ツワネ原則と秘密保護法(西山太吉氏質疑応答)

昨日は、今月に入って初めてのヨーガに出かけました。帰りは芦原池を通り抜けて団地の周りをまわって桜のトンネルを歩いて帰りました。黄色くなった団地の銀杏を撮ってみました。

まず、聞きなれない「ツワネ原則」について。「ツワネ(英語: Tshwane)は、南アフリカ共和国ハウテン州に位置する自治体(都市圏)で、正式名称は、ツワネ市都市圏( City of Tshwane Metropolitan Municipality)。首都プレトリア地区を含む。」(Wikipediaより)。
ブログ仲間さんの昨日の記事の中にもこの原則がでていて、そうそう、いつか取り上げたいと思っていた記事があったと思いだしました。東京新聞の今月11日の記事です。そのなかから:

ツワネ原則」とは、正式には「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」と呼ぶ。安全保障の秘密を設けるに当たり、国家が考慮しなければならない指針として、今年六月に発表された。南アフリカのツワネで、国連や欧州安全保障協力機構などの国際機関の職員、安全保障に関する専門家ら五百人以上が二年間、議論してまとめた。参加者の国籍は七十カ国にも及ぶ。
知る権利、人権に配慮したツワネ原則に照らすと、秘密保護法案は重大な欠陥や違反だらけだ。こんな法を成立させてはいけない。白紙に戻すべきだ」という声が上がっている。ところが、本来、国民に知らせる努力をするべきなのに、「政府関係者の関心は薄く、法案をとりまとめた内閣情報調査室の担当者は、こちら特報部の取材に対し、ツワネ原則について『私はよく存じ上げない』と語り、法案作成に当たり参考にしたかは「詳しく調べないと分からない」と言葉を濁した。自民党の議員も知らないようだ」という。
◇詳しくはコチラ「ツワネ原則手本に 欠陥だらけ秘密法案 白紙を」で:http://blog.livedoor.jp/ryoma307/archives/7404562.html
●●次は、先日「みんな楽しくHappyがいい♪」さんから外国特派員協会での西山太吉氏の記者会見の文字起こしを紹介しましたが、その後半部分、質疑応答部分が書き起こされました。
さすが沖縄密約からず〜と日本の政治をアメリカとの関係でウォッチングされてきた方だけに、外務省が何故聖域を作ろうとするのか、なぜ秘密体質になるのか等、とても大事な指摘をされていると思いました。ダイジェスト風にコピーしてみましたが、是非「Happy」さんで全文を、あるいは動画で。

国民にとって必要な情報こそが一番権力にとっては不都合なんです西山太吉毎日新聞記者会見後半11/15日本外国特派員協会(文字起こし)(http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3406.html)

・国家が本当に隠したい事は沢山あると思いますけどね、「スパイの防止」だとか「テロの防止」だとかというのは、あれは取ってつけた特別秘密保全法制が無くてもね、ああいうものを、ああいうたぐいのものを取り締まるという事は当り前の事なんで。

秘密保全法制というものの最大の眼目は、日米関係、軍事、政治、経済、日米同盟、これに関する運用の実態ならびに双方の了解事項、約束事。こういうことです。
・それはなにか?と言いますと、日米関係というものの運用によっては、日本の憲法というものの枠組みを侵食する恐れがあるという事です。たとえば、「イラクにおける航空自衛隊の活動は、憲法違反である」という判決が下った。

・「集団的自衛権」という問題が今盛んに論じられていますけれども、「集団的自衛権」というのは、すでにもう実施されている思うんですよ。

アメリカが戦争に出て行く。出兵する。世界の果てまでも行けるんですよ、「周辺事態」という認識をすれば。
・その時に自衛隊はそれを兵站(へいたん)補給するんですよ、後方で。兵站補給というのは、作戦行動の中の重要な一環ですよ。
・もうすでに「集団的自衛権」というのは何時でも発動できる基盤は揃っているんですよ。

集団的自衛権というのは実際に実行されているんですよ。
それを明確に出していったら憲法の違反になるからということで、ごまかそう、ごまかそうとする。
・これが最大の今度の秘密保全の最大のテーマです。

外務省が機密を必要以上に守ろうとする、これはなんでそうなったか?

