「東京電力は何故こんなに黒字なのか?(2)」そもそも総研

 

玉川キャスター:次!ここは、私はそもそもの疑問だったんですが、震災前のレベルの黒字に何故なってるんだ、と。
原発は停止しているのになぜ大幅黒字になっているのか、経産省官僚の古賀茂明氏に聞いてみました。

玉川:今、東京電力原発が動いていませんが、経常黒字です。それも震災前くらいのレベルの経常黒字です。何で、こういうことになったんですか?


古賀茂明氏:電力会社は元々「総括原価方式」というので守られていて、かかった料金は全部、利益もその上に乗っけて、料金にできるという仕組みで、コストを削ろうという意識が全くなかった。だから、ある意味、ものすごい贅肉を抱え込んでいるわけですね。

 原発が動かなくなった時に、”原発が動かなくなったのでこんなにコストがアップして大赤字になります”という計算をするわけです。実際には、その贅肉の部分が、自分たちの思っているよりはるかに大きくて、そこをコストカットしてみましょうと、一生懸命やって見たら、原発が止まった分のコストを上回る贅肉カットが出来てしまった。気が付いてみたら黒字になっている

玉川原発って動かさなくてもいいのでは?
古賀:と思いますよ。しかも一般の企業は何十年もコストカットを一生懸命やってきている電力会社は、それまで一回もやっていない。その分を一年で全部改善しろ、2年で全部やれと言っても無理な話。まだまだ贅肉がある可能性もある


ナレーション:東電は原発事故の翌年、2012年11月、コスト削減を行うための「調達委員会」を郵政改革を手掛けた宇田左近氏を中心に設置した。この三者機関”が、さらなる大きなコストカットを可能にする”かもしれないと言います。
玉川:もっとコスト削減が大きくなるのであれば、”値上げすら必要なかった”と言う可能性も。
古賀ありますね
玉川:他の電力会社も、”原発を動かさないから赤字”という論理が通用しない可能性があるのでは?
古賀:そうですね。少なくとも東電でやれたことは他の電力会社でも出来るはずなので。

ただ、それを電力会社まかせで「頑張ってくださいね」と言うだけでは、どうしても出来ないので、三者が入ってやらなきゃいけない

ナレーション:他の電力会社もコスト削減により”原発再稼働・料金値上げも不必要になるのでは”と古賀氏は指摘します。
一方、東電の黒字化に関する”福島の被災者たちの怒り”の声については?
玉川:東電が黒字であるということに対して、何となく釈然としない思いを福島の方たちが抱いているんですよね。これについては不当な感覚なんですか?
古賀:東電の経営陣から見れば、現場の社員の中にはかなり頑張っている人たちもたくさんいますから、その人たちに報いてあげたいと思うのは人情でもあるし、合理的な考え方でもある。ところが、一般の国民、特に福島の被災者から見れば、こんな悲惨な目に合っているのに、どうして東電の人たちの給料が又上がるのか、「おかしいでしょ」と取るのも、また、非常に自然な感情ですね。
 では、何でそういう気持ちが出てくるかと言うと、根本は、誰も責任をとっていないからなんですよ。事故を起こしても”お金は払いません”、”損害賠償できません”とか言ってたわけですね。

 払うべきものが払えないというのは、普通は破綻です。普通、破たんしたら、経営陣はもちろん全員クビになってしまうし、株も紙切れになる、銀行の借金も大幅に棒引きされるという事で、みんなが泣くわけですね。みんなが本当に苦しい思いを共有すれば、その後、頑張った分は、それに応じて多少報いがあってもいいという気持ちになれるかも知れないが、そこの前提が何もないまま、”なんか頑張って利益がでたので一寸給料上げさせてもらいます”と言われたら、何なんだという気持ちになってしまう。
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玉川東京電力に質問しました:

質問原発を停止させているためにかかる燃料費などのコストよりも、それ以上に削減できる無駄(贅肉)の方が多かったから黒字化できたという指摘がありますが、どう思われますか?


回答2014年度ンコスト削減額の上積が可能となったのは、柏崎刈羽原発の再稼働時期が新総合特別事業計画で仮定した2014年度前半から遅延していることを踏まえ、当座の費用抑制を目的とした緊急避難的な繰り延べや、全社員一丸となって取り組んだ恒常的なコスト削減を最大限織り込んだことによるものです。

玉川:東電に私もいろいろ聞いてみました。東電は、当初5000億円分ぐらいのコスト削減をしようと思ったら、第三者委員会の力もあって8000億円ぐらいのコスト削減が出来ちゃった。で、因みに原発が止まっていることによる燃料費の増加とかはどれくらいなのか聞いたら6000億円分ぐらい。で、引けば、その差、2000億でしょ。経常利益、2000億円でしょ。東電は、”そうじゃない”と言うんだけど、僕にすれば、あゝ、そういうことか、と思えた。


で、「今日のむすび」ですけど、「東電も株式も銀行も十分に責任を取っているのだろうか? さらには私たちも・・・」
玉川:あの、2011年からずっとこのコーナーでは破たん処理すべきだとやってきた。
 破綻処理すれば、経営者は勿論、全部クビ、それから東電の社員の方々も給料は減らさざるを得ない。でも、株主も責任を取る、紙切れになるから。それから銀行も貸し付けた分を多少飲まなきゃいけない、涙をのんで切らなきゃいけない。みな、責任を負うわけです。ところが、そういうようなことが行われていない。簡単に言えば、社員の方々は給料が減る形で責任を取っているだけなんですよ。
 さらに言えば、私たちも責任を取ってるんだろうか?  今、福島の方々に対する賠償というのは、東電の、貸付ではないと言ってますが、簡単に言えば、貸付ですよ。お金を貸し付けて、それで払っているという事なんだけど、本当は、私たちの税金で賠償すべきだったんじゃないかな〜と私は思うんです。そしたら、未だにその分を、プラスアルファでですよ、国債発行してじゃなくて、プラスアルファで税金払ってたら、”あ〜原発の事故って、それぐらいの事なんだ”と私たちは忘れないだろうし、そういう風に見続ける形を常に意識することが出来たんじゃないでしょうか。どうですか。
赤江:事故処理が続いている中で、何で黒字なんだ、とやっぱ思いますね。
玉川:この後も続けて追及していきたいと思いますので、ぜひ前向きに、賠償の方、お願いいたします。(おわり)