(『まんが・わたしたちの平和憲法』に次いで2つ目です)
想田和弘さんがリツイート
奥田愛基@7月10日参院選挙 @aki21st · 1時間1時間前それか毎日夜9時に #今回ばかりは野党に投票 #3分の2を取らせない とか呟いて、トレンド入れるとか。なんかネットでも現実でもできるムーブメントを作りたい。あと11日しかない。
◎内田樹氏が良くリツィートされている想田和弘氏のツィート欄をいつのころからか「お気に入りに入れて」見るようになりました。ニューヨーク在住という外からの目、映画監督という目、など、視点の確かさに信頼を置いています。今回、マガジン9条のコラムに選挙について書いておられますので、ソックリコピーです。
ツィート欄で、三宅洋平氏の選挙フェスのラップ調で音楽入りのスピーチ?がお勧めでしたので、47分間、動画で見ました。三宅氏がスピーチで話しているように、野党を割るのではなく、増やしたいのだ、すでに野党に票を入れると決めている人の票を取る気はない、自民党に入れるつもりの人たちや選挙に行くつもりのない人に投票してほしい、力を貸してほしい、投票率を上げたいのだ、という訴え通りの結果になることを私も祈っています。(引用元:http://www.magazine9.jp/article/soda/28869/)
『選挙』『精神』などの「観察映画シリーズ」で知られる映画作家、
想田和弘さんによるコラム連載です。
ニューヨーク在住の想田さんが日々「観察」する、
社会のこと、日本のこと、そして映画や芸術のこと…。
月1回の連載でお届けします。
第41回
参院選。反安倍政治の受け皿はできた。あとは投票するだけだ。
「デモクラシーの緩慢な自殺」を食い止めるために。
英国では国民投票が開かれ、EU離脱が決まった。フランスやオーストリアでは極右政党が躍進し、米国ではドナルド・トランプ氏が台頭しつつある。
どの動きも、大半の日本人の目には、自分の首を自分で絞める自殺行為のようにみえるのではないだろうか。こうした物事の本質は、その渦中にいるよりも、遠くからの方が見えやすいからである。
米国で暮らす僕の目からは、第二次安倍政権成立以来の日本で起きていることも、まさにそれらを先取りする流れのようにみえる。「熱狂なきファシズム」ともいうべき「デモクラシーの緩慢な自殺」が、安倍政権下で起きつつあるようにみえる。そして今度の参院選で政権側の勢力を止められないならば、日本のデモクラシーは「死」の方向にもう一歩大きく歩を進めることになるように思う。
しかし今回の参院選は、今までの選挙とは一味違う。そう、僕は本気で期待している。というより、期待するしかない。
なぜなら、度重なる選挙での敗北と、安保法制反対運動に参加した市民たちの声に押されて、野党各党もついに重い腰をあげたからだ。今回の選挙では、32ある一人区のすべてで、野党統一候補を立てることに成功しているのである。「オール沖縄」に触発され、その方式が全国に拡大したのである。
これはかなり画期的なことだ。
なにしろ、いままでは安倍政権に不満や危険性を感じても、「受け皿がない」ことを理由に選挙を棄権したり、当選など決しておぼつかない候補に批判票を入れざるをえない人も多かったはずだ(僕は後者である)。
だが、今回はそうではない。念願の受け皿はなんとか用意された。あとは私たちが投票すればよいのである。というより、投票しなかったらせっかくの受け皿も台無しで、実にもったいない。
具体的な例を示そう。
僕はニューヨークに住んでいるので、今回も在外投票をする。選挙区は本籍地である栃木県。一人区である。2010年の参院選では、次のような結果であった。
324,790(36.2%) 上野通子(自民)公明推薦
319,898(35.6%) 簗瀬進(民主)
224,529(25.0%) 荒木大樹(みんな)
28,617(3.2%) 小池一徳(共産)
それに対して今回の候補者の顔ぶれは、次のようなものである(届け出順)。
上野氏と事実上の一騎打ちになる田野辺氏は、安倍政治に危機感を抱き、NHKの職を投げ打って立候補を決めたという人物。いわば筋金入りの反安倍候補である。旧「みんな」に投票した人たちが、上野氏と田野辺氏のどちらに投票するのかは微妙だが、単純に前回の結果から類推すれば、田野辺氏にも十分勝ち目はあるであろう。いや、なんとか勝ってもらわねばならない。そしてそのためには、民主主義を信じる者は彼に投票しなければならないのである。
みなさんも自分の選挙区について、前回と今回を比較してみたらいかがだろうか。これまでの選挙に比べれば、ずいぶんと「闘い」の条件はよくなっていることを実感すると思う。
なお、首都・東京の選挙区(6人区)では、前回の選挙で17万票以上を集めた三宅洋平氏も立候補し、山本太郎議員が全力で応援している。山本議員いわく、三宅氏なら「牛歩を間違いなく一緒にしてくれる(笑)」そうである。安保法制国会などでの山本議員のユニークな活躍ぶりは記憶に新しいところだが、たしかに彼のような政治家が2倍に増えることを想像するだけでワクワクするではないか! マスメディアからはなぜか無視されている彼だが、聴衆は日に日に膨らんでいる。YouTubeですでに11万Viewを稼いでいる氏の演説は必見である。
最後に一言。
今回は参院選なので、政権選択の選挙ではない。反安倍陣営に政権担当能力があるかどうかに不安を感じる人も多いとは思うが、そのことを重視する必要性は低い。
憲法違反の安保法制。原発再稼働。公約違反のTPP。アンチ民主主義の憲法草案。メディア統制と言論の自由の抑圧。福祉の切り捨て。溶けた年金。
安倍政治にブレーキをかけたい。そう思う主権者は、心置きなく反安倍陣営に投票すればよい。いや、投票しなければならないのである。「デモクラシーの緩慢な自殺」を食い止めるために。