『新たな規範となる核兵器禁止条約』と森瀧春子さんインタビュー(NHK)

🔲22日金曜日は、核兵器禁止条約(Treaty on the Prohibition of Nuclear Eweapons)が発効した日でした。「昨年10月までに条約を批准した50カ国・地域で、22日午前0時を迎えた場所から順次、条約が効力を持った。現段階では核保有国や日本など『核の傘』に頼る国々に加わる意向はない。条約の法的拘束力が及ぶ批准国を増やし、今後いかに実効性を高められるかが問われる」(朝日23日朝刊)

◇批准国一覧。唯一の戦争被爆国日本の旗が見えないのが悔しく悲しい。

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◇◇◇この日のNHKニュースウォッチ9では、これを取り上げて森瀧春子さん(核兵器廃絶を目指すヒロシマの会共同代表)のインタビューを放送。これがとても良かったです。89歳のサーロー節子さん、そして81歳の森瀧春子さん、お二人とも新しい若い世代に希望を託しておられます。

核兵器保有国や日本が参加していないことで実効性がないのでは?という問いには、はっきりと今までの実績からそんなことはないという森瀧さんの言葉が力強い!

🔲広島、原爆ドーム前。”核兵器のない未来”を訴えたキャンドルメッセージが浮かぶ。

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◆森瀧春子さんのインタビューの前に、ICANの誕生から核禁条約が国連で採択され批准されるに至るまでの紹介がありました。

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2007年に発足した核兵器廃絶国際キャンペーン International Campaign to Abolish Nuclear Weapons、略: ICAN)、2017年にはノーベル平和賞を受賞、12月10日の授賞式では事務局長のベアトリス・フィンさんと広島出身の被ばく者でもあるサーロー節子さんが演説。(節子さんは裾模様の黒留め袖をリメイクした素敵なドレス姿でした)

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一方核軍縮に向け日本は不参加。発効を迎えた日の参院本会議での菅首相の言葉ですが、「国際社会をリードする使命」という言葉がむなしく響く: 

唯一の戦争被爆国として国際社会をリードする使命がある。

核兵器保有している国を巻き込んで核軍縮を進めていくことが不可欠だが、(条約は)核兵器保有国のみならず多くの非核兵器国からも支持を得られていない。

緻密に現実的に核軍縮を進めさせる道筋を 追求していくことが適切との我国の立場に照らし締約国会議への関与は慎重に見極める必要があると考えている。

◇ 条約では「発効後1年以内に『締約国による会議を開催する』となっている、この会議への参加を否定する発言に受け取れます。

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◆国連の軍縮担当の中満泉事務次長日本はオブザーバーとして参加を」と発言。「これから条約に対し議論が始まっていく中で、その機会を逃さずにとらえていくことも唯一の戦争被爆国の日本として役割かも知れないと思う

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ICANの事務局長ベアトリス・フィンさんは「核兵器国際法で初めて禁止される歴史的な瞬間。」「条約は規範となり影響力を持つ」と語った。

◆条約が採択されてから世界で新しい動きもある。ベルギーでは連立政権が「今の安全保障体制で新しい条約をどう生かせるか検討する」と合意文書にしているし、スペインでは、先月、議会下院の外交委員会で核兵器禁止条約発効の歓迎などを政府に求める決議案を提出し採択された。

◆広島、長崎でも発効を祝って・・・

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◆13歳の時に広島で被爆したカナダ在住のサーロー節子(89歳)さん

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将来の人たちへのプレゼントだと思う。

命ある限り働くつもりだが、次の世代がこれを引き受けて、

核廃絶までこの運動を盛り立ててください。」

🔲さて、いよいよ森瀧春子さんのインタビューです。森瀧春子さん、81歳、現在がん闘病中だそうです。「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会 共同代表」を務めておられます。有馬キャスターは3年程前にもインタビューをされたそうです。

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有馬「本当に条約が発効となった。まず、今のお気持ちは?」

森瀧「”核兵器廃絶”とずっと言ってきたけど、

一人ずつの人間の善意とか志とか お互いにつながったときに実を結ぶと」

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ここで森瀧春子さんの紹介:

国際的な連帯の立役者>

ICANの創立メンバーに被爆者を引き合わせた。

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ICAN創立メンバーのティルマン・ラフさん「彼女はみずから注目を浴びようとしなかったが、彼女の貢献は本当に大きいモノでした。多様な国の人々をまとめ世界中が繋がり連帯するうえで大きな役割を果たした。」

ヒロシマの責任を背負って>

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森瀧春子さんは広島県被団協初代理事長の森瀧市郎の次女です。

核被害の実態

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「わたくしは広島の子、広島生まれで広島育ち

どうしても私が許せないことだと思うのは、無差別に多くの人を一瞬で、自分が殺される理由も何も考える暇もなく殺されていくこと

そういう人たちは自分たちが怒って物を言いたくても言えない

それを背負って生きていく自分には義務がある

<1998年 インドの核実験>

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「広島を知る人間としてできることはないか」

「子どもの指が欠損したり、6本7本あったり」

「目も片方欠損、病気になり亡くなっていく」

<国際的な被爆者の連帯へ>

核兵器禁止条約

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核禁条約、51カ国参加、ただし、核保有国と日本は参加せず。

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有馬「実効性に疑問は生じないか?」

森瀧「そういうことはないと私は思う」とキッパリ!!

「ただの楽観論ではなく、今までクラスター、地雷、化学兵器など非人道的な兵器の禁止法が出来ている。そこには重要な保有国は入っていない。だけど、禁止条約が出来て後に公然と使った国はない

アメリカやロシアは加わっていないが、実際の使用は控えられている全く世論を無視して、そういうことを強行するということが国として存立基盤を失うことに信用含め、なるんじゃないでしょうか

(◇この言葉は、ICANの事務局長フィンさんの言葉「条約は今後規範となり影響力を持つ」に呼応します)

◆ 画面、録画から中継に切り替わって、広島の森瀧さん。

次の世代に託す希望

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森瀧「すべての核のない未来を築く。その為に核兵器禁止条約は私たちの最大の手段として今後生かしていく。それを願ってくださる若い人たちの命の輝きではないかと思う。」
有馬「唯一の戦争被爆国に生きる私たちにとっても非常に重い言葉だと感じました。」

「森瀧春子さんは、自分の頭で考え、社会の為に行動できる、そんな若者たちが今沢山出てきているじゃないですかと。そしてICANのように、これまでとは違う新しいやり方で世界を変えてくれるのではと希望を語ってくれました。」

                             終わり