福島原発告訴団4月29日の武藤類子団長コメント


福島原発告訴団のサイトから、4月28日の、東京第一検察審査会による不起訴相当議決発表を受けて、翌日発表された武藤類子団長と弁護団のコメントです。

2016年4月29日金曜日


不起訴相当議決を受けて
団長 武藤類子


福島原発告訴団が2015年1月13日に告訴した事件について、東京第一検察審査会は、被疑者5人全員に不起訴相当の議決を出しました。先の東電幹部が強制起訴された事件とともに、国の刑事責任にも迫る重要な事件だっただけにとても残念です。


私たちは、二度と同じ悲劇を繰り返させないために、福島原発事故の真実を解明し、責任を問うことを続けてきました免振棟建設を反故にし、熊本地震の中、避難経路が寸断されても止められない川内原発運転40年を過ぎ、延長期限までに対策が間に合わなくても認可される高浜原発このような信じがたい出来事が起こるのは、福島原発事故の責任がきちんと問われていないことも一因だと思います。


これから東電幹部らの刑事裁判も開かれます。また汚染水告発事件では、福島検察審査会へ申し立てを行いました。これらの支援と働きかけをしっかりと行っていく考えです。今後ともみなさまのご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。


◎「不起訴相当議決を受けて 弁護団コメント」 (http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2016/04/blog-post_29.html
コメントの中から一部ですが取り出してみます:


被疑者酒井及び同高尾が,同年6月2日,それまでの検討状況を,吉田原子力設備管理部長に報告したところ,「私では判断できないから,武藤さんにあげよう」旨の発言があり,武藤栄原子力・立地本部副本部長に報告することになった。


6月10日の会議において,被疑者酒井及び同高尾から,武藤副本部長に対して,土木調査グループとしては,耐震パックチェックにおいて,推本の長期評価を取り上げるべき理由や,対策工事に関するこれまでの検討結果等を報告したが,その場では結論は示されず,次回までの検討課題が示された。


7月31日の会議において,被疑者酒井及び同高尾から,武藤副本部長に対して説明したが,その際に,防波堤等の建設費が数百億円規模になること,沖合の防波堤の設置に伴って許認可等が必要となることから,設置工事の意思決定から工事完了までに約4年を要し,環境影響評価が必要な場合にはさらに約3年を要することなどを報告している。


こ の会議では,最終的に,武藤副本部長から,「福島県沖海溝沿いでどのような波源を考慮すべきかについて少し時間をかけて土木学会に検討してもらう」「当面 の耐震バックチェックについては,従来の土木学会の津波評価技術に基づいて行う」「これらの方針について専門家に相談する」という方針が示された。被疑者 酒井及び同高尾は,土木学会の検討結果が出た段階で,それに基づく対策を講じるとの方針であることから,その方針を受け入れた。

◎「土木調査グループ」や「土木学会」が出てきて、どうも、土木学会への責任転嫁のように受け取れますが、そのことについて「土木学会はそんなに偉い? 検察審査会の誤り」という寄稿も掲載されています。


2016年4月29日金曜日


不起訴相当議決を受けて 添田孝史さんから寄稿



原発と大津波 警告を葬った人々』の著者、サイエンスライター添田孝史さんから、検察審査会不起訴相当議決に対する見解が届きました。


土木学会はそんなに偉い? 検察審査会の誤り


 東京電力福島第一原発の事故で、業務上過失致死傷の疑いで告訴・告発されていた東電の社員や、旧原子力安全・保安院の幹部ら計5人を不起訴とした東京地検の処分について、東京第一検察審査会は不起訴の判断に誤りはないと判断した。
 4月28日に検審が公表した「議決の要旨」は、東電社員に浸水の予見可能性があったことは明確に認めている。政府の地震調査研究推進本部地震本部)が予測した大津波によって、事故が引き起こされることを2008年には予見できたとした。一方、その結果をもとに土木学会に津波の再検討を依頼して2011年には間に合わなかったことを「誤った判断であるとは考えられない」とし、結果回避義務違反は無いので過失は問えないとしている。
 この検審の判断は土木学会の実態をよく見ないまま、東電や政府のこれまでの言い訳を鵜呑みにした間違ったものに思われる。

<後略>(http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2016/04/blog-post_72.html