京都でオシャレな地下足袋!(ルソンの壺)

日曜日の寒い朝、温度計で確かめると16度、父のためにまだ片づけていない石油ストーブにマッチで火をつけて、テレビをつけると珍しくNHK「ルソンの壺」。以前は毎回見ていたのですが、猫キャラが段々飛び出してきて大きなキャラクター人形(中に人まで入って)になっていました。コレについていけなくなって見なくなったのもあるし・・・。ところが今朝はとても面白い内容でした。女性アナと元阪神の赤星さんのやり取りもとってもいい感じ。
新聞の番組欄では「伝統とコラボ オシャレな地下足袋!?です。
京都観光で若い人や外人さんが入っていくお店、地下足袋がズラリと並べてあります。どれもカラフルでポップなデザインが施されてカッコいい!! 若林さんという方が会社を興し、日本の伝統産業の技術を生かして新しいデザインと発想の商品を開発、結果として伝統産業を守っているというステキな内容でした。
兵庫県高砂市地下足袋会社を訪ねて地下足袋メーカーの会長さんのお話を聞きます。川釣り用とかダイビング用、野球用など地下足袋といっても様々。ちなみに私たち小学校の運動会の徒競走では白い地下足袋を履いて走っていました。地下足袋代わりに足袋を履いて走ったこともありましたっけ。
会長さんの話では20年前に比べ生産は半分に縮小したとのこと。ところが若林さんの登場で今では売り上げが3割増しだそうです。



肌触りが柔らかい伊勢木綿(三重県津)は製造工程が普通の木綿と違い、撚りが柔らかい分切れやすく絶滅寸前でした。
若林さんはその抜群の肌触りに目をつけて、新しいデザインとアイディアで生まれ変わらせました。

京菓子の職人もこのままでは若い人たちが和菓子を食べなくなると危機感を抱いていました。若林さんとコラボレーションして新しい提供の仕方を考えています。和柄の敷き紙と和菓子のコラボです。5月の藤の花に職人さんは緑の若葉のお菓子を添えました。
愛知県名古屋市緑区に「有松鳴海絞り」という有名な絞りの技術があります。
安藤広重の浮世絵にも竿に掛かる様々な絞り染めの染物が描かれているくらい伝統のある染色技術です。手の込んだ絞りで、竹田嘉兵衛さんは、「値段を下げたらとてもやっていけない」。絞り染め職人の久野剛資さんも「一か月かけて出来るものには職人さんに20〜30万は払わないと」と言いますが、このままでは日本の伝統工芸産業はすべて消滅するという危機感を抱いていました。若林さんは、「技術は凄いけど金持ちしか買わへん」「高級懐石だけやったらしんどい。やっぱり庶民の食べ物がないと」と「大衆食堂」論?で説得します。


そしてやってみるものです。今では久野さんは「(若林さんは)連れて来(き)役」として大歓迎しています。
若林さんは、注文だけでなく新しい職人さんも連れて来るようになりました。
久野さんに「産地にこういう匂いとか風を運んでくる人」と言わせるように、伝統の若い継承者まで生んでいます。

「手蜘蛛(てぐも)絞り」という難しい技術は今では90歳の本間とめ子さん一人です。「最近、手を骨折されて奇跡的に治りました。こういう人こそSPをつけないと」と若林さん。
その若林さんは写真のように眼鏡をかけて、いつも作務衣(さむえ)や大胆な柄の和装です。(真ん中の写真)
「(伝統は)知らない間に音もなく消えていく」とも仰っています。