「沖縄 さまよう木霊〜基地反対運動の素顔〜」(MBSドキュメンタリー)


◎沖縄の北部東村高江地区。米軍が占領していた使い物にならない土地の『返還』と引き換えに、米軍が新たに高江を囲む6つのオスプレイ用離着陸帯(ヘリパッド)を建設することに。その反対運動を阻止するために全国の機動隊が集められることに。この機動隊員の一人が反対島民に発した差別発言を擁護する大阪府知事読売テレビの「そこまで言って委員会」では、沖縄出身の弁護士が「反対しているのは本土からやってきた人間ばかり」と発言。私もこの番組でこの弁護士がこういうのを聞きました。周りは何も言えずでしたが、同席していたという中野雅至氏(行政学の先生)へのインタビューがあります。
最後に『大阪府の機動隊員を守るデモ』を組織した市会議員(福岡県行橋市)がインタビューで「沖縄の基地反対のようなあんな活動が外国の軍隊に対して許されているのは日本ぐらいしかない。今まで自由にできていた、どちらかというと左がかった活動は、弾圧ではないですが、『テロ等準備罪』で規制の方向になっていくと思う」と発言。

安倍政権が今国会で重要視している「テロ等準備罪」。
過去3度も廃案になった「共謀罪」が形を変え、市民の権利が制限されかねないと危惧される「テロ等準備罪」法案提出の動きが、いま沖縄を覆っている言説の背後に潜んでいるのではないだろうか…

◎流される悪意ある風説の一つ一つを根気よく確かめて・・・「ニュース女子」のウソを暴く50分ほどの映像です・・・・

MBSドキュメンタリー『映像』· 1月21日 18:49 ·
【最新作の放送予告】
『映像‘17 沖縄 さまよう木霊(こだま)            〜基地反対運動の素顔〜』 

 □放送日:1月29日(日)24時50分−25時50分
 □番組内容:

 2016年夏。沖縄県北部にある東村高江地区での動きが全国ニュースで伝えられました。
米軍の新たなヘリの離着陸帯(ヘリパッド)の建設工事が進む中、それに反対する地元住民など県民たちが連日座り込みを続けていたゲートの前に大量の機動隊員が投入され、住民たちが強制排除されたのです。工事用ダンプの進入を阻止するため、住民たちがとった手段が座り込みでしたが、この日以来機動隊との緊張関係が一気に高まっていきました。


 沖縄の小さなこの村に全国の府県警から機動隊員の派遣が続く中、フェンス越しに抗議していた県民にむけて、一人の大阪府警機動隊員が「ボケ、土人が」と発言沖縄県民を辱めるものとして県内外から大きな批判を浴びましたが、一方で「そもそも住民側の暴言が原因だ」として機動隊側を擁護する声が広まりましたそれに呼応するかのようにヘリパッドに反対して抗議行動をする人々を「沖縄県民はいない」「過激な暴力集団」、はては「テロリスト」呼ばわりする言葉がインターネットを中心に拡散していきました反対派住民が「患者搬送中の救急車を止めた」という架空の話がSNS上で広げられたことが、「無法な暴力的集団」とのイメージづくりに大きな役割を果たし、東京のローカル局はそうした「風説」に沿うかたちでこの1月に番組を放送、メディアがお墨付きを与える情況になっています


 いま沖縄の新基地反対運動に対して投げかけられる、様々なことばレッテル
 沖縄のやんばるの森で展開される運動を覆うこれらの「風説」は、虚と実がないまぜにされ、まるで木霊のように反響し、拡散されていきます。わたしたちは昨秋から沖縄・高江地区に入って住民たちの話を聞きました。「過激派」とレッテルを貼られた人に会い、「反対派住民が救急車を止めた」とSNSに発信した人物を訪ねました。そうして、さまよう「風説」の真偽を確かめて歩きました。そして見えてきたのは…


安倍政権が今国会で重要視している「テロ等準備罪」。

過去3度も廃案になった「共謀罪」が形を変え、市民の権利が制限されかねないと危惧される「テロ等準備罪」法案提出の動きが、いま沖縄を覆っている言説の背後に潜んでいるのではないだろうか…

(引用元:https://www.facebook.com/MBS.eizou/photos/a.505443422811426.105291.504958352859933/1276151185740642/

http://mainichi.jp/articles/20170130/dde/012/040/002000c

◎「毎日新聞2017年1月30日 東京夕刊」の記事は、MBSのドキュメンタリー番組を取材した記者が書いたものだと思われますが、「真実は二の次=ポスト・トゥルース」の日本版である1月2日の東京MXの番組「ニュース女子」が放送した沖縄デマ報道を取り上げて警告です。長い記事ですが、関連しているのでコピーしておきます:(引用元:http://mainichi.jp/articles/20170130/dde/012/040/002000c

特集ワイド
ポスト・トゥルース」の危うさ 「真実」は二の次…日本は無縁と言えるか


 英国が欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票や、トランプ氏が当選した米国大統領選などで「うそ」が政治を動かしたと指摘される。その現象を表したのが、事実かどうかは二の次となる「ポスト・トゥルース(Post Truth)」。日本は無縁なのか。【井田純】


SNSで一気に拡散するデマ 虚偽報道検証するネットメディアも
 「ポスト冷戦」が「冷戦後の状況」を意味するように、「ポスト・トゥルース」は「真実が終わった後」の状態とでも言えばいいのだろうか。世界最大の英語辞典を発行する英オックスフォード大学出版局が昨年11月、2016年を象徴する言葉に選んだ。その定義とは? オックスフォード辞典によると「世論形成にあたり、『感情や個人的な信念』が優先され『事実』が二の次になる状況」という。
 では、具体的な現象を紹介しよう。英国の国民投票では、EU離脱派が「英国はEUに毎週3億5000万ポンド(約500億円)拠出している」などと訴えたが、離脱決定後に「事実でなかった」と撤回した。トランプ米大統領については、米メディア「ポリティファクト」が、選挙期間中から最近の発言を検証し、「真っ赤なうそ」「誤り」「ほぼ誤り」で計約7割を占める、と指摘している


