丸山真男「民主主義を求めて」(7)エンドレス革命と後継者たち

政治学者・石田雄さん「永久革命としての民主主義は一人一人が主権者として発言できる、ということが民主主義なんだと。
その一人一人が発言できるためには、お互い理解し合わなきゃいけない、対話がなきゃいけない。対話が成立するためには不利な人の立場もその身になって見るということが必要なんだ。本当に絶えず下から言葉を掘り起し主権者としての発言が出来るようにするためには、それをくみ上げる他者感覚が必要なんだと。
だから、私としては永久革命としての民主主義と、永遠の課題としての他者感覚とは、表裏の関係を成しているということは、丸山真男から今日引き継ぐべき最も重要な遺産だと。」
参議院議員江田五月さん「自分自身が正しいと思っていることを常に疑ってみる、相対化する。そして、その自分自身が正しいと思っているものに対抗する自分と意見が違うものを、どれだけ自分が内在的に理解するか。そのうえで自分の意見をその内在的に理解した他者の意見とを自分の中でぶっつけ合わせてみることで思想の発展が出てくる
これは非常に(丸山から)教わったことですね。
今の現実の政治の中でそういうことがあまりにも足りないという感じがしてまして、多数を持っている人たちも自分の考えにあぐらをかくのではなくて、少数あるいは自分と違う他者に一ぺん共感して見ようじゃないかという想いを持って、そして、お互いの討論をする。少数の方にも同じことは言えるわけですけれどね。そういうことがないと次のステージに上っていくことがなかなか出来ない。」
政治学者・山口二郎「戦争が終わったから戦後が来たんじゃなく、丸山さんたちが戦争をキッチリ総括して敗戦の構図を明らかにしたから、やっと戦後が始まったわけです
だとすると震災の後の災後なるものも、3・11の後、災後になったわけではない私たちがあの原発事故をもたらした日本の政策決定についてきちっと闘って向き合って解明しないと災後は始まらないと思います。それは今の時代に生きる政治学者の最大の仕事だと思います。」


福島県郡山市。6月末放射性物質を取り除く除染作業が続けられていました。福島第一原発の事故後、故郷の再生を目ざし郡山市長になった品川さん。絶え間ない日常活動こそが大切だと考えている。
品川萬里市長「3・11は地震があった。原発の事故もあった。事実もう起きましたから、それを与件としてどういう風に新しい、まさに人間が作った制度ですから、どう作り変えていくか。ミクロの永久革命ですね。常に現場第一線の人との会話を繰り返しながら、その中から知恵を見出していく。絶えず見直す。絶えず改善。エンドレスです。」


民主主義とは何か。
敗戦直後の焼け跡から丸山真男が思索を深めてきた問いは私たちの前にあります。


「もし『永久革命』という言葉に意味があるとしたら
民主主義だけが永久革命という名で呼ばれるに値する
世界中どこも民主化が完了した国はないし
これから永久に革命していかなければならない
あらゆる国は民主化の過程にある」

第3回
「民主主義を求めて」
   〜政治学者 丸山真男〜 (終)
ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