泉田新潟県知事の記者会見

「僕はなぜ止められなかったか?」に次いで二つ目です。
柏崎刈羽原発の再稼動の是非は、東電の経営上の切迫した問題になってきています。再稼動を目指す政府や東電の前に立ちはだかっているのが泉田新潟県知事です。産経新聞は社説で日経は記事の中で、首都圏に電気を供給しているのを忘れるな、電気料金の値上げにつながると、県知事に再稼働を認めるよう迫っています。8月21日の泉田知事の柏崎刈羽原発の再稼働についての記者会見での発言。

「経営と安全を天秤にかける東電という会社、ウソを何度も発表する会社を、信用できますか?」「チェルノブイリでの事故対応の方が立派」
動画の書き起こしをされているブログ「みんな楽しくHappyがいい♪」さんから、一部をコピーします。
全文はコチラ<産経新聞の[主張]と泉田新潟県知事8/21記者会見>で:http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3218.html

Q:
先ほども福島第一原発事故の総括検証という話がありましたけれども、福島第一原発で地上タンクから300トンの汚染水が流れ出ていると。未だに収束していない状況、この状況についてどうお考えですか? また東電の対応について知事としてはどうお考えですか?


泉田:
まずですね、やっぱり・・・、後手後手というかその場しのぎというか、
この間の海にですね、汚染水が流れ出ている問題もそうなんですが、
問題点は前から指摘されていたわけですよね。


それが実施できなかったのはなぜなのかと言うと、これ菅元総理がインタビューに答えているとおりで、「経営上1,000億の投資は負担になるのでやらない」ということだったでしょ。だって地下水がこう、やってくるということがわかっていながら、地下水遮蔽対策を怠ったということですよね。「その原因が東電の経営問題にある」ということです。


さっきの産経さんの質問と一緒で、経営優先をして安全をないがしろにした結果がタンクの暫定設置、それから本来必要な汚染水対策の先送りということに繋がっていて、根は一緒なのではないでしょうか。


ちなみにチェルノブイリのときはもっとすごくよい対応をしているわけです。私は当時、旧共産圏で、ソ連という国は国民に情報を伝えないわ、それから放射能が拡散しているのにも関わらず国際機関にも通知しないと、「なんと情報閉鎖的で国民のことを考えないひどい国なのだろうか」と思っていましたが、これは汚染を防ぐために、この地下水汚染というのを必死で止めるために努力してたんですよ。


国中から炭坑夫を集めて、地下水に溶け落ちた燃料が接触しないように、先回りして穴を掘って塞いでしまうという対応までやっているわけですよね。地下水対策、それをちゃんとやらないと、河川に流れ出てそのあと海に行ってしまうと。それは国際的に大問題になるので、「何としても防がないければいけない」ということで、国家が総力をあげて対処したわけです。


国民に対しては、これは放射線管理区域っていうのは年間約5ミリシーベルトということになるんですが、それを超えるところ、それから世界標準の年間1ミリシーベルトから5ミリシーベルトの間については、移住権を与えるという選択肢を与えています。で、放射線理区域に人が住み続けるなんていう、事後的にですね、基準を緩めるなんていうことはしないで、まじめに対応したということですから、日本と違ってかなり立派なんじゃないでしょうか。


この間、今度訴訟が起きていますよね。


子供支援法ができているのに基準すら定めていない」と。人権という観点で考えたときに、「一体まじめに対応しているのだろうか」と言うことになると、日本は「政府としての取組っていうのが十分行われていない」っていうのが感想になりますよね。


「そのボタンの掛け違いがどこから始まったのか」と言うと、本来は国として取り組まなければいけないことを、「原賠法の適用を見送り、すべて東電の責任範囲内にしてしまった」という最初のボタンの掛け違いが、経営問題と対処、それから被害者に対する補償問題の全てをこじらせているということだと思います。


もう一回言いますけど、これ基準、今度の規制基準はクリアしたって事故は起きるんですよ。ゼロにするという基準じゃないから。この考え方自身は、人が作ったものに完全というものはないので当り前だと思うんですが、じゃあ、「起きちゃった時にどうするの?」と。「放射能をばらまかないためにちゃんと対策を考えていますか?」と。「それでも被害を受けた人に対して生活再建とか補償のスキームとかを作っていますか?」


