6月27日(土)今日はいよいよグラナダから行く白い村・アルプハラ地方の英語付きガイドツアーの日です。夫がビレネーに行かないのならと山行きの出来るツアーを探して申し込んでいました。グラナダの町から50キロ離れた1400mの高地、100mで0.6℃気温が下がるというので、寒さ対策に、上に羽織るものを準備したり着こんだりしましたが、必要なかった程でした。バスは9時出発、ホテルに8時半にお迎えが来るというので、待っていましたが、15分ほど遅れて、アントニオ青年が迎えに来ました。車が置いてあるところまで歩く途中でもう一人の日本人男性と一緒になりました。車の中にはアメリカ人夫婦とスペイン語を話す女性が一人、8人でのツアーです。
アントニオ君がスペイン語と英語でガイドをします。少しスペイン訛りの英語で慣れるまで解りにくい、もちろん私の英語の聞き取り能力にも問題がありますが。その説明によりますと、キリスト教徒に敗れたイスラムの残党が隠れ住んだ落人の村がこれから訪ねる白い村の起源だそうです。
タブラッテ橋(Puente de Tablate)
1時間近く走って、最初に止まったのがこの古代橋。
ここはイスラム教徒とキリスト教徒が
最後に闘った戦闘の場、
イスラムの戦士が刀を振りかざして
谷を跳び越えたとのこと。
義経の八艘跳びか鵯越えのような伝説があるのですね。
道路から谷に降りて古代橋の上に立つと深い谷です。
ミニグランドキャニオンみたいです。
よくこんなところに立派な橋をかけたものです。
ここは、わたしたちの車が走ってきた橋と古代橋と、
その上にもう一つの新しい橋と、三つの橋が架かる場所です。
走る車の中から風車が見えてきます。
どの風車も動いていないようです。
一人旅の日本人男性、お仕事は社会システムのエンジニアだとか。
上海に仕事で2,3年いた間に中国語をマスター。
退職後は、スペイン語を知っていれば世界をまわれると
趣味でスペイン語習得のための一人旅とか。
羽田からパリ経由、バルセロナから国内機でグラナダへ。
パンパネイラ(Pampaneira)
出発から一時間以上たって最初のトイレ休憩でレストランに入った村。
崖の上のレストランの窓から山々が見え、周りは果樹に囲まれている。ビワ、イチジク、栗、リンゴなど。
一人旅の日本人男性、Fさんが、「誰かに似てると思ったんだけど、サッカーの日本代表の…」「あぁ、岡田武史監督」
「そう、似てると思わない?」[似てる、似てる」。
二人で勝手に押しつけニックネームで「岡ちゃん」と呼ぶことに。
旅行中、日本人に会いましたか?と尋ねると面白い答えが。
誰でも行く有名観光地には中国人が多く、一寸名の知れた観光地には韓国人が多く、誰も余り行かないところへ行くと日本人に会う、のだそうです。
その岡ちゃんが道路の向こうで何やら熱心に。「これ、アーモンドの木ですよ」と岡ちゃんが。アーモンドの実を初めて見ました。
11時過ぎに着いた白い村、これがパンパネイラかも。あるいは水の美味しいランハロン(Lanjaron)の村かも。
ランハロンは鉱泉とミネラルウオーターで有名。ところが、世界第二位の美味しさで、世界一美味しい水は日本の水だという解説でした。
写真の白いアーチの処は湧き水が流れ落ちている泉。
こんな高い山の中で暮らしていけるのはこの水のお蔭。
冬の間の手仕事なのか、土産物屋の前には大小さまざまな色どり鮮やかなマット類が掛かっている。
ここから見えるシェラネバダの最高峰には白いものが見える。
残雪だという。写真に写っていないのが残念。
白い壁が両側から迫って、その間の道は石畳。
真ん中が一段低くなって、きれいな水が流れている。
アジサイが美しく咲いている処で、アントニオ君が、
「イスラムの人たちも花が好きだけど、パティオの中で自分たちだけで楽しんでいる。
アンダルシアンは違うんだ、”キレイだろ、さぁ、みんな見て”とオープンなんだ。」
家具屋?さんの前の木のテーブル、
オリーブの木の輪切りだそうです。
一同、すごい! 何年もののオリーブだろうと。
途中から自由行動になった私たち、水路に水が走っていないのがあって不思議、区別はどうして?なんて話していましたが、上にある施設を見て納得。
