金曜デモ・官邸前と国会前そしてSEALDsの映画『わたしの自由について』

昨日の6日は、5月に入って最初の金曜日、官邸前金曜デモの日。恒例、「特別な1日」さんのルポのご紹介です。今回のタイトルは、「『大統領選と世論調査』と映画『わたしの自由について〜SEALDs 2015〜』、それに『0506 再稼働反対!首相官邸前抗議』&『安倍政権の退陣を求める国会前抗議行動』」です。

アメリカの大統領選、共和党はあのトランプ氏が残ってしまいました。ここ数日、新聞では、日韓両国にアメリカ米軍の駐留費を全額負担させるという発言が取り上げられています。SPYBOYさんは、受ければ何でも言いたい放題のトランプ氏をまともに受け取ってはダメと。あの過激発言が受ける土壌がアメリカにあるということですね。それは民主党共和党を問わず、1:99の格差社会であり、世界の警察を務めるほど国力がないアメリカという現実ですね。

日本はアメリカほどの格差社会ではありませんが、ウォ―ル街と大企業、という怒りを表現すべき相手が明確になっているだけ、アメリカの方がマシな面もあるのかもしれません。日本にはアメリカの金融業やグローバル企業のように力を奮っている企業は殆どないし(可能性があるとして、せいぜいトヨタくらいですか。電力会社や新聞社などの規制で守られた独占企業はむしろ役人の手先です)、問題なのは官僚機構や政治家の方かもしれません。


物事を黒か白かで分けるなんて愚かなことですけど、日本ではまず、はっきりした価値判断の対立軸を立てることから始めなければいけない、と思います。絶対譲れない対立軸って何でしょう?『平和』じゃ対立軸になりません。安倍晋三だって安保法制は平和のためだといいますからね。太平洋戦争だって為政者は『平和』を旗印にして始めた筈です。『格差』?もう一歩進めて『機会の平等』、特に若者にとっての機会の平等(チャンスを)!、なんかは良さそうな気がします。北海道4区の池田候補の『普通の人から豊かになろう』も実に良かった。埋もれさせてしまうには勿体ない。とにかく、さっさと相続税100%にしろって(笑)。

◎タイトルの「世論調査」で書かれているのは、改憲に反対が増えたという世論調査の結果だけれど、選挙の場合は、憲法や安保法が政権を選ぶ時のポイントにはならない。有権者の関心の高い順に項目を並べると(表あり):

『重視する政策』も『最も重視する政策』も1位から3位は『景気・雇用』、『社会保障・福祉』、『教育・子育て』が占めています。特に『景気・雇用』や『社会保障・福祉』と比べれば、憲法も安全保障も原発有権者の関心は遥かに低いものになっています。(中略)
憲法や安保法案に関心を高めることは必要ですけど、それ以前に有権者の関心が1位、2位の政策が明確でなければ選挙にならないと思います。


◎続いて、5月3日の憲法記念日に見たという学生団体シールズ(SEALDs)の1年を描いたドキュメンタリー映画と見終わった後の監督と奥田君たちシールズメンバーとのトークについてです。シールズが出来てちょうど1年。この1年のシールズを振り返ることは、この1年の政治状況の変化を振り返ることにも。金曜デモを通して身近に彼らの運動の成長を兄貴分として優しく見守り行動を共にもなさって来たブログ主のSPYBOYさんのこの映画を語る記事が素晴らしいです。
<左の写真のキャプション:●左から監督、芝田さん、UCD君、奥田君。有明憲法集会に参加したあとにやってきた奥田君は場所を間違えて遅れてきました(笑)。

この映画は5月14日から全国で上映が始まるそうです。劇場だけでなく各地で自主上映も行われます。内容は3時間、全く退屈しなかったトークショーで彼らは『長すぎる』と監督に文句を言ってました)。2015年に日本でどんなことが起きたのかを記録するドキュメンタリーでもあるし、気恥ずかしくも爽やかな青春映画(笑)でもあります。とてもとても面白かったです。

◎「と、いうことで、今週も官邸前へ」出かけたSPYBOYさん、あいにくの雨で参加人数は一寸少なめの600人とか。先週と同じく、そのあと、「国会前高校生たちの『安倍退陣を求める国会前抗議』T-nsSOWL #国会前(@teensSOWL)さん | Twitterへ回りました。今日はこちらの方も人数が少なかったので(300〜500人くらい?)、余計に大声を出してしまいました。」とのこと。

                                       
憲法記念日に出た神奈川新聞が話題になっています。なんと新聞がプラカードまで出しているんです。」

プラカードの左側『委縮しないはまさにそういうことだと思います。安倍政権だけが特別じゃない。そもそも大なり小なり政府は圧力をかけてくるものです。今の状況は委縮するマスコミとそれを鵜呑みにする市民の側が作ってしまっている面が大きい。委縮するっていうのは自分の考えがないからです。だったら一人一人が政府や役人、それにマスコミより賢くなっていくしかありません。神奈川新聞エライッ、と思ったので、今日はボクもこのプラカードを持っていきました。

★詳しくはブログを訪ねて全文を「特別な1日」さんのコチラで(http://d.hatena.ne.jp/SPYBOY/20160506/1462541702
◎さてブログの記事の中で映画のポスターが紹介されていました。
その映画のサイトから(http://www.about-my-liberty.com/):


終わったなら、はじめるぞ
Things ended, so I begin.