何もやっていないんですよね。で、結局被害を受けた人に全部しわ寄せがいっているわけです。生活再建の目途も立てられない。放射能がかかったら、そのまんま。


昨日また発表がありましたが、甲状腺がんが6人また追加です、確認。疑い事例も増えているわけです。
ひょっとすると、チェルノブイリよりも早いペースで来ていますよね。


県も専門家に聞いています、新潟県。発災以来、新潟県甲状腺がんになった人は1人です。
福島は今だけで確定で18倍。疑いを合わせると30数倍、100倍近いかもしれないですよね。という形になっているわけですよね。


で、これは「ちゃんと調査したので明らかになりました」というのは、チェルノブイリのときにもそう言ってたんですよね、当時のソ連政府は。でもこれがもう少し経つとはっきりわかるんですけど、事故後に生まれた赤ちゃん。チェルノブイリでは甲状腺がんは確認されなかったんです。だって、放射性プルームが通るときに生まれていなかったから。


だから事故後に生まれた赤ちゃんの発症率と事故のときに実際にもう呼吸していた方の発症率を見て、ソ連政府は事故後に生まれた赤ちゃんが正常に戻ったことから、これは(事故の影響を)認定したということです。5年目ぐらいだったでしょうかね。という事になるので、もう少し経ってマクロで意味のある数字を新規に生まれた赤ちゃんと比べてみれば、原発事故の影響かどうかはっきりするわけです。
今の段階で影響がないと否定をしてしまうというのがが本当によいのかということについては、ちょっとやはり歴史に学ぶべきではないかというふうに思っています。

 


ちょっと長くなりましたけど。「どう思っているか」ということについて言えば、経営と安全を天秤にかけるということが今の事態を招いているし、国際的な日本の信用を落としているんじゃないでしょうかね。BBCなんて一時期トップニュースでしょ、この汚染水の問題。日本の報道は「大雨」でしたけど、良いんですかね?こんなに差があって。


世界で日本の評判が落ちていきますよ、どんどん。
まじめに対応するべきではないかと思っています。


東京電力に常々信頼できる会社にということを言っていますが、現状を見て知事として。


泉田:
いや、だから同じですよ。
経営と安全を天秤にかけるわけでしょ
そういう仕組を作った方が悪いといったら悪いのかもしれないけど、少なくとも会社の信頼を確保しようと思って、よい経営をしている経営者はまず顧客の信頼を繋ぎ止めることを第一にしますと。これはよく言われる例ですが、尊敬されるというか、信頼される経営の例を2つお話ししますと、こういう事があったそうです。


<ロールス・ロイスとウォールマートの例省略>


結局、顧客の信頼を得られない会社っていうのは支持を失うんですよ。


で、事実上嘘を言うわけですよね
これも何度も言っていますが、2011年3月12日の時点で、燃料棒の中のペレットの中にしかない放射性物質が建屋の外で検出されているわけですよ。メルトダウンというのをわかっていたわけです、東電は


さらに言うと3月11日の当日ですよ。当日の一番早い段階、午後5時の段階で進展予測をしているわけです、メルトダウンまでの。メルトダウンまで1時間というのをわかっていたわけでしょ。で、メルトダウンを認めるのが、諸外国の報道機関はもう基本的に翌日以降「メルトダウン」って書いていました。日本の報道機関は書かかなかったけど。
で、東電が認めたのは5月でしょ、5月20日過ぎ。2か月間嘘をついていたわけですよ。


誰が指示したんですか?「ウソつけ」と。
で、その反省はしたんですか? 何もやってないですよね。
とても信頼は出来ないんじゃないでしょうか。以上です。


Q:その中で、社長との会談の見通しは立たない?

泉田:
あ、今やっています。
今(東電からの)返事待ちです。



Q:9月議会が9月25日から始まりますが、それまでに再会談の見通しは?

泉田:
東電次第だと思います。
真っ当なお答えをいただければ、すぐに整理できるんじゃはないでしょうか。

▽書き言葉での要旨全文は、新潟県知事公式ホームページの記者会見からコチラで:「平成25年8月21日 泉田知事定例記者会見要旨」の(原発関連問題について): http://chiji.pref.niigata.jp/2013/08/post-8664.html#read