詩織さん実名で『Black Box』出版と、不可解な山口敬之著『総理』刊行の日付(中村文則氏)


◎18日(水)の日経朝刊、政治面の小さな記事ですが、読んで、笑ってしまいました。
前の日に、共産党小池晃氏が、岩手県小沢一郎氏の応援をすることになり、「こんな日が来るなんて、感無量」と感想をツィッターで書いておられたのを取り上げましたが、この記事では、同じ共産党の穀田氏の発言です。共産党野党共闘に引っ張り出したのは”SEALDsのお手柄”と私は思っていたのですが、穀田氏は「市民と野党が結集できたのは小沢さんのおかげ」と。

確かに小沢氏は、小選挙区で与党に勝つには野党は共闘、"オリーブの木"(政党連合構想)と早くから言っておられました。今回も小池新党でも…と思っておられたようですが、小池さんの方で排除の論理を振りかざすように。小沢さんは、橋下維新でも、小池新党でも、共産党でも、とにかく安倍打倒のためには人気者を据えて大きくなることが必要という考えのようです。ところが、橋下氏や小池氏の方で一緒になりたくないという。小沢さんのやり方は無節操に見えますが、抱き着いて相手の本気度を試す作戦?なのか?わからないところがあります。

ともかく、私が笑ったのは、最後のところ、「小沢一郎共産党、どっちも名前を書くには抵抗があるかもしれないが大義のためにドンといこう!」というところ。岩手3区も注目です。
◎レイプ事件の被害者『詩織』さんが、実名を明かして本を書きました。
18日に出版された『Black Box』という本です。

山崎 雅弘さんがリツイート
立憲民主派@東京13区は北條智彦‏ @tkatsumi06j 10月17日
伊藤詩織さん,10/18の書籍『Black Box』出版への意気込みを語る
私は泣き続ける『被害者A』ではなく、伊藤詩織というひとりの人間だ。性暴力の実態のリアルな声をあげて、この問題を社会全体で考えるきっかけにしたかった」と。


私は、被害者Aではない。伊藤詩織です」元TBS記者のレイプ疑惑を顔出しで公表した理由
被害者の女性にも悪いところがある」性暴力への偏見は根強い
2017年10月17日 07時29分 JST | 更新 3時間前
http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/16/black-box-shiori-ito_a_23244676/

清水 潔‏ @NOSUKE0607 10月17日
私自身が恥や怒りを持っていたら、何も変えることはできないだろう。だから、この本には率直に、何を考え、何を変えなければならないかを、書き記したいと思う。
暴行被害を訴えた詩織さんが、手記を書いた理由 | 文春オンライン


暴行被害を訴えた詩織さんが、手記を書いた理由
伊藤 詩織

性暴力は、誰にも経験して欲しくない恐怖と痛みを人にもたらす。そしてそれは長い間、その人を苦しめる。
 なぜ、私がレイプされたのか? そこに明確な答えはない。私は何度も自分を責めた。
 ただ、これは起こったことなのだ。残念ながら、起こったことは誰にも変えることができない。
http://bunshun.jp/articles/-/4562?device=smartphone&page=2

◎事件は、昨年7月の参院選に関係が。名前を公表された今、もう一度、この不可解な事件のおさらいを。山崎氏は、今年の7月1日に毎日新聞に掲載された、芥川賞作家・中村文則氏の記事に注目されています。ここにも、森友や加計問題と共通する行政の私物化、自分と親しい人への特別扱いがあったのではないかと大いに疑われるケースです。


山崎 雅弘‏ @mas__yamazaki 10月17日
2016年7月10日、第24回参院選投票日の朝刊各紙には、安倍首相の顔が大きく入った自民党の広告と、同じく安倍首相の写真入りの山口敬之著『総理』広告が掲載された。後者版元の幻冬舎社長は、最近ネット番組で安倍首相を大絶賛した見城徹今回の選挙でも、こういう汚い手を使うのだろうか



中村文則首相の写真が大きく表紙に使われており、写真の使用許可が必要なので、少なくとも首相周辺は確実にこの出版を知っている(しかも選挙直前)首相を礼賛する本が選挙前に出て、もしその著者が強姦で起訴されたとなれば、目前の選挙に影響が出る」。だが、選挙後の7月22日に不起訴確定



作家の中村文則氏が、2017年7月1日付の毎日新聞で指摘したように、山口敬之著『総理』が幻冬舎から出版されたのは2016年6月9日で7月10日の時点では著者の山口氏はまだ「詩織さん事件」で書類送検された状態かなりリスキーな広告