2015年夏、路上で声を上げ続け国会前を
群衆で埋め尽くした学生団体「SEALDs」。
彼らの激動の夏に密着したドキュメンタリー。


2015年。第二次世界大戦以後、70年間、平和国家として歩んできた日本の安全保障が、大きく変わろうとしていた。


安倍晋三首相率いる自民党は、これまでの憲法解釈を180度転換し、集団的自衛権の行使容認を含む新たな安全保障関連法案を国会に提出した。
日本国憲法第9条で定められた、戦争放棄に反するこの政府の動きに、世界一政治に無関心といわれた日本国民、特に若い世代が大きな危機感を持った。


東京を中心に立ち上がった、学生団体「SEALDs」(シールズ : Students Emergency Action for Liberal Democracy-s / 自由と民主主義のための学生緊急行動)は、2015年6月から毎週金曜日に国会議事堂前で安保関連法案に対する抗議活動を開始した。
その動きはメディアやSNSを通して幅広い共感を呼び、世代や信条を越え、「デモ」は瞬く間に日本全土に広がった。



この映画は、数名の若者たちが手探りではじめた社会運動の、半年間の記録である。


君たちの世界なんだ君たちの国なんだ君たちが問われてるんだ
This is your world, your country, it's up to you.



西原孝至
Takashi Nishihara
1983 年、富山県生まれ。早稲田大学で映像制作を学ぶ。2011 年の初長編作『青の光線』は、大阪アジアン映画祭に正式招待。14 年に劇場公開。次作『Starting Over』(2014)は東京国際映画祭<日本映画スプラッシュ部門>をはじめ、国内外10箇所以上の映画祭に正式招待され高い評価を得る。現在、主にTV ドキュメンタリー番組のディレクターとして活動中。


REVIEW

坂本龍一

(音楽家)
Ryuichi
Sakamoto
SEALDsや高校生たちの活動を見ていると、とてもしなやかで、オシャレで普通で、楽しくなって思わず笑みがこぼれてしまう。しかし40年以上前に硬いデモをやっていたぼくらより、ある意味真剣だ。なぜならファシズムは、はるかに現実性を帯びて来、それは彼らにとって目前の未来なのだから


平田オリザ

(劇作家・演出家)
Oriza
Hirata
怒りと、怒りが伝わらない苛立ちと、苛立ちを隠そうとする恥じらいと、恥じらいをも振り払おうとする勇気と、青春と呼べるもののすべての要素が詰まっている。


篠崎誠
(映画監督)
Makoto
Shinozaki
久しぶりにたくさんの良い顔を見た。スクリーンに写しだされた彼ら彼女たちの顔をずっと見ていたかったし、何よりもその言葉にもっと耳を傾けていたかった。いや、本当は「彼ら」とひと括りにしてはいけないのだ。この映画に出てくるみんな、私と同じようにそれぞれ固有の時間を背負って生きている。利己主義でも個人主義でもなく、もう一度「個」から始めなければいけない。自分の頭で考えて行動しなければならない。孤立することも時には連帯することさえ怖れてはいけない。西原孝至のカメラが素晴らしい。被写体との圧倒的な近さ。しかし、決して密着しすぎず、一体化はしないカメラ・アイ(当たり前だ。完全に密着したらレンズは被写体で覆われ、真っ暗になってしまうのだから)。そのことで初めてとらえられた固有のまなざしと言葉の息遣い。これは同時に、不寛容(イントレランス)の時代に立ち向かう“映画”の闘いの記録でもある

◎神奈川新聞の紙面について、ティーンズソウルのツィート欄から:https://twitter.com/teensSOWL

5月3日は「憲法記念日」だったが、この日の神奈川新聞の紙面が話題となった。それは、最終面が全面広告のようになっている作りで、上段が「萎縮しない」とあり、下段が『「なめんなよ」の精神を』とある。一体この意図は何なのか? 5日に生放送されたAbemaTVの報道番組『Abema Prime』に、神奈川新聞報道部次長・石橋学氏が中継で登場し、解説した。


これは憲法に関する集会などでプラカードとしても使えるものになっているが、企画の発端は、現場の記者から「憲法記念日に力を入れた特集をやりたい」という申し入れがあったこと。

毎年憲法記念日には色々な企画をやっているものの、今年は意味合いが例年とは異なるという。というのも、安倍晋三首相が在任中に憲法改正を公言しており、7月の参議院選挙はかつてないほどに「憲法改正」が争点となると見られているからだ。だからこそ、例年と同じような紙面を作っていいのだろうかという問題意識から、これまでとは違うことをやってみたいという声が現場の記者から上がってきたという。(中略)


今回の2つのメッセージは、同日の同紙に掲載された憲法学者・木村草太氏によるインタビューの「萎縮をしないのが大事」と樋口陽一氏によるインタビューの「『なめんなよ』の精神が大事」から取ったもの。


これを外に向かって言うのも大事ですが、それは僕ら自身にも向けられています。メディアの在り方として言うことを言う。ダメなものはダメ、大切なものは大切と言っていかなくてはいけない。これは僕ら自身の言葉かな、とストンと来たのです」(石橋氏)


また、昨今改憲派が増えているが、「総理が言ってるのだから」といった理由で賛成する人もいるという。そんな状況下、護憲を訴えると「偏っている」と批判をされる空気があるという。石橋氏は「偏ってる偏ってないという問題ではなく、もっと大事な問題がある。それを口をつぐまないで言いたいことを言っていくということが大事。自分らに向けて言っている面もある。偏っていることが当たり前になるようこれから発信していきたいと思います」と宣言した。(「AbemaPrime」は毎週月〜金曜日 20:00〜21:50「AbemaNews」チャンネルにて放送中)