一本の水源の水をマスのような受け器にとって、そこで仕切り板を挟んで止めています。日本の田んぼの水の引き込み口と同じです。
この時点で12時。
やはりスペインでは昼食は2時というのは本当のようです。
次は、赤い滝
車を降りて左側に小さな小屋のような建物が、
この奥が細い道になって川に降りると、辺りは真っ赤。
水が含む大量の鉄分のため、
水しぶきがかかる辺り一面赤茶色になっています。
道路を横切って反対側に渡ると、
木陰の下で出店が出ていて
干しイチジクやゴマの砂糖菓子を売っていました。
広場を突っ切って、64段の石の階段を降りると
赤い滝の前に出ます。大きな滑り台のような滝ですが、
川から落ちる水は水色をしています。
1時。これから次の目的地「生ハムの村」へ行く途中でのこと。急に車が止まって、こんな山の中で渋滞?かと思ったら、花電車ならぬ花馬車でもなくて、花自動車です。そして馬に乗った人たちも。ロマ(ジプシー)の人たちの結婚式か、お祭り?のようです。
そして、いよいよハモン・セラーノ(生ハム)の産地トレベレス(Treveiez)
ここはイベリア半島で人々が暮らす標高が最も高い1476mの村だそうです。
一軒のお店の前で車が止まり、生ハムを作っている倉庫の見学です。
説明をしてくれるお店の人のスペイン語をアントニオ君が英語に訳します。
ここで岡ちゃん、大活躍。
岡ちゃんのスペイン語は十分通訳の仕事をこなします。
足の爪が黒い豚の足が吊り下げてありましたが、「これは黒く塗ったわけではありません」と。
黒豚の生ハムが最高級品で最高のお値段だとか。塗って誤魔化す人がいるのかな・・・
生ハムを作るのに自然のままで一定の温度を保つ気候が最適、今の倉庫内も19℃とか。
隣接する部屋で椅子に腰かけて製造工程のビデオを見ましたが、座っている椅子がヒンヤリ冷たく感じるほどです。
今度は店の奥の試食コーナーに回って、試食が済んだらお買い物。夫はサラミソーセージを探していましたが、私は可愛い器が目に入りました。売り物なのかわからないので1セットを手に、お店にいる人に、「買えますか?」とジェスチャー。レジの方を指されたので、ビクビクしながら待っていると、なんと2ユーロ! 日本に帰ってから、夫はサラミとオリーブの実をスライスしてオリーブ油で和えるワインのおつまみを自分で作って私も一緒につついています。脂身がジューシーでとても美味しいサラミソーセージです。
さて、時間もちょうど2時。標高1500m地点に到着。
ホテルのランチです。案内されたホテルの入ったところがレストランのようになっていて大きなテーブルに8人で座ります。
前菜のパスタからサラダ、ガスパッチョ(冷たいスープ)それにメインが2種類の大きなソーセージ、そして野菜の盛り合わせ。どれも量がたっぷりなので私は控え目を心がけました。食べ過ぎた後が私の場合は大変。おまじないの吉野山の陀羅尼助丸も用心して10粒ほど解らないように呑みました。お料理も終わりそうな頃、アメリカ人の男性と岡ちゃんが話し出して、それに加わって時々質問したりという具合になってきました。
アメリカ人男性は大学の哲学の教授、若くて美人の奥さんは学者で画家だとか。
「私は79歳、もう年寄りでだめだよ」と仰るので、夫たち二人が、「僕たちも、もう72歳ですよ」と言うと、ビックリして、「キミたちはパピーだな」。
”パピー”って子犬のことですよね。確かに白いお髭で足が悪いのか杖をついて歩くこの方は立派なお爺さんに見えましたが、元気な日本人の72歳は、本当に子犬に見えたのでしょうか。
ゆっくりデザートとコーヒーを戴いて、まだ集合時間の4時半には時間があるので外へ。
斜面の道路わきには澄んだ水が流れ、日本でも春の花としてよく知っている花が野草のように咲いていました。忘れな草が雑草のように。
そろそろ時間、と私たち2組の夫婦と教授が道路を下りながら展望台へ。
最後の記念に、可愛い煙突の写真を撮りました。
グラナダの町に着いて、別れる時、アントニオ青年が一人ひとり渡してくれた絵葉書が、
トップの写真の、冬のシエラネバダ山脈の白い村の絵葉書です。