『明日戦争がはじまる』(宮尾節子さん)

◎金曜日の午後、日野原重明さんの月刊誌「いきいき」を持ってきてくださるSさんを迎えてお茶にしました。
チャイムが鳴ってお迎えもしないで、Sさんも勝手知ったる我が家、テーブルのところへ来られた時は、ちょうど夫がオリーブオイル漬け?のおつまみを作っているところでした。刻んだオリーブとサラミと生ハムとあずき色をした”レッドキドニービーンズ”という紙パック入りのお豆さんに適量のオリーブオイルを加え適当に塩コショウして馴染ませるだけですが、最近、自分でこれを作ってワインのおつまみにしています。マイ・ブームというのでしょうか。Sさんは、その日、ご主人は元の会社のOB仲間と飲み会で、夜は息子さんと二人、ピザのつもりだったので、ピッタシ!!とのこと。
さて、この日は、到来物の生菓子がありましたので、それをお出しして、お抹茶を点てました。「桜しぐれ」という名前がついていて、母のヨガ仲間で河津桜を見てこられた方のお土産とか。外側は桜色、真ん中は黄色い餡が入っていて、見るからに春のお菓子です。お替りで2杯づつのお茶を淹れて、話し出したら、止まりません。あれやこれや、身近な方たちの近況やテレビの話題、政治の話。3時ごろ、お野菜売りの車のチャイムが鳴ってお別れしました。借りた本やお貸しする本と白ワイン(最近見つけた安くて美味しいワインとか)とおつまみ。かなりの重さの荷物になりました。来るときはご主人が車で我が家まででしたが、帰りは歩いてです。
夕食を、私は食べ終わって、夫の方は、まだご飯には早いという頃、電話が。Sさんでした。「一本、空けたわよ〜!」に、二人で、「えっ〜〜!」。
息子さんと二人でワインを一本飲み干したということです。これはおつまみの力もあったかな。
◎さて、その「いきいき」の3月号、「この人 この一冊」からです。
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明日戦争がはじまる

宮尾節子



まいにち 満員電車に乗って
人を人とも 思わなくなった
インターネットの
掲示板のカキコミで
心を心とも 思わなくなった
虐待死や 自殺のひんぱつに
命を命と 思わなくなった
じゅんび は ばっちりだ
戦争を戦争と
思わなくなるために
いよいよ
明日戦争がはじまる




 この詩は、宮尾さんが8年前に書いたもの。人身事故で止まった電車の中で耳にしたのが「会社に遅れて困るんだよ」という乗客のひと言でした。「感情をオフにして、心を麻痺させざるをえない社会の空気を肌で感じました。人、心、命への無関心の先に戦争があるような気がしたんです」
 昨年、集団的自衛権の行使容認が推し進められる中、宮尾さんがこの詩をツィッターに載せると、瞬く間に3万件以上のリツィート(転載)がありました。英語や中国語にも翻訳され、メロディーをつけて歌いたいという依頼もあり、宮尾さんは著作権を放棄。「どうぞご自由にお使いください。願わくは、平和のために」とツィッターに綴ります。<後略>

みやお・せつこ
1951(昭和26年)、高知生まれ。93年、第10回ラ・メール新人賞を受賞。既刊詩集は、『くじらの日』『かぐや姫開封』『妖精戦争』『ドストエフスキーの青空』『恋文病』『明日戦争がはじまる』(思潮社刊/オンデマンド版)など。
2014年1月、「明日戦争がはじまる」をツィッターで公開。6月、JR新宿駅集団的自衛権の行使容認に反対する男性の焼身自殺を知ったツィッター利用者が、「焼身自殺ピンとこない、じゅんびばっちりな自分に驚いた」と書き込み、一気に広がる朝日新聞毎日新聞など各メディアで取り上げられる。

「いきいき」3月号より
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