「未完成交響曲」

今朝のコーヒータイム、母がキレイな小箱を3つ持ってきました。朝の散歩の帰りが遅い夫を待つ間、1つを父に。それで、思い出しました! 今日はバレンタインデイです。
母は、父と我が家の夫と息子の3人分を用意してきていました。いつもの年なら私も生協さんの不二家のチョコくらいは準備するのに、今年はスッカリ忘れていました。モロゾフと書いてありますので、箕面で買ったものではないです。用意周到。今年は脱帽!です。父と夫のチョコレートに手を出してつまみ食いでした。
さて、昨日は今年初めてのコイン・ド・シネマ、シューベルトの「未完成交響曲」です。
以前、テレビで見た映画は同じ題で白黒でしたが、それより30年ほど新しく、1958年の作品でカラーでした。
主役のシューベルトは「20世紀を代表する世界的指揮者カール・ベーム」の息子のカール・ハインツ・ベーム。ハンネレル(ヨハンナ・マッツ)の母親をオーストリアの大女優、マグダ・シュナイダー。プリンセス・シシーを演じたロミー・シュナイダーのお母さんです。(ロミー・シュナイダーアラン・ドロンとの長い婚約期間の後、結局別れて、息子に先立たれ43歳の若さで病死します。ルキノ・ヴィスコンティの「ルードヴィヒ」で演じたシシー=エリザベートはドキッとするような美しさでした。)
この映画、シューベルトの名曲で綴ったヴィルナーの「三人姉妹の館」という原作があり、ドイツを代表するテノールの歌手が映画の中で歌ったりしています。
映画の出だし、ベートーヴェンのソックリさんがピアノ協奏曲「皇帝」をオーケストラと共演している舞台のシーンから始まります。シューベルトも眼鏡をかけると遠目にはソックリ・・・、ということは、小さい頃、教科書で見た肖像画とよく似ています。内容をチラシから:

シューベルトの恋心と、若き芸術家たちの友情が織りなす楽都ウィーンの青春群像


ナポレオン戦争が終わり、音楽の都ウィーンに自由な芸術的雰囲気が甦る。無名の作曲家シューベルトの才能を認める歌手ショーバーと画家シュウィント、詩人クッペルヴィーザーとマイヤーホーファーの4人は、シューベルトのために老舗ガラス器具商チェル家の三人姉妹の末娘、ハンネレルげを紹介する。
シューベルトは彼女に恋心を抱き、彼女もまた貧しい彼のためにピアノの教師を頼んで、何かと心を配るのだった。
ところが、秘かにハンネレルに想いを寄せるのはシューベルト一人だけではなく、恋は思わぬ展開をたどりはじめる・・・


原作:A・M・ヴィルナーの音楽劇『三人姉妹の館』
脚色・監督:エルンスト・マリシュカ(「プリンセス・シシー」「女王さまはお若い」「マタイ受難曲」)


≪映画で使われている曲≫
シューベルト
未完成交響曲/焦燥/楽によせて/菩提樹アヴェ・マリア/朝のあいさつ/いずこへ?/きけ、きけ、ひばり
リラの木のもとに/ロザムンデ舞曲/軍隊行進曲
♪ベートーベン
ピアノ協奏曲第5番(皇帝)
ほか


オーストリア映画/1958年/カラー/モノラル/97分

シューベルトの歌曲の数々を聴けるうえに、当時のコスチュームで、ベートーヴェンシューベルトの出会いや、シューベルトの才能を認めて陰になり日向になり協力・支援する仲間たち、それに美しい良家の娘との恋が絡んで・・・。でも、甘くありません、シューベルトの愛の告白の歌曲をシューベルトのピアノ伴奏で歌った友人の方が彼女を射止めてしまいます。結婚式の祝いの日、祝福を述べて賑やかな集いを後に、一人家路を辿るシューベルト、自室でピアノに突っ伏して映画は終わります。
余りのあっけない終わり方に、思わず知らない隣の人と顔見合わせて「可哀想〜〜」でした。その方、「さぁ〜帰って、シューベルト、調べて見よう」と仰っていました。思い出して私も少し調べました。
ベートーベンとシューベルトが出会った年が分っています。1822年、ベートーヴェン52歳、シューベルト25歳です。5年後の1827年ベートーヴェン死去。その翌年1828年シューベルト31歳で腸チフスで亡くなっています。
今から190年ほど前のお話でした。
ホイリゲ(ワイン酒場)のシーンが出てきますが、去年イタリアのアッシジで夕食を食べたレストランとよく似ていました。きっと、200年前とあんまり変わっていないんだろうな〜と思いました。石造りの街並みの様子は19世紀初頭の頃から、あるいはもっと前から、余り変わってはいないようです。そして、当時の音楽だって未だに楽しんでいますし、息が長い・・・と改めて。