沖縄問題について(小沢・田中・内田)


昨年からず〜っと咲き続けてている獅子頭(寒椿)
年を越して、花の数は少なく、花の大きさも小さくなりましたが
それでも、まだ 鮮やかな紅の花を 咲かせています



24日の「生き生き箕面通信」さんのブログは、朝日新聞の朝刊オピニオン面に掲載された小沢一郎氏のインタビュー記事を取り上げて、<「僕らはまだ歌を忘れていないカナリア」と小沢一郎氏>と題した記事を書いておられます(http://blog.goo.ne.jp/ikiikimt/e/1bfb0ec984f7aee39f15038de956f7ad)。あの朝日新聞が…という思いですが、時は流れます。その中からアメリカとの関係について小沢氏が語ったことが出ています:

日本政治の根幹に潜むアメリカとの関係については、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への批判に関連して、「難しいことはできるだけ米国に任せた方がいい、という考えが根底にある。米軍普天間基地の移設問題もそうだが、日本がどういう役割を果たすかを明示しないと米国と対等に話せない。その交渉能力と体制が問題なんだ」と述べました。つまり、アメリカさまお任せではなく、自分の頭で考え、判断して行動する、その結果には責任をとるという「自立」の重要性です。

それで、思い出しました。田中宇(さかい)氏です。
先週木曜日のモーニングバードの「そもそも総研」は普天間問題を始めからおさらいという感じでした。そこに取材相手として登場したのが稲嶺恵一沖縄県知事とこの田中氏でした。田中氏のブログを訪ねてみたら、番組で発言されていた内容が書いてあります。沖縄の現状は日本の官僚が望んでいる結果だという発言でした。表現はユニークでショッキングですが、鋭い!とも。そして、稲峰知事や小沢さんの認識とも通じるな〜と思ったのですが・・・。

日本の権力構造と在日米軍
 【2012年2月22日】 日本の官僚機構が対米従属に固執し続けた戦後史をふまえると、米国は沖縄返還とともに日本から米軍を全撤退しようとしたが、日本が米国を買収して思いとどまらせ、米軍は沖縄だけに恒久駐留を続けることになったと考えるのが妥当だ。日本人は「米国は日本を支配し続けたいのだ」と考えがちだが、これは、官僚機構が自分たちの策略を人々に悟らせないために歪曲された考え方だ。

沖縄県知事の稲嶺氏も、日本政府に聞けば米軍の普天間基地辺野古は日本を守るためにどうしても必要だと言うが、アメリカへ行って聞いてみるとどの議員も、普天間は危険で続けることは沖縄にとって出来ないだろうし、辺野古も無理だろうと話している。どうして日本政府がそんなにこだわるのか、あとはメンツしかないのでは…と話していました。
田中氏の言う「変化を嫌う官僚たちが、外交防衛問題を自主的に考えないで済む方法=米軍恒久駐留を国税で賄ってでもと考えているからだ」という理屈は、おかしな話ですが”さもありなん”と思わせてくれます。

この記事、2,3日もたもたしていたら、27日の内田樹先生のブログが「沖縄の基地問題はどうして解決しないのか?」でグッドタイミング! 全文はコチラ(http://blog.tatsuru.com/

沖縄タイムスの取材に答えて沖縄基地問題について書いておられます。一部、取り出して引用しておきます。

<略>

・・・つまり「あってもなくても、どちらでもいい基地」だということになる。
そのような基地の維持のために膨大な「思いやり予算」を計上し、沖縄県民に日常的な苦痛を強いるのは、誰が考えても政策的には合理的ではない。
つまり、沖縄基地問題がスタックしている第一の理由は、「沖縄に基地はほんとうに必要なのか?必要だとすれば、どのような機能のどのようなサイズのものがオプティマルなのか?」というもっともリアルでかつ核心的な問いについて、日本政府が「それについては考えないようにしている」からなのである
もっともリアルで核心的な問いを不問に付している以上、話が先に進むはずがない。
だが、そろそろこの問いに直面しなければならない時期が来ているのではないか


ここでアメリカに去られて、自前で国防をしなければならなくなったときに、対中、対露、対韓、対ASEANで骨太の雄渾な東アジア構想を描けるような力をもった日本人は政治家にも外交官にも学者にもいない。どこにも、一人も、いない。
だって、「そういう構想ができる人間が必要だ」と誰も考えてこなかったからである。
日本のエスタブリッシュメントが育ててきたのは、「アメリカの意向」をいち早く伝えて、それをてきぱきと実現して、アメリカのご機嫌を伺うことのできる「たいこもち」的な人士だけである。
アメリカが日本の国防を日本の主権に戻した場合に、日本にはその主権を行使できるだけの力がない。

・・・

だから、「日本に国防上の主権を戻す」という、独立国としては歓呼で迎えるべきオッファーを日本政府は必死で断ることになる。
国防上の主権は要りません。 主権を行使する「やり方」を知らないから。
これまで通り、ホワイトハウスから在日米軍司令官を通じて自衛隊に指示を出してください。
それが日本政府の本音である。



だから、日本政府に残された選択肢は一つしかないのである。
アメリカが帰りたがっても、袖にすがりついて、「沖縄にいてもらう」のである。
金はいくらでも出します。消費税を上げて税収を増やすので、それを上納しますから。どうかいかないで。Don’t leave me alone
それが日本政府の本音である。



だから、「アメリカの軍略の変化」については言及しないのである。基地問題がスタックしているのは、「スタックすることから利益を得ている当事者」がいるからである ひとりは「もめればもめるほど、日本政府から引き出せる金が増える」ということを知っている国防総省であり、ひとりはいつまでもアメリカを日本防衛のステイクホルダーにしておきたい」日本政府である。



交渉の当事者双方が、「話がつかないこと」の方が「うっかり話がついてしまうこと」よりも望ましいと思っているのだから、沖縄の基地問題の交渉は解決するはずがないのである。
悲しいけれど、これが問題の実相なのである。
別に沖縄問題の裏事情に通じているわけではないが、新聞を読みながら推理すると、こう考えるしか合理的な説明が存在しないのである。
というお話をする。 たぶんこれほど長い話は紙面に出ないと思うので、ここに録すのである

例によって、内田氏は長い記事になっていますが、田中宇氏の短い捉え方と同じです。
政権交代したばかりの頃よりは、この数年で、こういう捉え方も多くの人たちが受け入れるようになったと思うのですが…
憲法を変える前に、自主自立した日本の日本人であることが先。日本をどうしたいのかが問われているのに・・・。