本日2つ目、「元外交官が生激論! 日米関係は今のままでよいのか?」のつづき・後半です。
宮家:あのね、今の額の数字はよくわかりません。先ほど言ったように、NATOと安保の違いは、日本はアメリカが攻められていても日本は守らない、義務を負わないということがある。それをどのように政治的に判断するかという問題ですが、私はヨーロッパのやり方と日本のやり方が違って当然だと思う。
XXX:できない分をお金で払うということですか?
宮家:いや、本来であれば集団的自衛権をもってNATOのような相互防衛、双務的である条約が普通だと思う。
孫崎:あの、ここはね、非常に重要なんです。一寸話させていただくと、第3者が攻撃した時は日本、アメリカ双方とも自分の国の憲法に従って自分が攻撃された時に対応するということで、そんな違いはないです。
玉川:ちょっと次に行きます。歴史認識の次は現状認識になるんですが。
<第4段階 現在>
孫崎:「日本の自衛隊を米軍の傭兵として使いたい」 米国はだんだん自分の力がなくなっていくに従って自衛隊を自分の戦略のために使おうとする。 対日政策の中核に立つ国防総省の日本部長だったポール・ジアラが、非常に本音を喋っている。以下に根拠資料。
「緊張度の高い地域」と言うのはイラクとかアフガニスタンとか、そういう地域に日本の自衛隊が参加する、しかし、そのためには日本の国内で非常に反発があるから平和維持活動をすることによって徐々に慣らそう、そして、その訓練というのはPKOでやる、と言うことは、ある意味で将来に役に立つ、とうことをポール・ジアラは自分で言ってるのです。(蛙のひと言ふた言:この部分は、過去に同じことを日本はアメリカにやられています。原爆の被害で核アレルギーになっている日本に「平和利用」と言う名のもとに原発を導入するため官民あげての一大キャンペーンをやられて、日本人はスッカリ、核(=放射能)アレルギーを克服?して、安全神話の魔法にかかり、挙句の果ての福島の原発事故、その後の今があります。同じように「平和維持」という名のもとなら平和憲法を持つ日本人もアレルギー反応は起こさないだろう、徐々に慣らしていけばそのうち世界中どこへでも、というわけですね)
玉川キャスター:でもね、例えば日米協力っていうのは、極東とか東マカオの有事の時には日米共同で当たるわけですよね、そういう風な訓練のためにPKOに出て行くんじゃないですか?
孫崎:いや、ここは大変重要で、グローバルだということは、これまで日米安保条約と言うのは日本が攻撃された時、あるいは極東の有事と言うことを考えた時のもの、なのに1993年ぐらいからだんだん自衛隊を世界に持って行こう、アメリカの戦略のために世界で自衛隊を使おうということに変わっているのです。
玉川:ということは、「グローバル」ということは、「極東に限ってませんよ」ということですか?
孫崎:そうなんです!
玉川:私たちがお金だけでなくて自衛隊を出さないといけないと思ったキッカケは何か?というと、湾岸戦争の時にカネだけじゃダメ、感謝されなかったネというのがあった。
1991年の新聞、イラクからの解放でクウェート政府がワシントン・ポストに出した広告に日本の名前が載っていなかった。あんなに金をだしたのに・・・「ありがとうアメリカ そして地球家族の国々」と言う全面広告に、湾岸当事国を除けば多国籍軍への世界最大の財政貢献国である日本がなかった。日本と同様、兵力の直接提供を拒んだドイツは参加30か国の名前に載っている。NATO軍の一部としてトルコに航空戦力を派遣したことが参加という位置づけになった。
(蛙の考え:これが「ショー・ザ・フラッグ」に繋がったわけですが、日本はアメリカの星条旗の影に隠れていて、どれだけ日の丸を振ろうが、大きな星条旗に重なって見えないんじゃないかと思います。世界で事があれば、日本の憲法に則って平和的な解決に向けて何か独自の発言や提言をしたことがあるでしょうか? アメリカとは違う解決方法を考えて世界に向けてアピールしたことがあるでしょうか? いつもアメリカの後をついて、顔色を窺っているばかりです。唯一の原爆被害を受けた国ならではの非核の提言をして世界平和に貢献したことがあるでしょうか? お金でダメだったから今度は軍隊(自衛隊派遣)をというのでは、それこそアメリカの傭兵にしか見えないような気がします。)
宮家:傭兵でもなんでもない。ポールの言っていることは、日米の安全保障の協力を安保条約の枠内で、しかし国際的にも広げていこうという話ですから。
孫崎:「安保条約の枠内」というのは先ほど言ったように「極東と日本が攻撃された時」。だから世界中に自衛隊を使うということは安保条約に想定していない。だから集団的自衛権というものが出てくる。
石原良純:傭兵=多国籍軍?