 うそによって世論が影響を受けるわけだが、政治家から事実に基づかない発言が飛び出すのは今に始まったことではない。それがなぜクローズアップされるのか名古屋大大学院文学研究科の日比嘉高准教授に解説してもらおう。


 「ポスト・トゥルースを作っている要素の一つがインターネット、特にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)です。技術の発達で多くの人が手軽にニュースを手に入れることができるようになりました。その半面、情報が正確なのか、信頼できるのかを確かめずに拡散され、結果として不正確な情報が独り歩きしてしまう状況が生まれてしまいました
 望む情報を得るのに手間が掛からないネット社会の仕組みも「ポスト・トゥルース」を助長している。「多くの人が、自分が正しいと信じる内容については、事実かどうかに関係なく、それをシェア、リツイート(転載)という形で拡散していくという構造がポスト・トゥルースの浸透を後押ししています」


 日比さんが特に注目するのが、米大統領選の時に広まった「フェイク(偽)ニュース」だ。「クリントン陣営の不正投票の証拠が見つかる」「ローマ法王がトランプ氏支持を表明」といった事実無根の記事が世界中に拡散した。
 また、東欧のマケドニアでも若者たちが米大統領選に絡んで偽のニュースサイトを開設していたことが明らかになった。「彼らの目的はお金でした。新聞社やテレビ局でなくてもネットを通じてニュースらしきものを発信できる。それが広告収入につながる仕組みができた。デマを流す動機が生じたのです」


 偽情報が世界を駆け巡る中、日本では既存メディアによる不正確な報道が問題になっている。「デマの訂正を」と有志の市民らが抗議しているのが、2日に放送された東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の番組「ニュース女子だ。


 問題の放送では、沖縄県東村高江地区の米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設問題を取り上げた軍事ジャーナリストが、抗議する住民を「テロリスト」に例えたり、座り込みを続ける住民に高齢者らが多いことを指して「逮捕されても生活に影響もない」と皮肉ったりした。さらに「反対派の暴力行為により、住民でさえ建設現場に近寄れない」ことを理由に現場で取材していないことも分かっている


 昨年10月、高江で抗議活動を取材した私(記者)の経験では、MXが報じたような状況はまったくなかった。「地元メディア以外の取材活動が危険だ」という放送内容を確認するため、その後の状況について沖縄県警に取材したが、広報担当者は「記者が襲われたなど聞いたことがない。(MXは)勝手に恐怖を感じているんでしょうか」と話した。番組ではまた、「抗議活動で救急車が現場に入れない事態があった」とも伝えたが、地元の消防署は「そういう報告は一切ない。そんな話を流されて迷惑だ」と否定する。


 番組への抗議に対してMXは、16日の番組後に「沖縄基地問題を巡る議論の一環として放送」「さまざまな立場の方のご意見を公平・公正にとりあげてまいります」などのコメントを放送したこれに対し、市民側は「うそは『意見』ではない」などと、より反発を強めている。


 このケースでは、ネット媒体が既存メディアの検証を始めたインターネットメディアの「バズフィードジャパン」は、問題の放送の5日後に撮影場所が高江から約40キロも離れていることなどを指摘する検証記事を掲載古田大輔編集長は「『この報道はおかしい』と指摘する検証記事は読者の反応が多く、求められていると感じています」。また、朝日新聞社での記者経験から「役所など情報ソースへの近さ、人員などの面で、新聞社は自分たちよりもはるかに優位。逆にネットという新しい世界での出来事や、既存メディアの報道の検証などでは、素早く動けてネット情報収集のスキルがある自分たちの強みを発揮できます」と語る。



 だが、デマを流す側は、ほぼコストが掛からないのに対し「虚偽だ」と示すには、資料や当事者に当たらなければならず時間も手間も要するフェイクニュースはほんの数分で発信できるでしょうが、検証は1日に1本もできないかもしれない。確かに多勢に無勢です。それでも『デマが流れるのを見過ごしていいのか』ということ。検証の継続がフェイクニュースの歯止めになると考えます


 既存メディアの中にも同様の動きが出てきた。英BBCは、昨年の国民投票米大統領選での事態を受けて、ネット上の情報の真偽をチェックする部署を設置するという。


 日本の政治は「ポスト・トゥルース」に“侵食”されていないのだろうか。前出の日比さんは口調に力を込めてこう指摘する。「安全保障関連法の採決時、国会議事録は『議場騒然、聴取不能』となっていたのに『可決すべきものと決定した』などと書き換えられたのは大きな問題ですこれでは公的な記録としての真実性が保証できなくなるまた、消費増税再延期に際しての安倍晋三首相の『新しい判断』という発言のように、政治家が前言を翻すようなことが日常的に起きていても問題にならないそれが日本的な『ポスト・トゥルース』の風景なのかもしれません


 もはやポスト・トゥルース時代が到来している。ならば、メディアの役割は大きいはず。日比さんは「多くの人はちゃんとした情報ソースがほしいと思っています。学者は専門知識で、メディアは調査力と発信力で、そうした需要に応えていかなければならない」と注文する。


 正確な情報に基づいた議論が成り立つことが民主主義の基本だポスト・トゥルースを放置してしまえば、社会の基盤がむしばまれてしまう。

1ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20170130/dde/012/040/002000c#csidx121645614fb12f28b75852f4be44726
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