スペイン旅行(バルセロナから日本へ)旅を終わって

7月1日(水)、いよいよ帰国です。
前日の30日になって初めて、ホテルの部屋のテレビを付けました。
BBCのニュース番組は、ギリシャ問題を流し続けていますが、珍しく日本のニュースが。新幹線で火事があり死者2名というニュースです。
妹が帰ると言っていたけど、大丈夫かな。事故は東京から大阪へ向かう新幹線という事だから逆方向、大丈夫かな、とチラッと思っていました。
朝8時半にホテルを出発。タクシーでバルセロナの空港へ向かいます。
空港で、朝食を摂った後、少し時間がありますので、10時30分集合で、最後のお土産探しのため別行動。

布製品のお店があり、テーブルクロスを買いました。両親とのコーヒータイム用にクッキーを探して、チョコレートが好きな父のために柔らかそうなチョコボールを、ついでに蓋にサグラダファミリアの絵が描いてある物も。小銭を全部使っていけばと思ったのですが、少し足らず、最後のサグラダファミリアの缶を戻そうとしたら、レジの女性が「いいよ、いいよ」と言ってくれて、おまけしてもらえました。缶の中には錠剤みたいなラムネ菓子が入っていて、懐かしいとコーヒータイムでもみんなのお気に入り、もう少しになってしまいました。(写真、缶の下、赤いマットはアルハンブラ宮殿売店で買ったパソコンのマウスパッド。模様が宮殿の装飾と関係があるのか?不明)


11時5分発の飛行機に乗って、アムステルダムスキポール空港13時30分到着。
機中、席が隣り合わせになったF氏から、海外はどことどこへ?と質問されて、私の三回の海外旅行の話をすることに。
1963年のロンドン滞在の初旅行と、3年後のリンツチューリヒ・ベルリン・ウィーンの旅はメストさんファンの横須賀のEさんと、そのまた3年後の山口のWさんとの中欧旅行は初めてのトラピックスの団体旅行だったこと。二つの個人旅行は私が胃の障害があって団体旅行が出来ず、我がまま旅行になることを了解してくださったEさんのお蔭ですが、お手本は、F氏と夫との”愉快な?海外出張旅行”であること。”行くんなら、あんな旅行がしたい”というお手本だったんですよ、と話しました。

14時40分発のKLMに乗って、いよいよ大阪の関空に向かいます。到着時間は2日の朝8時55分。少し遅れての到着でした。
このブログで、写真を添えた旅行記を書き出して今日、7月23日になりました。出発したのが6月の21日でしたから、すでに一カ月たってしまいました。帰って来てからでも20日以上です。書き終わるまで頭の中はまだスペインの町を歩いているような気分でしたが、日本の現実は、デモに参加して戦争法案反対を訴えねばならないような状況です。日本のニュースに10日間全く触れなかったスペインで、首都のマドリッドのブラド美術館を訪ね、コルドバのメスキータではレコンキスタをまざまざと示すキリスト教イスラム征服の姿を見て、グラナダのパラドールでは、その後のレコンキスタの形をアルハンブラ宮殿に見ました。最後のバルセロナではガウディのサグラダファミリアとフラメンコに感激しました。

この旅行でスペインとスペイン人が好きになった、グラナダバルセロナはもう一度来てもいい.というのに私も同感です。
旅の途中から、言葉にできない感想を持ったのですが、日本に帰ってから、やっと言葉になってきました。シェラネバダ山脈の白い村を訪ねたことで一層強く感じたことですが、一言でいえば、『国破れて山河あり』ではないかと思います。
『国破れて』というのは支配者の歴史でもありますが、そういう支配の歴史、『栄枯盛衰』とか『奢れるものは久しからず』という国・支配の歴史を超えて、『山河あり』というのは、そこに暮す人々の生活、人々の日々の営みがあるという事を感じました。
スペインの方たちは、今、アラブとヨーロッパの歴史の相克を表すスペインの文化そのものの恩恵を受けつつ暮らしています。それはスペインに限らず、あらゆる国がそうです。どこの国も、国破れて山河は残ったのですから。山河とは、そこで生きていく糧と寄す処(よすが・よりどころ)を与えてくれるものですね。山であり川であり大地であり、雨であり、雪であり、風でもある。治世者の残した遺産でもあり文化でもあり建物でもあり、人が作る村であり町であり。

ところが、今、日本は違います。核災害がもたらす被害が今までの時代とは全く違うことに思いが行きます。福島の一部は失われたのです。それをそのままにして同じ道を歩いている日本。そして社会で生きていく上で大切な基本のルールを勝手に壊してまで自分のやりたいことをやる政治。
失ってしまっては生きていけない大切なものを、今、私たちが守ることが出来るのか。日本人が「国破れて山河あり」とこれからも言い続けることが出来るのか、私たちの世代で「国破れて山河もなし」の日本にしてしまうのか。日本人にとって、今は、本当に大切な時だと、スペインを旅してなお一層強く、そう、思いました。<おわり>
(写真の右側のバッグは最初のマドリッドプラド美術館で買った絹製のバッグ。肩掛けバッグに入らないものを入れて街を歩くのに軽くて重宝しました。左のバッグは、最後のバルセロナで買った少し大きめのバッグ。飛行機内に持って入る2つ目のバッグとして購入。靴下みたいに見えるのは、出発日の前日くらいに100円ショップで買ったペットボトルカバー)