「危機が身近に、祖国が遠くに・・・」中村哲氏

今年は6月を待たないでジューンベリーの実が色づき始め、黒くなったものから捥(も)いで口に入れています。小さな先のとがった種がありますが、甘酸っぱくておいしい! 写真下の右端が食べごろです。
◎さて、いつも貴重な情報を頂く「shuueiのメモ」さんの25日は、ペシャワール会中村哲氏の言葉「アフガニスタンは日本にとって再び遠い国になった」でした。アフガニスタンの地から見るアメリカや日本。集団的自衛権行使を今の憲法下でやってしまおうという政府や、それでいいのだと賛成している方々には、ぜひ一度耳を傾けて聞いたいただきたい言葉です。
既に集団的自衛権を行使して国外に軍隊を送り込んだ結果がどうなったか? 歴史に学び、他国の例に学び、現地で働く日本人の言葉に学びたいものです。では、まず中村哲氏について、記事の中から:

なかむら・てつ●1946年、福岡県生まれ。九州大学医学部卒業。国内の病院勤務を経て、84年にパキスタン北西のペシャワールに赴任し、ハンセン病治療を始める。その後、アフガニスタン国内へ活動を広げ、干ばつの厳しい同国で、飲料水・灌漑用井戸事業や大がかりな水利事業に携わる。『医者、用水路を拓く』(石風社)ほか著書多数。『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』(NHK出版)で第1回城山三郎賞を受賞。

◆それでは、写真と記事をコピーです:

アフガニスタンは日本にとって再び遠い国になった。
 だが報道がないからと言って、問題が解決した訳ではない。NATO北大西洋条約機構)が指揮するアメリカ軍が中心となったISAF(国際治安支援部隊)が年内に戦闘任務を完了して、治安権限移譲が終わるという要するに敗北である。治安は一向に改善の兆しがない。欧米軍が進駐した十三年前より著しく悪化している。一世を風靡した「アフガン復興支援」の掛け声も、莫大な援助額と共に、貧富の差を絶望的に広げたあげく、どこかに消えてしまった。アフガンを皮切りに、集団的自衛権を名目とする不毛な戦で、世界中が振り回されたことは、想起されるべきだ。



 政治や戦争の話題の陰で、恐るべき事態が進んでいる農村に一歩足を入れると、光景は一変する。かつて100%に迫る食料自給率を誇った農村は、見る影もない。農地の乾燥化が進み、飢えた農民たちが職を求めて都市にさまようが、まともな仕事にはありつけない。平和であろうはずがない。


 干ばつは依然として進行中である。食料自給率は既に半減し、最悪の食料危機国に指定された(2010年・世界食糧計画)。現在、国民の三分の一に相当する760万人が飢餓線上にあると伝えられる。


 国民の病気の背景に栄養失調があり、特に子供の死亡率は最悪である。食料を生み出す農業が壊滅的な打撃を受けているからだ近年の温暖化の影響で農業用水が著しく欠乏し、農村の荒廃をひき起こしている医療団体たる我々が水利灌漑事業に力を入れ、「緑の大地計画」を打ち出したのは、このような事情による穀倉地帯の復活を夢見て、用水路を建設し、取水堰を改修し、60数万農民が暮らせる1万6500ヘクタールの農地の安定灌漑を実現しようとしている


 だが、日本から届く報道は、情けないものだ。人の命に関る重大事も、取ってつけた様な政治議論で薄れてしまう。特に、集団的自衛権に絡む「駆け付け警護」には唖然とした二流西部劇に似ている。現地がまるで野蛮人の巣窟で、文明国の部隊が護ってやらねばならぬような驕りである。これは主権侵害というものであって、我々の事業と安全を守るのは現地の住民と行政だ。そこには我々と同じく、血もあり文化もある人々が暮らしていることが眼中になかった。日本はこれまで、アフガニスタン国内では民生支援に専念してきた。そのことが日本への信頼であり、我々の安全保障であった。それが覆されようとしている


 戦争の実態を知らぬ指導者たちが勇ましく吠え、心ない者が排外的な憎悪を煽る。「経済成長」が信仰にまで高められ、そのためなら何でもする。武器を売り、原発を復活し、いつでも戦ができるよう準備するのだというそれが愛国的で積極的な平和だとすれば、これを羊頭狗肉というアフガンへの軍事介入そのものが、欧米諸国による集団的自衛権の行使そのものであり、その惨憺たる結末を我々は見てきた危機が身近に、祖国が遠くになってきた。実のない世界である


2014年12月、アフガニスタンより

◎引用元:http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20150525/1432496447
◎「 星の金貨プロジェクト」さんの27日は「 戦後続いた軍事力行使の制限、その解除に踏み出した安倍内閣 」というタイトルでワシントンポスト(14日)の記事を載せておられます。

日本の侵略行為や非人道的行為に関する反省が希薄であり、歴史を書き換える姿勢を鮮明にする安倍首相が、日本を再び軍国主義路線に向かわせる
安倍自民党が来年の参議院選で勝利すれば、いよいよ憲法を改変するための手続きが具体化する

アンナ・ファイフィールド / ワシントンポスト 5月14日

〇全文はコチラで:http://kobajun.chips.jp/?p=23418
◎「晴耕雨読」さんの27日(http://sun.ap.teacup.com/souun/17467.html)は、藤原直也氏のツィート(https://twitter.com/naoyafujiwara)で始まっています。:

‏@naoyafujiwara 藤原直也
5月26日

いいですか。ポツダム宣言受諾を認めない歴史修正主義者の首相が、政府の総合判断で地球上どこでも武力行使すると明言している
これは第二次大戦の続きをやろうという意味であり、諸外国が黙って見過ごすことはできないのです。


東京新聞27日<首相「総合的に判断」強調 武力行使 政府の裁量http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015052790070325.html