平家物語「入道死去」


昨日は5月最初の土曜日、午後から「古典文学の会」の「平家物語」でした。メープルホール前、植木屋さんの先代Nさんが石川県から運んだという2本のケヤキ(欅)が緑色です。軍隊で一緒だった親友が石川県にいると話しておられました。立派な植込みがあるわけでもない我が家の植木の面倒を見て下さるようになった切っ掛けも母の加賀なまりのお蔭だったようです。厳しい職人の大将でしたが、お茶の時間の母との会話を楽しみにされていました。この根元から枝分かれした立派なケヤキを見ると思い出します。玄関の鏡面に映るケヤキと、ホールの吹き抜けの通路から見えるケヤキのみどり。
 
丁度二週間ほど前の日曜日、先生が見たい人に回してくださいと渡されたNHK大河ドラマの仲代達也の「新・平家物語」のDVDを見終わったので、次の順番のYさんに電話して、わが家で渡すことに。バイクで飛んできてくださったYさんは、唐池公園の近くのお住まい。私より1,2年先輩ですが、年齢は50代で保母さんか幼稚園の先生かな。80代や90代の方たちの若々しい姿に励まされるし、あの会だと一番若い方でいられるので、とのことでした
DVDの仲代清盛、確かに木彫の清盛像にも似ていますし、大きく見開いた目の演技がスゴイとは思いましたが、つい最近の松山ケンイチNHK大河も良かったです。白河上皇後白河天皇崇徳上皇高倉天皇。これほど天皇たちの私生活をリアルに描きながら勃興する武士階級の源氏や平家とのやりとり、清盛の娘たちと天皇が結婚して姻戚関係を結んでいく平家側の思惑とか、京都から福原(神戸)への遷都、紅衛兵みたいなグループの描き方とか、結構一年間楽しめました。それに頼朝の視点、というのもユニークでした。

仲代達矢平清盛)の場合は、3時間のダイジェスト版だったせいもありますが、お姫様方がかなり中心の描かれ方です。ついでに懐かしい豪華な俳優さんたちを書いておきます。物語の最終場面は、寂光院を訪ねる後白河院滝沢修)と安徳天皇の母、建礼門院徳子(佐久間良子)が往時を懐かしむシーンで終わります。
清盛の奥さんの時子(中村珠緒)。信西小沢栄太郎)、祇園女御(新珠美千代)、源義朝木村功)、常磐御膳(若尾文子)、頼朝(高橋幸治)、政子(栗原小巻)、源義経(志垣太郎)、弁慶(佐藤允)、木曽義仲林与一)。「青葉の笛」の平敦盛(最近亡くなられた中村勘九郎)、熊谷次郎直実(岡田英次)。清盛の弟たち、子供たちに山崎務、古谷一行原田大二郎中尾彬勝呂誉山本学高倉天皇(片岡孝雄=現仁左衛門)、崇徳院田村正和)。原作は吉川英治。脚本平岩弓枝。音楽富田勲でした。放送は1972年(昭和47年)。古色蒼然と見えても仕方がありませんね。43年も経っています。
◎さて、最後の部分を原文で:http://www.manabu-oshieru.com/daigakujuken/kobun/heike/06/0705.html



 身に代わり、命に代わらんと忠義を誓った数万の軍隊は、屋敷の内外に居並んでいましたが、目に見えず、人の力ではどうにもならない無常の刹鬼(=死)を戦い食い止めることはできず、死に誘われて、冥途の山、三途の川を渡り、冥途への旅に出てしまいました。おそらくは、日ごろ作っていた悪業だけが、獄卒となり清盛を迎えることでしょう。あわれなことです。


 やるべきことはやらねばならないということで、2月7日、六波羅近くの愛宕寺にて荼毘に付され、骨は、左大臣徳大寺実能の子の円実法眼が首にかけ、摂津の国へ下り、経の島(神戸市兵庫区築島という)に納められました。日本国中に名をあげ、威をふるった人ですが、身はひと時の煙となって都の空へたち上り、骨は世に残りましたが砂浜の真砂にたわむれつつ、空しき土となりました。
(引用元:http://www5b.biglobe.ne.jp/~michimar/heike/3/208.html
(右上は、講義の後、順番に手元に回ってくる先生の本の関連頁の写真)


◎治承五年(1181年)「2月4日、平清盛は悶絶し、ついに、はね狂いながら死にました」「享年、64歳。老衰ということではありませんが、運命がたちまち尽きてしまったので、大法、秘法の効験もなく、神妙仏陀の威光も消え、天部の諸神の擁護もなくなってしまいました。神仏でもそのとおりですので、人の力は言うに及びません」と最後は酷い死に方です。遺言も「”頼朝の首をはねて、墓の前にかけよ”とはなんと罪深いこと」と。
この時、後白河法皇はもっと長生きしたはず、というお話になり、没年は1192年と分ったのですが年齢が解らず、先生も、スマホがあるとこういう時便利ね〜と。30人ほどいて、誰も持っていなかったわけです。帰って調べると、66歳で亡くなっています。「イイクニ作ろう鎌倉幕府」まで生きたことになります。清盛より11年長く生きたけど年齢的には2歳だけ長生きです。ところで、先生、「最近はアメリカと仲良くする話ばかりで世界の情勢が全く入って来なくなりましたね。ウクライナはシリアは・・・どうなってるんでしょう」と。「アメリカと仲良くする話ばかり」の処で、生徒たちの間から笑いが起こりました。
さて、『奢れるものは久しからず』…これから先はいよいよ平家滅亡までのお話です。沙羅双樹(夏椿)の花も間もなく咲きます。
(帰り道、Yさん宅のナニワノイバラとモッコウバラ。赤いツボミは我が家の玄関先のカクテル)