どうですか? 1960年に新安保条約が出来た。そして条約というものが出来て、これが一番問題なんです。条約っていうものが出来て一つの秩序が出来ますと、そこに官僚というものが非常に強大な権限を持ち始めるんです。生殖するんです、そこに。そしてそれがだんだんだんだん巨大化して行くんですよ。大臣なんか1年か2年、3年で交代していくんです。
・外務官僚は1960年のシンガポール条約でアメリカと日本と運命共同体みたいになっちゃった。それが聖域にするという。それを聖域化する事が外務官僚にとっての生存の、いわゆる生きる道なんです。そういうふうになっていくんですよ、恐ろしい事に。


今度でもそうですよ。
「秘密の検査官」が出来るんですよ、検査官。

秘密専門ですよ、朝から晩まで秘密の特別秘密をつくって、
「特別秘密をどうやって守るか」という事ばっかり考えている人間が沢山出来るんですよ、外務省と防衛庁の中に。

どうですか、1960年、72年、ずーっといっているうちに、外務官僚というのはどんどんどんどん根を張っている。そうすると、日米同盟を聖域化しなくてはならない。聖域化という事は綺麗に見せる、綺麗に見せなくちゃいけない事になってくる。
・権力というのはね、情報の保全保全という秘密の保全保全ばかり言っていますけどね、権力というのは絶対ですよ。権力が情報を独占しているんですよ。都合のいいものは全部リークしますよ。


・『核抜き本土並み』だったじゃないですか、沖縄返還は、まっ逆さまなのに、実体は。核付き沖縄並みだったの、本当は
・権力は情報を独占して、いくらでも利用できるんですよ。都合のいいものをどんどんリークする。そしたら、都合のいいものをどんどんどんどん洪水のごとく流していけばいいんですよ。日本の民衆というのは監視能力が弱いから

日本の民衆程先進国の中で国際政治安全保障に関する関心が低い民族はありません。なぜか?

・日本は島国だ。あれだけのすごい戦争の結果大敗北を喫した。へこたれてしまった。同時に日本の民主主義は上から出来た。下からじゃない。草の根の民主主義なんて全然ない。この3つが揃っている。

日本の民衆の主権者というものの国際政治および外交安全保障に関する関心というのは、先進国の中では最低ですよ!


だからあんなに大きな沖縄密約までできるんです。あの沖縄の密約は普通の先進国だったら出来る筈がないですよ、条約に嘘を書いていくんですから。

・「日本の国民の関心能力が如何に低いか!」と。それに乗じてメディアは民衆に引きずられますからね。メディアの関心能力も落ちて行くんですよ。

ですから外務省が今、なぜ秘密を守るか?っていうと、
・外務省は日米同盟というものを1960年以降、自分たちの住む家になっちゃっている。
・そうするとそれを補強し、万全なものにするという、官僚の習性がはじまるんですよ。
制度によって官僚は生き、官僚が生きることによって制度が固定化するんですよ
・ですから秘密を守っていくんです。秘密を守ろうとする。

・「知る権利」をあんまり声たかだかに、誇らしげに言うんじゃなくて、地道に、「地道に実践しろ」という事ですよ。
/そんな生易しいものじゃないんですよ、知る権利は。ましてや今度のようにガードが固くて、内部告発がそれでなくてもないところにもってきて、今度はがんじがらめになるんですよ、今度の秘密保全法制は。

・官僚は絶対に今までだって部外秘、部内秘っていうのもあるんですが外務省に。部の内部のやつだって一人しか知らない。局で一人しか知らないっていうのだっていくらでもあるんですよ。
特別秘密はあるんですよ、すでに。漏れた事なんかありませんよ。今度それの上にさらに特別秘密をつくるっていうんです、専門官が。どんな国になります?これ!


国民の本当に知りたい情報というのは、その時の権力にとって不都合な情報なんですよ。これは絶対矛盾なんです。国民にとって必要な情報こそが一番権力にとっては不都合なんです。
この絶対的な矛盾を打開するのが、『知る権利の行使』。

・特に新聞記者ですよ。新聞記者が今まで政府にとって不都合の秘密を抜いた事がありますか?

・「知る権利」を声たかだかに言って、知る権利が侵害される、侵害されるって、「お前たち知る権利を行使した事はあるか?」。

日本は、日本の重大な国際政治に関する情報は、全部外国の情報じゃないか! 「自ら恥ろ」という事ですよ!
それは私に対する、ま、反省でもありますけれども、そういう事です、それが一番大事な事なんですよ。

・だからますます国民は無関心になるんです。

・何故か?って言うと、知る権利が行使されないから、具体的に。

以上が事実です。