドレートの実用化のお金を出しているスポンサーはアメリカエネルギー省と国際石油資本(シェル)である。
67年前戦争に負けて以来ず〜と敗戦後の日本の在り方に乗っかって、そこから利益を得ている人たちが、いつまでも日本を敗戦直後の日本のままにしておきたい。
東シナ海の所は水産庁の委託で調べて分かった。エネルギーをやっている経済産業省は既得権益べったりで、東京大学もべったり。東シナ海の尖閣諸島の上の方も、千島列島全部、カムチャッカ半島のすぐ下まで、メタンハイドレートの宝庫。だから、メドベージェフ大統領は国後島に足を下した。(この部分2月の蛙ブログから)(左写真の解説部分は省略)
「日本の資源を護り、活用するにはどうすればいいのか」
「今まで領土問題と思ってたのはほんとは資源戦争です。まだ戦争にはなってないけども、いわば戦争でない戦争ですね。北方領土のところにもメタンハイドレートたくさんあります、塊状の。そして竹島のとこにたくさんありますね。尖閣諸島も北のほうに実はメタンハイドレートの塊が期待できるから、実は資源をめぐっての争いになってるわけですね。じゃあそれに勝つにはどうしたらいいのか。端的に、短い時間の中で4点申します。」
「1つめ、思い込みを捨てる。2つめ、国家として自前資源を最優先に開発」
「日本は戦争に負けてるから、こうやって頭を下げなきゃいけない、いつまでも戦争責任だけにこだわらなきゃいけない、で、その上に資源がないんだから、その、勝ったアメリカの言うことを聞いて、中東から値段高くても売っていただけるだけで幸せだと思え、云々かんぬんって思い込みを、政府だけじゃなくて、というか、政府よりも、僕らが捨てると、政府が変わる。政府が変わると、何をやるべきかというと、国として、今まではこうじゃなくて、自前資源を最優先に開発じゃなくて、そうじゃなくて、中東に外交官その他お金も送って商社持たせて、中東からいつも売ってもらえるようにしましょうっていうのが国策だったんですが、そうじゃない。そういう既得権益は、もうその商売は終わりです。そうじゃなくて自前資源を最優先に、国民の合意のもとに開発しましょうと。じゃあその開発を実際どうやるのか。」
「3つめです。政府・自治体・民間を交えた研究開発機構の創設。4つめは、新しい生産技術の開発」
「3番目は何を言ってるかというとね、今、実は日本海の塊のメタンハイドレートも、旧石油公団のようなところが、今、名前変わってますけど、中心になってるんですよ。で、それでやると、新しい資源をできるはずがないから、今、私たちは自治体と連携を始めました。兵庫、京都、そして新潟と話し合ってるうちに、京都府の山田知事や、あるいは井戸さん、兵庫の。そして、新潟の泉田さん、努力して、1府9県、日本海連合の、10の自治体が加わって今、連携してます。で、民間というのは、もちろん優れた東大のような大学、そして、僕らのようなとってもちっちゃい、しかし志を持ってるところを分け隔てなく入れて、それを政府がフェアに、思い込みを捨てて投下する新たな機構っていうのは、当然必要になります。
そして今までの旧石油公団は熟知している石油工学で太平洋側を頑張ればいい。太平洋側の泥と砂に混ざり込んだタイプのメタンハイドレートは、石油工学を頼みにしていくのは当然です。それはそれでやりながら、塊のものをつかみ出すのは、石油工学と違う、海洋土木のような新しい技術、そして日本は実はこれ優位なんですよ。たとえば青函トンネル考えていただくと、海洋土木の技術ってのは世界トップですから。
その上で、今日の一連の問題をめぐる、最も根本的な問題を、最後に時間はなくても、述べておきたいと思います。それはこれです」
「一番問題なのは、マスメディアと日本社会の権威主義」
「ローカル放送の「アンカー」で、これ2007年の7月25日の放送から日本海のメタンハイドレートの話をしてるんですが、それがなかったかのように、NHKニュースや、全国紙に書かれるのは、ひとつには、この、どうせローカル放送の言うことなど大したことないっていうふうになめられてるわけです。本当は関西テレビはこの放送をどんどん配信すべきだと思います。
その上でですね、もうひとつはたとえば、東京大学の教授、あるいは東京大学の名誉教授、今回の発表で言うと東京大学の名誉教授が入ると、突然、NHKや全国紙は、ああ、それは権威があるから、それはもう新発見、大発見なんだと言って大きくやるわけですよね。ところが、この放送見てらっしゃる多くの方が、そう大きくない企業、うちはたった20人の民間シンクタンクですけれども、ま、20人よりもっと大きいでしょうけど、普通の庶民はそういう中小企業で働いてらっしゃいますね。それが、日本では、日本を支えてるのに、権威が与えられない。そうだから、マスメディアもそうなる。そういうことを考えると、私たちが新しい自由な精神で、ちょうど幕末の頃のような、思い込みを捨てた新しい精神になれば、道は開けると思います」
山本浩之
「いいきっかけにしてほしいですよね、今回のことは。ありがとうございました」「ま、権威にひれ伏すといえば、最近でも森口さんって名前がね」、
青山「そうです。iPS細胞の森口さんが東大病院って言っただけで、メディアはへへーっと、僕の古巣の共同通信もひれ伏した」「そのことと、やっぱり共通する権威主義があるんですよね」「打破しましょう」。
山本浩之 「ありがとうございました」
以上:「ぼやきくっくり」さんから引用。(途中一部2月の蛙ブログから引用)
◎◎日本海側のメタンハイドレートの開発が何故進まなかったのか、で青山氏が2点あげておられます。
太平洋側に多額の資金を投入してきたので今更失敗と言われたくないということと、もう1つは中東の高い石油に頼ることで得ている利益をこのまま失いたくない人たちがいること。これは原発が止められないことととても似ていると思います。原発に代わる新エネルギーとしてメタンハイドレートは有効な新エネルギーです。開発を遮る壁と脱原発に立ちはだかる壁は共通しているようです。