サイクス・ピコ協定と「日本が世界の平和のためにできること」(武田邦彦氏)

日本経済新聞(26日月曜)に後藤健二さんと湯川さんの接点についての記事が掲載されました。
テレビで、後藤さんが湯川さんのことを「一度助けたことがあるし、助けたい」と発言しているのを聞きました。後藤さんが危険なラッカヘ湯川さんを助けに行かなければならなくなった切っ掛けがコレだったのでは。

 日本経済新聞が昨年8月に後藤健二さんに取材した際、後藤さんは昨年4月にシリアで湯川さんと知り合ったと話していた。当時湯川さんは同国北部のアレッポ近郊で反体制派武装組織に軟禁されていた武装組織側から通訳を要請された後藤さんが仲介し、湯川さんは開放。その後も2人は交流を続けていた。
 「会社をつくったばかりで、実績や経験を積みたい」という湯川さんについて、後藤さんは「明確なビジョンはなく、紛争地の経験は乏しそうだった」と話していた。湯川さんは昨年7月ごろに1人で再びシリアに向かったとみられる。   

後藤健二さんの母親の石堂さんの記者会見でも話しておられたように、2週間前に子どもが生まれたことを知っている(?)父親が人助けとはいえ自発的にラッカヘ行くだろうか? 敢えて危険を冒さず、生きて帰ってくるという取材ポリシーを普段から公言してきたジャーナリストでもある後藤さんです。自分の意思では止めることが出来ない状況、命令されて行かされたのでは・・・と妄想したり。
◎中東問題を考えるために:

サイクス・ピコ協定
濃い赤はイギリス直接統治、濃い青はフランス直接統治、薄い赤はイギリスの、薄い青はフランスの勢力圏。紫(パレスチナ)は共同統治領


第一次世界大戦中の1916年に、イギリスはフランスやロシアとともにオスマン帝国の領土を、アラブ人やクルド人などの現地住民の意向を無視して、自分たちの勢力圏を決める秘密協定「サイクス・ピコ協定」を締結し、戦後その協定に修正を加えて国境線を引いた。
オスマン帝国領から西欧列強の植民地となった地域はその後独立したが、シリア、レバノンイラク、ヨルダンといった国々に分割されたという歴史がある。西欧列強は中東の古い秩序を根こそぎひっくり返してしまった。西欧列強が秘密協定によって引いた国境線によって作られた国々の枠組みは「サイクス・ピコ体制」と呼ばれている
イスラーム国は、目標のひとつとしてサイクス・ピコ体制の打破を掲げている。彼らの主張によれば、(西欧列強のズル賢い秘密協定によって)「押しつけられた国境」を消し去ろうとしているという事になる。(Wikipediaより)


◎27日の報道ステーションでもこのサイクス・ピコ協定を解説していました。
イスラム国(ISIS)の戦闘員の一人は、「昔はここがサイクス・ピコの国境線だったが我々は認めていない。
国境警備隊」と書かれた看板は今は私に踏みつけられている。我々はイラク、ヨルダン、レバノンの国境を越えてイスラエルまでたどり着く。」と「イスラム国」の映像の中で語っている。
今や彼らの支配する地域はイギリスと同じ面積、人口にして800万人と言われている。何となく高校生の時に読んだ「エクソダス」・イスラエル建国の話に似ている、と思いました。イスラエルと関係があるという話もあるそうだし(http://ameblo.jp/don1110/entry-11981018829.html)。

◎テロと空爆は同じじゃないか…武田邦彦氏のブログから、平和に貢献する日本の方法についてです。
ブログの自己紹介から:◇武田邦彦(中部大学):昭和18年(1943)6月3日、東京都生まれ。 昭和37年(1962)都立西高等学校卒業・昭和41年(1966)東京大学教養学部基礎科学科卒業。 同年(1966)旭化成工業(株)、(1986)同社ウラン濃縮研究所長、平成5年(1993)より芝浦工業大学工学部教授を経て、平成14年(2002)より名古屋大学大学院教授,平成19年より中部大学教授.


テロと空爆・・・日本が世界の平和のために寄与できる方法


今、イスラム社会で起こっていることは「悲しいこと」です。私たちから見ると特殊な宗教の人たちが暴力をふるっているように見えますが、彼らも本来は平和で穏やかな生活を望んでいるのです。


事実、7世紀にマホメットが登場し、その後、中東地域はイスラムの国が多く建国され、10世紀ころにはヨーロッパよりはるかに平和で文化的な地域だったのです。一時、蒙古の侵入で乱れたことはありましたが、その後もエジプト、イラン、トルコなどを中心的な国として栄えました。


ところが、20世紀に入り石油が取れることもあって、ヨーロッパ、アメリカが中東地域に入り、それから混乱に混乱を重ねています。ここで詳しい歴史を書く事はしませんが、今、注目されているシリアにしても1920年にフランスが攻め入ってシリアを植民地にしてから100年間ゴタゴタが続いているのです。


それは今でも同じで、イギリスやフランスの代わりにアメリカが登場して、イラクに対して「大量破壊兵器がある」とウソを言ってイラクを占領して大統領を殺害し、さらに「イスラム国はけしからん」と言って、空爆を続け、すでに昨年夏に6000人以上の犠牲を出しています(アメリカ中央軍のオースティン司令官)。


今回の日本人拘束、パリのテロの背景に、中東地域に対するヨーロッパ、アメリカの100年にわたる暴虐があることを認識でき、中立的な立場で国際社会に「平和」を呼びかけることができるもっとも良い立場にあるのが日本です。もし日本が勇気を持って「本当のこと」に基づく提案ができたら、それが日本の外交の力になり、中国などと対等に世界外交を展開していくことができるでしょう。


まず第一に「テロが憎い」というのはアメリカの論理で「テロも空爆も同じ」というスタンスが必要です。テロはお腹に爆弾を抱えて突撃するのですが、空爆は航空機が爆弾を抱えてそれを落とすのですから同じことです。


第二に、日本は国連主義を取るべきで、世界の紛争をなくすためにはイラク戦争で見られるようにアメリカが勝手に国連決議に反する形で他国を攻撃するということが起こらないように繰り返し声明を出し、協力しない姿勢をとる必要があります。


そして第三に、戦争が起こるのは「自分の国が攻められてもいないのに、遠い他国を攻める」という考え方に対して断固たる反対の態度を示すべきでしょう。


最後に、「アメリカがシリアまで言って爆撃してもアメリカ人は優れているから良いことだが、イスラム国が自分の国に許可なく入ってくる人を拘束してはいけない」というような民族に優劣をつけることを日本人はしないということを明白にするべきと思います。


日本は先進国で、アジアの国でもあるので、独自の立場から、日本の見識を示す絶好の機会です。決して、卑屈になって損得を考え、右を見たり左を見たりせずに、日本本来の文化、誇り、誠実、礼儀などを発揮することです。特に「愛国的、日本文化優先」の人がアメリカに追従しないようにして欲しいものです

平成27年1月25日)

(引用元のブログ:http://takedanet.com/archives/1018345179.html

◎26日(月)午後、日本の国会議員が着物姿で「テロとの戦い」?ですって。

 超党派の「和装振興議員連盟」が26日午後、国会正面玄関前で通常国会召集日恒例の記念撮影を行った。議連会長の伊吹文明衆院議長(自民)は過激組織「イスラム国」によるとみられる邦人人質事件を踏まえ、「国民衣装である着物を着て、国民が一致結束してテロ組織に対応している姿を示す」と記者団に語った。(http://www.jiji.com/jc/zc?k=201501/2015012600647&g=pol