東電存続のための新「省令」(そもそも総研)

福島第一原発での汚染水漏れはもう止めようがないほどダダ漏れです。設置した当初から業者が漏れることを東電に予告?しているというタンクですから、応急処置にもなっていない。配管工事業者同士の連携もできていなければ、斜めに設置されたタンクのことも頭に入っていない東電に事故収束能力がないのは歴然です。それなのに国は企業としての存続を決めています。賠償をさせるためだそうですが、そのために不必要な原発の再稼働をして電気料金を取って賄うというのでは、結局、後始末を税金でするか電気料金でするかという問題で、お金の出どころは、どちらにしても国民の懐です。そのうえ不必要な再稼働で生み出されるのは処理の当てのない核ゴミと原発事故の危険性で、その分、国民には不利益です。昨日の「そもそも総研」でもこの問題が取り上げられていました。自民党内でも東電を破たん処理すべきだという議員さんがおられるようですので、野党も頑張ってほしいと思います。
では東電破綻処理問題、昨日のモーニングバードの玉川徹キャスター「そもそも総研」からです。

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玉川徹キャスター:「東京電力の破綻処理問題が今になってまた大きな問題になってきていますが先生はどういうふうに見てますか?」
大島堅一立命館大学教授:「東京電力は本来破綻処理しなければならないと私は思いますが、それを破たん処理しなかったために色んな本来やってはいけないことをしようとしていると思います。」
玉川「それは、なんですか?」
大島「今、具体的にいうと、廃炉にあたっての会計と電気料金の規則を変えようとしています。簡単にいうと、東電福島の事故に限って言うと、福島の事故を処理するための設備のお金を電気料金から取ろうとしている。今まで、多額の損失を一年で処理、破たんする可能性を、一昨日からの制度の変更で、その損失は数年にわたって分割でき、しかも電気料金で回収もできるようになった。」
玉川「要するに私たちからすれば事故の処理費用を電気料金で払うということ?」
大島「そうです。本当は、事故が起これば経営が成り立たないとか、破たんということになる。そのお金を全部電気料金にかけられるのであれば、『事故を起こしてもなんてことはない』ということになっちゃいますね。普通だと事故を起こして商品の値段を上げて回収しようとすれば、競争でやっていけなくなるので、破綻しちゃいますね。保険もきかないような巨大事故だったりするとつぶれちゃうわけです。それがないようにする制度だと思うんですけどね。」

ナレーション「今回の制度変更は国会審議を経ずに経済産業省の命令、いわゆる「省令」だけで認められた点も問題だと大島氏は指摘する。つまり、国会の議決なしに原発廃炉費用を家計に負担させることを可能にしたのです。」

玉川「会計制度を変更するだけでうまくいくんならいいじゃないかというわけには?」
大島「ダメです。なぜなら、それは”ごまかし”だから、「粉飾」ですね
玉川「一般企業で同じことをやれば?」
大島「それは、もう犯罪です・・・『粉飾』・・・」

玉川「国が”粉飾でもいいよ”と認めた。どんな意味があるかというと3つある。
1つは、事故処理費用を消費者にツケ回し。2つ目は原発は経営上ノーリスク。3つ目は、省令一本で大改革。どうやっても「電力会社は破綻しない」というメッセージです。

では、東電は破たんさせた方がよいのか、させない方がよいのか?について自民党の2人の議員に聞いた。
 「破綻すべき」の秋本議員 「実質的に破綻している会社を今だらだらと国が助けながら延命措置をしている状況になっているが、ここはいったん事故を起こした責任を明らかにして破綻処理する。で、貸主責任、金融機関の責任であるとか株主の責任というものも全く問われていない中で、先に国民の税金が投入されているのは全く順序が逆。とにかく東電の責任をはっきりさせる、そして金融機関や株主の責任もしっかりとっていただく、その中で東電もこれ以上1円も出ませんというところまでシッカリ処理をした後で破綻させて、そして国民にそれを説明して、国民の税金によってそれをクリアにしていくというスキーム(枠組み)をしっかり踏むべきだと思います。

 「破綻すべきでない」の山本議員「東電が3・11事故を起こして、賠償を全額東電に支払わせるスキームで今は走っている。従いまして賠償金額が福島の除染を含めてどこまで広がっていくのか結論が出ない段階で潰して整理してしまったら、あと全額税金で支払うことになるので、その議論(破たん処理)は今の段階では一寸早いのではないか。」

 秋本議員「いかに国民の負担を少なくするかということだ。まず経営責任を取ってもらい、金融機関や株主のお金も入っているのだから、その分を引くだけでも国民の負担は大分小さくなる。ですから順番として、そういうものをしっかりあてて国民の負担をいかに少なくするかが先決だと思う。」

山本議員が「破綻処理すると電力の安定供給に不安が生じる」と指摘。これに対して秋本議員は「東電が東電であり続ける必要はないと思っていますので、例えば発電の部分については切り離して売ることもできる。売り先は一定程度制限をかけることもできるので、例えば、東電以外の電力会社に買っていただいて設備や人員はそのまま横に移動してそのまま発電を続けることも勿論可能ですから、安定供給が損なわれるというロジックは全く成り立たないと思っています。」

玉川「JALという前例がある」に対して、
山本議員は「違いが1つある。JALは借金だけ負債だけ抱えてお金だけの問題で整理して済んだ。東電は賠償請求を抱えている。」 玉川「借金をかかえていたJALも一緒じゃないですか?」 山本「JALには既定路線というか主要路線を抑えていたが、電力の場合はその主要路線が、東京ガスとかいろんな外国ファンドもどんどん入ってくる仕組みになって独占が事実上保証されていない状態に電力の場合あるわけです。」 玉川「JALだって競争相手の全日空があったんですよ。ましてや今の電力会社なんてほとんど全部独占の中で・・・」山本議員「それは比較になりませんて・・・」

秋本議員は、玉川キャスターの「JALとは違いますか?」という質問に「私は同じだと思います。債権の大きさを問題にする方もいますが、そこは問題ないと思う。市場の原理に任せて破綻処理すべきだと思います。」
玉川「『きょうのむすび』は、これです」
こういう問題は一省庁に決めさせるのではなく国会で議論を・・・

◎参考ブログ:お隣日記より「大島提案で火が付いた「東電解体」 電力改革にも事故処理促進にも、もはや不可避」(磯山友幸の「政策ウラ読み」):http://d.hatena.ne.jp/isoyant/20131004