「汚染水対策 国費で」と「中部電、首都圏で越境販売」

新聞記事に入る前に天木直人氏のブログ(http://www.amakiblog.com/archives/2013/08/07/#002667)から:

米軍ヘリの墜落事件をきっかけに起きた一連の大騒ぎはどうだ。


 あれほど沖縄住民の声を無視し続けてきた日本政府が、あわてて米国に抗議する。オスプレイの沖縄配備延期を申し入れる。
 やればできるのだ。


 あれほど日本政府の言う事を無視し続けた米軍が平謝りだ。オスプレイの配備延期まであっさりと応じる。 
 その気になれば日本の要求を受け入れるのだ。 


 どれだけ学者や有識者日米地位協定の不平等性を唱えても記事にしないメディアが、ここにきてやたらに不平等条約の不都合を書き立てる。

 知っているのだ。書こうと思えば書けるのだ。 


 このような様変わりがなぜ起きたか

 それは米軍ヘリの墜落という現実がそうさせたのだ。

 隠し様のない現実。誰もが目撃した危険。その前には、いかなるゴマカシも抗弁も出来ないからだ。


 この事は、やがて原発問題や消費税問題、改憲問題にも及ぶだろう。

 原発維持や消費税増税、そして憲法9条の放棄といった間違った政策は、現実の前にしたくても出来なくなる。

 野党がそれを阻止できなくても、現実がそれを阻止することになるのだ。

 間違った政策は、政治のごり押しで一時的に実現できたとしても、現実によって破綻し、倍になってその罰は返って来る。その罪に苦しめられる。


 私はいまあらためて日本国憲法が成立した直後に文部省が発行した教科書「新しい憲法の話」の一節を思い出している。

 その中には、戦争放棄、軍隊不保持を心配する国民に対し、こう諭している

 おそれることはなにもない、憲法9条は正しいのだ、正しいことほど強いものはない、と。


 そうなのだ。我々は正しいことを言い続け、その実現に向かって声をあげ続ければいいのだ。

 悪政はやがて現実によって鉄槌が下される。

 その時まで我々は正しいことを主張し続ければいいのだ。

 これこそが、何の力もない一般国民でも出来る最強の権力抑止という特権である(了)

◎天木氏の言い方に倣えば、沖縄についで福島でも、鉄槌が下されたようです。先週の「そもそも総研」で指摘された内容が全部認められました。
昨日の日経朝刊一面トップ記事からです。
東電任せを転換
政府は東電福島第1原発の汚染水対策に国費を投入する方針を固めた。経済産業省が2014年度予算の概算要求に、原子炉建屋への地下水流入を防ぐために土を凍らせて壁を作る費用を盛り込む。福島第1原発の収束作業を東電任せにせず、国がこれまでより踏み込んだ対策を取る方針に転換する。」
夕方の関西テレビのアンカーでは、「経産省の案では廃炉に向けた新設備費用100億円を2015年までの減価償却とし、電気代約8000円の家庭で約1.9円の値上げ」だと報じていました。
今日の朝刊では、「世界で前例のない建屋を取り囲む「凍土癖」建設の工事費は少なくとも400億円規模になりそうだ」。
今朝の記事から追加です。

汚染水、海へ1日300トン
 経産省は7日、東電福島第1原発から1日300トン(ドラム缶1500本分)の汚染水が海に流出しているという試算を始めて公表した。
 経産省資源エネルギー庁が示した推計によれば、福島第1原発1〜4号機では主に裏手の山側から1日当たり1000トンの地下水が流れ込み、400トンが建屋のひび割れ部分から中に入っている。残り600トンは海に流れ、このうち300トンは建屋の地下とつながるトレンチ(坑道)などの高い濃度の汚染水と混ざってから海に流出しているようだという。
 今回の試算は東電が原発事故の直後から地下水の流れを把握できず、一部は汚染されて海に流れ続けてきた可能性を示す。

◎◎事故後2年経ってやっと大変な事態になっていることを政府が認めたことになります。
さて、昨日の朝刊トップ記事の隣の記事にも注目したいと思います。

中部電力、新電力を買収/三菱商事系 首都圏で越境販売 火力発電も新設


 中部電力三菱商事子会社で電力小売事業者のダイヤモンドパワー(東京・中央)を買収し、首都圏で電力を販売する。電力10社による地域独占状態が続いている市場で初の本格的な越境販売となる。東電管内の静岡県東部に発電効率が高い新型の石炭火力発電所も共同で建設、割安な電力を確保する。小売り全面自由化をにらんだ動きで、今後地域や業種を越えた競争が始まり、電力料金の低下につながる可能性がある。

 今秋をめどにダイヤモンドパワーの株式の8割を約10億円で取得し子会社にする。ダイヤモンドパワーは2000年の規制緩和で小売り参入が認められた新電力(特定規模電気事業者)の一つ。販売電力量は新電力のうち9位でシェアも2%にとどまるが、小売店舗や病院、学校など幅広い顧客を持つ。
 新たな石炭火力発電所日本製紙富士工場(静岡県富士市)の敷地内に建設し16年の稼働を目指す。総事業費は250億円前後になる見通し。近く建設と運営を担う共同出資会社を設立し、三菱商事が7割、日本製紙が2割、中部電が1割を出資する。出力は11万キロワット。電力はダイヤモンドパワーを通じて首都圏の顧客に供給する方針だ。
 電力市場は00年以降、工場などの大口契約について越境販売が認められている。ただ事実上は電力10社の地域独占体制が維持されており、越境販売は九州電力中国電力管内の広島市で大型小売店に供給する1件にとどまっている。
 政府は16年には家庭向け小売事業も自由化する方針。中部電はこれを視野に体制の整備を急いでおり、すでに東電と共同で茨城県に60万キロワット級の石炭火力を共同で建設し、20年度から東電管内で電力を販売することを決めている。

新電力

2000年の電力自由化で小売り参入が認められた特定規模電気事業者(PPS)。自前の発電設備などを活用し、企業向け小売りや電力会社向け卸売りで収入を得ている。現在91社。12年度に販売実績がある33社の販売電力量は、電力10社を含む自由化部門の3.5%。送電には主に電力会社の送電網を利用しているが、政府は将来、電力会社の発電部門と導電部門を分離し、新電力が送電網を使いやすくする制度改革の方針を打ち出している。

◆「内田樹の研究室」でも「風立ちぬ」を取り上げておられます。こちらで:http://blog.tatsuru.com/2013/08/07_1717.php