山崎 雅弘 @mas__yamazaki
中村文則「何が疑問かというと、山口敬之氏の『総理』という本が、2016年6月9日に刊行されていること。この日付は首をかしげる」(毎日)https://mainichi.jp/articles/20170701/ddl/k23/070/298000c 


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中村文則の書斎のつぶやき
誰もが納得できる説明を
毎日新聞2017年7月1日 地方版



 本を出版するのは、大変なことである。

 自分だけのことではない。出版社も膨大な準備をするし、お金もかかる。もし本が出来上がった状態で出版見合わせになれば、損害は計り知れない。


 その観点からも疑問に思う出来事があった。ジャーナリストの「詩織」氏(ご本人の家族の希望のため、名字は伏せられている)が、ジャーナリストの山口敬之氏に強姦(ごうかん)被害を受け、その逮捕状が取り消されたと記者会見をしたあの事案。何が疑問かというと、山口氏の「総理」という本が、2016年6月9日に刊行されていること。この日付は首をかしげる。まず「事件」の概要を振り返る。


 詩織氏は、山口氏と飲食をしている途中で意識を失い、気がつくとホテルで山口氏から被害を受けていたという。彼女はお酒に強く、これまで記憶を失ったこともなく、薬を盛られたのではと語っている。山口氏は行為は同意の上だったと主張し、疑惑を否定。だが防犯カメラの映像、タクシー運転手、ホテルの従業員による部屋の様子の証言などがあり、所轄は逮捕状を取る


 山口氏が帰国したとき空港で逮捕するため刑事たちは張り込んでいたが、電話が入り、逮捕が取りやめになるそして捜査は所轄ではなく捜査1課がやることになり、山口氏は書類送検の後に不起訴となる逮捕を止めたのは当時の警視庁の刑事部であり「指揮として当然だと思います」と語っている。事件の中身を見て、判断したという。だが、所轄が逮捕状を取ったのに、それが執行の直前に本部の刑事部長が取りやめにするのは異例であると、数々の司法関係者が疑問を呈している。


 山口氏が、首相と親しい人物であったこと、この刑事部長が官房長官の元秘書官であったことなどで、上の力で事件がもみ消されたのでは、と疑念が広がっている。状況だけ見ればそう取れるが、しかし絶対そうだと判断される決定的な証拠はない。でも、山口氏の「総理」という本が16年6月9日に刊行されているのは事実で、これは奇妙なのだ。なぜなら、このとき彼はまだ書類送検だから。



 しかもその13日後は、参議院選挙の公示日だった。だからこの「総理」という本は、選挙を意識した出版で、首相と山口氏の関係を考えれば、応援も兼ねていたはず。そんなデリケートな本を、なぜ山口氏は、書類送検中で、自分が起訴されるかもしれない状態で刊行することができたのか。そもそも、首相の写真が大きく表紙に使われており、写真の使用許可が必要なので、少なくとも首相周辺は確実にこの出版を知っている(しかも選挙直前)。首相を礼賛する本が選挙前に出て、もしその著者が強姦で起訴されたとなれば、目前の選挙に影響が出る。首相と親しい山口氏からすれば、もしそうなったら不本意だろう。選挙後に起訴されたとしても出版社は迷惑だし、強姦事件で起訴されたジャーナリストと関係が深いとなると、首相のイメージにも悪いだろう。なぜあの時期にこんな出版ができたのだろう? 山口氏が、絶対に自分は起訴されないと、なぜか前もって確実に知っていたように思えてならない。それとも、起訴にならない自信があった、ということだろうかでも冤罪(えんざい)で起訴されることもあるから、一度は所轄が逮捕状まで取った事案なのだから、少なくとも、自分の不起訴処分が決定するまで、この種の本の刊行は普通できないのではないだろうか


 参議院選挙が終わった後、彼は不起訴になっている。書類送検からなぜか約11カ月もたっての不起訴これも異例どういうことなのだろう


 異例ずくめの事案で、正直驚いている。状況だけ見ると奇妙なことばかりなので、誰もが納得できる説明が望まれる。詩織氏は今、検察審査会に不服申し立てをしている。


 ■人物略歴
なかむら・ふみのり  1977年愛知県東海市生まれ。福島大学卒業後、フリーターに。2005年「土の中の子供」で芥川賞、10年「掏摸<スリ>」で大江健三郎賞ノワール(ハードボイルド風犯罪)小説に貢献したとして、米国デイビッド・グーディス賞を日本人で初めて受賞した。16年9月「私の消滅」でドゥマゴ文学賞受賞。6月「教団X」(集英社)が文庫化、好評発売中。