孫崎:米国の戦略のために自衛隊を使うことを「傭兵」(雇われ兵隊)と言っている。
宮家:(下を向いて小さな声で)主体的に日本のために自衛隊を使う、これは当然のこと。
玉川:時間が無くて済みません。じゃ、今後どうしたらよいのか? CMの後で。
孫崎:まずね、首都の上空に自分の国の法律が充分に適用されないような占領態勢にある国は世界に無いです。だから米軍の在り方に対して日本の法律をシッカリ適用するということ。もう一つ、二つ目は、イラク戦争、アフガニスタン戦争、この地域の不安定になることにしか役に立たない、こういうアメリカの戦略に対して極めて慎重に対処すべきです。
宮家:日本は・・・今、東アジアで日本が直面しているのは何か。東アジアで大きな地殻変動が起きていて中国の台頭と言う形でパワーシフトが起きている。このパワーシフトで日本がどうして生き残るのか。単独で出来るのか、出来ないのか。そこを考えた時に日米問題という一種の保険ですが、その効果が昔より今ほど大切なことは無い。
石原:孫崎さんは日本単独で、宮家さんは日米で、極論で言うとそういうこと?
孫崎:私は極東・日本への攻撃、これは従来の日米安保条約でやっていますから、これまで通り、あるいは強化することが重要なんですが、イラク戦争やアフガニスタン戦争のように日本の国益と関係ない所に自衛隊を持って行く必要はない。(安保条約外)
石原:それは、だってアメリカが込みでやらなきゃ、やってやんないよって話になるんじゃないですか?
孫崎:いえ、これは、ラムズフェルドとか、こういう人がいて、今、有志連合という、それぞれの地域ごとに自分たちが重要だと思うもので集まって行けばいい、グローバルには色んな事件がありますから、それぞれが自分の国益と関係があると思う人たちで集まろうと。
石原:アメリカが首都の上空を軍事的空白を生まないようにしている、それを日本で埋めるってことですか?(蛙:唐突な質問でビックリ!)
舞の海:世界は力関係で、力のある者の言うことはきかなきゃいけないという冷めたものがあるんじゃないですか〜。
孫崎:世界の平和を築くには武力と言うことと、他方、外交とか紛争になる源を絶つということがあるんですね。今、アメリカのやり方は紛争の源を絶つ努力を怠って、武力で解決しようとしてるから、結局、イラク、アフガニスタンという混乱を招く時代になってるんですよね。
玉川:まぁ、時間がきてしまったんですけど、来年、近いうちにまたやりましょう。
宮家:駐留米軍の空域の問題は同盟関係の中で話し合うことで、占領されてるみたいな話はオカシイ、首都上空が。
孫崎:世界の首都の上空で自分の国がちゃんとコントロールできない国なんて世界にないですから。
宮家:(小さい声で)米軍は日本の航空法を守っています。 (おわり)
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◎宮家さんは「NATOと同じように」、日米安保を相互防衛の双務的なものに「格上げ」、アメリカの要請にこたえて世界に自衛隊を出すべきだという考え、又、中国が台頭している今、そうしないとアメリカに守ってもらえないので「従属」とは考えないで「日本が日本の意思でやっている」んだと思えばいいんだということらしい。
一方、孫崎さんは、日米同盟堅持、強化して安保条約の枠内の「極東・日本が攻撃された時」のみに限り日米同盟として対処する。それ以外は、従属状態にある日本の諸権利を主張し(首都圏の上空のコントロール権を取り戻し、思いやり予算も減らすなど)し、日本の国益にならないアメリカの戦略で自衛隊を海外派遣することには慎重であるべきで、平和外交で貢献すべき。
○日本の総理大臣や防衛大臣、外務大臣が一度孫崎さんのような考えでアメリカに物を言ったらどうなるか? 鳩山さんは一人で、身内から裏切られた感じもありましたが、日本が政権ごと孫崎さんのような考えになってアメリカと話し合えば、意外と開ける気もしますが・・・やはり問題は国民がその気になるかどうか…そういう政権を生み、支え続けられるかどうかですね。
○今週23日(木)の「そもそも総研」は、名護市長選で稲嶺再選を果たした沖縄について、本土との意識の差を取り上げていました。在沖米軍は抑止力で仕方がないのか?など、20分間内容のあるコーナーになっていました。メモ取りしましたので、そのうち記事にしたいと思っています。