「安保法制の施行と今後の課題」(柳澤協二氏)と「トランプ氏の”日本たたき”は日米同盟の転換点?」

◎柳澤協二氏が、安保法施行後の3月31日、日本記者クラブで講演をされたと知りましたが、どれも動画で紹介されているブログばかりでした。昨日になって、レコードチャイナというのが記事にしていましたので、コピーさせていただきます:

<安保法施行>米艦を守れば日本が敵になり、攻撃を誘発して戦争に巻き込まれる=在日米軍基地も攻撃対象に―元内閣官房副長官
レコードチャイナ 2016年4月1日 10時30分 (2016年4月3日 14時31分 更新)


2016年3月31日、元防衛官僚で内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)を務めた柳澤協二氏が日本記者クラブで「安保法制の施行と今後の課題」と題して講演。安保法制の問題点として(1)米艦を守れば日本が敵になり、攻撃を誘発して戦争に巻き込まれる、(2)在日米軍基地は攻撃対象とされ、逆に危険、(3)自衛隊イラク派遣時に一発も撃たなかったから、犠牲者が出なかったが、矛盾が顕在化する―などを列挙。その上で「国民がどこまでの自衛隊の犠牲を許容できるか不明であり、国民がどんな軍隊を持ちたいのか国民に問うべきである」と提起した。発言要旨は次の通り。


31日、柳澤協二・元内閣官房副長官補が講演。
安保法制の問題点として(1)米艦を守れば日本が敵になり、攻撃を誘発して戦争に巻き込まれる、(2)在日米軍基地は攻撃対象とされ、逆に危険―などを挙げた。(Record China)


政府は、米艦を守れば日米が一体化して抑止力が高まり、戦争に巻き込まれないと説明するが、実際は、米艦を守れば日本が敵になり、攻撃を誘発して戦争に巻き込まれる。


「同盟のジレンマ」という言葉がある。同盟国(米国)に勢いがあるときは、同盟国の戦争に巻き込まれ、勢いがない時は見捨てられる。安倍首相は心配して「見捨てないでくれ」と(米国の要求を)のんだが、健全ではない。


「中国海軍の眼前に存在することが抑止」という発想だが、緊張を高めることにつながる。米中戦争はないという前提だが、どのように担保するのか


米国と組めば中国は攻めてこないとの発想は、「米国優位」を認識したものだが、それなら何故米国軍艦を守らなければならないのか一体化そのものが目的ではないか。…


何を守りたいのかも不明島なら、海上保安庁自衛隊で対応できるが、長大なシーレーンを守るのは不可能だ中国が本気で戦争する場合、優先目標は日本の基地。基地があるから安全とは言えず、逆に攻撃され危険だ。



米国は覇権主義から孤立主義にシフトしている日本が様々なサービスを供与しても見返りはない。中国も米国を殲滅(せんめつ)する意図はない。基地の有無は抑止とは無関係だ。


北朝鮮の威嚇の対象は米国であり、日本を取りにくる理由はない。米軍基地があるからミサイルが飛んでくる


自衛隊イラク派遣時に一発も撃たなかったから、犠牲者が出なかったというのが私の教訓的な実感だ1人でも殺していたら日本側にも犠牲者が出た。安保法施行で、撃つ可能性が現実化することによって、矛盾が顕在化する。


安倍首相は3月の防衛大学校の卒業式で、安保法施行後「これまでと同様に危険はある」と語ったが、訓練と実戦は違う。自衛隊OBは「リスクが高まる」と見ている安倍首相や我々戦争を知らない世代が、自衛官に十分な準備もないまま犠牲を強いていいのか。


安保法では、国民がどこまでの自衛隊の犠牲を許容できるか不明であり、国民がどんな軍隊を持ちたいのか国民に問うべきである。(八牧浩行)

(引用元:http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20160401/Recordchina_20160401022.html
◎動画は「あきつ・あんてな」さんのコチラで:http://d.hatena.ne.jp/amadamu/20160331/1459427731


◎講演の中で柳澤氏が「同盟のジレンマ」として、アメリカに勢いがあるときはアメリカの戦争に巻き込まれるし、勢いがない時は見捨てられる。安倍首相は見捨てられるのを恐れて、米国の要求をのんだ。”米軍を守る”という仮定がそもそも荒唐無稽、一体化そのものが目的ではないかと話しています。

共和党の大統領候補のトランプ氏が、最近、日米同盟はアメリカに負担、米軍撤退、日本は核武装して自力で守れと言い始めています。慌ててオバマ氏が否定していますが、この考え方について、待ってました?とばかり29日、松井大阪府知事が、トランプ氏だけでなくアメリカ国民の中にも疑問を持ってる人がいるんやね、なんて言いながら、<「僕は核保有するのはいや」としながらも、「米国の軍事力がなくなった時に、どうするのか。夢物語で何とかなる、ではすまない」>と国会で核武装も含めて議論すべきとか、大阪府庁で仰っています。

