ペシャワール会報(No.113)より

昨日出かけた東京、無事お二人にも会って、三菱第一美術館へ。
夕刻からのオペラ観劇も済み、今朝はお天気よく、近くの岩崎邸庭園を訪ねて帰ってきました。
こちらは雨が降り始めて今は竜巻注意報や雨風の警報が出ています。東京も台風の影響で午後からお天気が崩れるという予報でしたがいかがでしょう。東京1泊については改めて。

まず、月曜日の15日、プールへの道で撮った写真。収穫ま近の実りの稲穂と高さ2メートルほどもあるコスモスです。


さて、ペシャワール会の会報が届きました。PMS(平和医療団日本)総院長/ペシャワール会現地代表・中村哲氏の巻頭言から一部を取り出して移してみます。

目的と精神は変わらず 「生命」が主題です
    − 時流に乗らない心ある人々の思いに支えられ    中村 哲



<  前略 >


緑の大地計画ー10年の節目


 ペシャワール会が発足して29年、現地活動は28年を経過しました。ハンセン病診療に始まり、東部アフガンの山村医療、そして大きな転機が12年前から始まる大旱魃(かんばつ)でした。その後アフガン空爆、引き続く内戦の激烈化の中で今日に至っています。
 この間、ペシャワールにあったPMSは、政治混乱と内戦の余波を受け、2008年に中心がジャララバードに移りました。しかし、日本側では「ペシャワール会」という名称は変えず、依然として強力な現地支援団体として働着続けています。

 パキスタン領のペシャワールからアフガン領のジャララバードへ、医療中心から水利事業中心へ、PMSの現地活動は一見、大きな変身をしたようですが、目的と精神は変わりません。「生命」が主題です。
 それでも、ほんの数年前まではカイバル峠を自由に超えて仕事が進んでいたことを振り返ると、不吉とも言えるときの流れを想わずにはおれません。戦火は多くの者を奪いました。不寛容な殺伐さが増し、カネと武力が、人と人、人と自然の仲を裂いてきたような気がします。
 だからこそ、時流に乗らない心ある人々の思いに支えられ、心ない論評や妨害を超え、PMSの活動は脈々と続いています。どんな状況にあろうと、規模の大小を問わず、時と場所を問わず、行動を問わず、この世界を辛うじて支えているのは誰にもある人の温もりだと、感慨を深くします。
 内戦は激しくなる一方で、政情は混乱の一途をたどっています。しかし、殆どの人々の真情 ― 戦(いくさ)と外国人の干渉は、もうたくさんだ。故郷で家族と三度の食事がとれさえすれば、それ以上のものは要らない ― という。この無欲な願いが、誤りのない普遍的な人の営みでしょう。そして、これこそが、活動の基礎であり、活力の源泉であり、ゆるぎない平和につながるでしょう。


 理念や政局のもんだいではなかったのです。平和とは座して待つものでなく、体で戦いとることを学びました。ときには軍閥や買弁政治家と対決し、時には自らの欲望=過大な豊かさへの固執・我欲と対峙し、日との分限を越えた過信を排し、天意を尊んで恵みに感謝することなのです。
 < 略 >

 日本自身が苦しいにもかかわらず、大きなお支えをいただいたことに感謝し、「緑の大地計画」10年の節目に当たり、変わらぬご支援をお願い申し上げます。
                                      平成24年9月    記

封筒に入っていた福岡県での上映会「アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く」のチラシの裏西日本新聞の記事が載っています。
題は筑後川の知恵 結ぶ」とあり、今年4月、アフガニスタンでの東部、ベスード郡でのこと。
記録的な洪水の後、カブール川に新設した堰を調べたら、ほとんど影響をうけておらず、「洪水にも渇水にも耐える取水口」をアフガニスタンに築くという9年越しの悲願は達成された。
その成功のカギは、[実は日本の先人たちの手になる取水技術にあった」という内容です。
◎後半は写真のコチラで⇒