「原発・原爆と憲法」森瀧春子

以前、「第九条の会ヒロシマ」の新聞意見広告に匿名参加したのがきっかけで、その会報が送られてくるようになりました。随分前に封筒が来ていたのに、風邪が長引いたりバタバタしていて封を切らないでそのままにしていたのですが、一寸一息ついて、昨日、中身を読んでみました。
森瀧春子という方の「原発・原爆と憲法」という記事をぜひブログで紹介したいと思ったのですが、「森瀧」という名前にヒョットして、と先ほど、過去の記事にさかのぼって調べてみました。やはり、思っていた通りでした。原水禁運動の初めの段階で、被曝者の立場で原発を「平和利用」として賛成していたという個所で名前がでていた先生で、「春子」さんはその娘さんです。昨年のNHK原発事故への道程(前篇)」(蛙ブログの2011年9月25日)の一部でした。
それでは、会報の「5・3憲法記念日リレートーク2012」から:

原発・原爆と憲法   森瀧 春子核兵器廃絶をめざすヒロシマの会)




 「われらは、全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と日本国憲法前文にはうたわれている。原発が引き起こしている現実は、生存権基本的人権、財産権などを保証するはずのこの日本国憲法を根底的に踏みにじっている。 
 放射能汚染をもたらした福島原発事故では、未だ放射能流出がとまらず、事故の原因解明も明らかにされていない。そうした状態の中で政府は昨年12月には収束宣言をし、避難区域の見直しにより20mSv以下(放射線管理区域ですら5mSv以下規定)の地域を避難指定解除準備区域として、住民の帰還を進めてさらなる被曝を強いようとしているあたかも史上最大の悲惨な原発事故などなかったように、政府や電力産業は、大飯原発伊方原発などの再稼働に向けて様々に画策している。
 
弘前大の調査によると、福島浜通り地区65人の甲状腺ヨウ素被曝調査では、87mSvを最高に5人が50mSvを超えて内部被曝していたと報じられている。山下俊一長崎大教授が議長を務める「県民健康管理調査」検討委員会による3000人の子どもの甲状腺エコー検査では26人に、しこりやのう胞が発見されて深刻な被曝の一端が伺えるが、再検査は3年後までされず放置されるということで、この検討委員会主導による200万県民の調査が、将来にわたる健康管理対策のためではなく単にデータを取る意図であることを疑わせるものである。これは戦後広島で、世界に類例のない規模で行われた被爆者へのABCCによる疫学調査が、健康管理・治療のためのものでなく米の核戦略の一環としての核防衛の基礎資料を取得するものであったことを彷彿とさせる。


 国は国家補償としての原発事故被曝者援護法を制定し、このための公的な被爆者健康管理手帳の交付と健康管理、治療の無償化など将来にわたる生存権を、被曝を強制された県民に保障しなければならない。 
 政府は、原子力政策大綱の策定をしようとしているが、2012年度予算に高速増殖炉サイクル研究費300億円を計上し核燃料サイクルの推進や原発の再稼働、運転期間40年、これに特別措置として20年特別延長に道を開き最長60年運転などの法制化などを目論んで、あくまで原発推進政策を押し進めようとしている
 原発を稼働する限り、核燃料サイクル施設を運転しようとする限り、大量の使用済み燃料の排出、再処理によるウラン、プルトニウムや高レベル放射性廃棄物が増え続ける特にプルトニウムの備蓄は核兵器開発の潜在能力を示すもので許されない。政府は、核のゴミの最終処分方途として「深地層処分」を決めているが、補助金を餌として北海道幌延町など過疎地に受け入れを求めている。全国の各原発の使用済み核燃料貯蔵プールはあと数年で満杯になるという。


 私たちは、人間の手に負えない負の遺産をこれ以上人類と地球に負わせてはならない。核を利用するすべての段階で生じる放射能内部被曝による人体への危険性は深刻である。人類が核を否定しない限り、核によって人類が否定されるということをあらためて確認したい

憲法というのは国、権力者がまもるべき理念と事柄が書いてある。国民がまもるのは法律。ここ数年、数十年、今の憲法を変えたいという政治家が政治をやっていると、皆の決め事さえ無視され、歯止めが効かなくなる。憲法は大事にしないと日本の国のタガが外れて大変なことになる。去年の3・11その後の3・12以後の政治状況はその結果。憲法はまもられなければ・・・
(写真はピエール・ド・ロンサールの2番花。一輪だけの1番花に比べると花数はいっぱい、大きさは半分くらい)