日米安保条約は、日本を守るためではなくて、アメリカの戦争の為に日本の基地をアメリカ軍が保持しつづけ自由に使用するための条約だと言われます。事実、朝鮮戦争ベトナム戦争アフガニスタン戦争と、そのように使われてきました。多額の思いやり予算を米軍基地維持のため貢ぎ続けて、沖縄をはじめ日本には治外法権の米軍基地や、日本の飛行機の基地上空飛行は制限されています。トランプ氏はそういうことを知らないで、モノを言ってる、まともなアメリカなら、こんな無茶は言わないと、思いがちですが、そうだろうか・・・・
産経新聞(4/2)の記事、古森義久ワシントン在住特派員記者が、現地ワシントンから面白い観方を書いています。

【緯度経度】日米同盟の転換点になるか “暴言王”トランプ氏の「日本たたき」
古森義久  産経新聞(4月2日)


安倍晋三首相のワシントン来訪の時期に、米大統領選の共和党候補指名争いで首位を走るドナルド・トランプ氏の日本批判が論議を招いたのは単なる偶然ではなさそうだ。日米安全保障関係は日本に一方的に有利で米国には不公正だとする年来の意識が一般の米国民レベルで最近、じわりと広がった気配があるからだ。



 トランプ氏の批判を言葉どおりにみてみよう。

 「米国が攻撃されても日本はその防衛のために何もする必要がない。だが、日本が攻撃されれば米国は全力をあげてその防衛にあたる。これはきわめて一方的な取り決めだ

 「米国は基本的に日本を保護している。北朝鮮が危険な行動に出るたびに、日本は米国になんとかしてくれと頼んでくる。だがもうそんな支援はできなくなる。米国は世界の警察官ではない。資金もない


 この指摘は米国民一般からすればそう理不尽ではないだろう。だがトランプ氏は在日米軍撤退や日本の核武装奨励という過激な主張をも粗雑な表現で打ち上げるため、オバマ政権も含めて民主、共和両党の主流派から非難を浴びる


 その主流派の共和党側の政策通2人がトランプ氏に反対する論文を雑誌「ナショナル・レビュー」最新号に発表したワシントンの有力研究機関ハドソン研究所の副所長でブッシュ前政権の副大統領首席補佐官や国防次官補を歴任したルイス・リビー氏と、同研究所上級研究員で日米近代史を専門とする学者のアーサー・ハーマン氏である


 論文は「日本を放棄するな」と題し、まずトランプ氏の主張に反論する。

 「トランプ氏は日本が米国にとって経済的、軍事的な流出だと主張する。中国を非難した後にすぐ日本をたたく。そんな過激な言辞は時代遅れかつ見当違いだ」

 そして、米国にとっての日本の安保面での重要性などを以下のように述べていた。


 「米国の将来にとって決定的に重要なアジアでの最強の同盟国は日本だ。とくに安倍首相は国内政治的にリスクのある政策までとってアジアでの日米両国の地歩を強めてきた」



 「安倍政権はアジアでの米国の立場までも危うくするような紛争の抑止目的をも含めて防衛予算を増し憲法の解釈を変えてまで有事に米国の艦艇や部隊を守れるような措置をとった


 「中国の膨張主義の脅威への対処の基盤も日本なのだ。北朝鮮の軍事行動への対処も日本の役割が欠かせない

 だから日本離反策などとんでもない、というわけである。そして、論文は以下のように総括していた。

 「日本が米国の最も堅固な軍事的、戦略的な同盟相手となることを期待する


 ここまで読むと、ふと気づかされる。総括は日本への年来よりずっと大きく強い安保上の貢献の期待なのだ。日米同盟はより双務的に、という意味でもあるとなるとトランプ氏の主張と重なってくる。日本はもっと防衛努力を、という要望を否定的な言辞でぶつけるか肯定的に表現するかの違いだけにもみえてくる


 一方、国益は永遠でも同盟は永遠ではないトランプ氏の暴言めいた言葉がもしかすると日米同盟の転換点となるのでは、という複雑な思いも禁じえない。(ワシントン駐在客員特派員)

◎トランプ氏に反論する二人が、「安倍政権が日本の国益(税金の大盤ふるまいと憲法違反)を犠牲にしてまで、アメリカの利益の為に頑張ってくれているのに」というところが日本人からすると、複雑な思いですね。「何で、そんなに、アメリカが大事なんやろう、どっち向いて政治やってんの?」ですが、これが、日米安保ムラという利益共同体の住人だという証拠ですね。アメリカの為=日本の為」、この二つに矛盾はないとする人たち。内田樹氏の言う買弁。植民地の宗主国の利益のために働く人たちです。
◎さて、産経の古森特派員が心配しているのは日米同盟の行方かもしれませんが、私たち日本人は、国益(生活と命)第一に、現憲法のもとでの日米関係や近隣諸国や世界との外交、防衛問題を、国会議員に任せるだけでなくて、国民レベルでも考えないといけない時期なんだと思います。これ以上の負担をアメリカから一方的に要求されるくらいなら、アメリカの利益イコール日本の利益と考えている人たちとは別の道、真の自立した日本をこの機会に取り戻し、憲法違反の法律を破棄し、憲法をもう一度私たちのモノとする(立憲主義と平和主義にもどす)チャンスになるかもしれませんね。アメリカからはしっぺ返しが来るでしょうが、それも安保体制が永遠に続くことを考えれば、受けて立つ覚悟で新しい日本の道を選びたいですね。私たち次第です。そのためにも、4月の京都と北海道の補欠選挙と、夏?の総選挙、頑張らねば・・・です。