5月のお茶のお稽古


前日の雨も午前中には上がって、午後からは暑いくらいのお天気になりました。
先生のお宅の石段を上がると可愛いサーモンピンクの小花が足元で咲いています。
檜扇(ヒオウギ)です。
お部屋に入ると、畳に切ってある炉ではなくて、風呂釜が用意されています。
お花は変わったデザインの籠にアヤメと濃いエンジ色のウツギです。
お軸は「薫風自南来」:『五月の薫風が南から吹いて来る』その通りの季節です。
香合は水色の袱紗に「上り鯉」。
  


二段の棚は「四方棚」、読み方は「シ」を避けて「よほうだな」と呼びます。茶色の棗(なつめ)は槐(えんじゅ)の木で生地が見える程度の塗りが施されてその上に唐花模様が描かれています。先生が注文されて制作されたものです。
ところで、この日はNさんがお休み。聞いてみると運転歴50年というのに、土曜日、駐車場でアクセルとブレーキを踏み間違って石垣や建物や水道栓にぶつかって止まり、人身事故にもならず、車は廃車だけど、ご本人も打撲以外骨に異常はないとのこと。つい先日意外なところで出会ったとこでしたので、聞いてビックリしました。そこで二人ということですので、2服づつ点てて、先生にもお客になって頂きました。炉の時と違って左に風呂釜が置いてありますので、あれこれと今まで通りにはいかず、先生のリードでやっと少し思い出しながら何とか点てることが出来ました。

お客さんに回って、この日は一人分づつのお皿に乗った御菓子を戴きます。
お皿は青森の曲げわっぱの木地に一つ一つ生の蕗(フキ)の葉を置いて塗りがかかっているというものです。深い緑色がお菓子の色を美しく映えさせていました。お干菓子は柑橘類(ダイダイ?)の砂糖漬け。
懐紙を持ち出して、黒文字を使って少し手を添えてお皿からお菓子を懐紙に移し、黒文字は懐紙の隅でふき取ってお皿に返し、自分の楊枝で御菓子を戴くという正式なお菓子の戴き方を教わりました。これからはお茶会に出かけるときは懐紙を忘れないようにしようと思いました。お茶碗はショウブやアヤメや唐子の模様の京焼を使いましたが、写真に撮るのを忘れています。蓋置は八つ橋でした。
ところで嬉しいことが一つ。Naさんがお点前の時、袱紗捌きで大きな音が出ました。羨ましくて”大きな音!”と言ったら、隣で座っている先生が「ダメ!音が大きいだけではダメ」と。甘い音と言われたのか…とにかくキチンとした音じゃないと言われました。袱紗を出して親指を突っ込んでヒダを作ってパチンとやると、キリッとした音が出ました。ヒダの山が二つ真ん中で合わさってパチンと出た音でした。「それっ! その音!」と先生が。「嬉しい! 初めて!」と言ったら、先生が、「初めてじゃないよ、出来てたよ」と。”そうかな〜”と。家へ帰ってから解りました。私は音の大きさだけを考えていたのですが、そうではなかったのですね。『基本をキチンとやれば音は出ます』という意味が初めて目で見ても解った!日でした。

帰って少しして、Nさんから、来月のお稽古日を決めたとの連絡があり、声を聞いて安心しました。
来月のお稽古は是非三人で・・・と。人生もお茶もつくづく一期一会です。