311月命日の鎌仲ひとみ監督スピーチ全文と日米原子力協定の自動延長

◎先週の土曜日は、『311の月命日、あれからちょうど80ヶ月目』でした。「あれから」というのはもちろん、2011年の3月11日です。この日、官邸前の再稼働反対デモを主宰している反原連の国会前集会がありました。


 東日本大震災東京電力福島第1原発事故から6年8カ月となった11日、首都圏反原発連合(反原連)は、「GENPATSU ZERO 反原発☆国会前集会」を開きました。約1000人(主催者発表)の参加者が「安倍晋三原発やめろ」「再稼働反対」の声を響かせました。

◎反原連のサイトだったかで、社会学者の小熊英二さんのスピーチも聞きましたが、とても分かりやすいお話でした。世界では太陽光発電が主流。不便なところほど太陽光発電は便利。原発は例えるなら固定電話。世界では今や携帯やスマホの時代なのに、電柱を建てて電線を張り巡らす固定電話にしがみついている日本、という話です。映画監督の鎌仲ひとみさんは歯切れのよい話し方です。「ミツバチの羽音と地球の回転」を箕面で見て初めて祝島のことを知りました。

◎ところで、写真の新聞記事は、日経(11月10日)の「ニュースな科学」というコラムの記事で、米原子力協定が自動延長されることを報じています。リード部分から:

 使用済み核燃料の再処理を認めるなど日本の核燃料サイクル政策の根拠となっている日米原子力協定が2018年7月に期限を迎える。改定交渉の難航も懸念されたが、米トランプ政権は同協定を見直さず自動的に延長する方針を明らかにした。



 日本の核燃料サイクルは、使用済み核燃料からプルトニウムやウランを取り出して再処理し、再び原発の燃料として使用することが柱だ。
しかしプルトニウム核兵器にも利用できるため、核兵器の拡散を防ぐ観点からその製造には様々な国際的な制約が課される。核兵器を持たない国でプルトニウム製造を認められているのは日本だけで例外的な存在。その根拠となるのが日米原子力協定だ。
 協定の名称は「原子力の平和利用に関する協力のための日本と米国の協定」。現行の協定は1988年に結び、30年後に当たる18年7月が期限となる。
・第2次世界大戦に敗れた日本は、占領中、連合国から原子力に関する研究を禁止された。
・50年代に原子力の導入を決めた際は燃料となるウランから原発関連機器まで、ほぼすべてを米国に頼っていた。
・55年、それらを米国から提供を受けるため現協定の原型となる日米原子力協定を結んだ。
・その後、68年に結んだ旧日米原子力協定では米国の同意がある場合にのみ使用済み核燃料の再処理が可能になった。
・さらに88年に結んだ現協定では平和目的であれば再処理ができることになった。


<再処理施設動かず>

 一方で現行の日米原子力協定を問題視する声もある。その理由の一つが日本の核燃料サイクル政策が行き詰まっていることだ。
再処理を実施する青森県六ケ所村の施設は水漏れなどの不祥事続きで、稼働を許可する原子力規制委員会が審査を一時中断した。当初は97年に稼働するはずだったが23回目の延期が確実で、完成時期は未定だ。 

 さらに東京電力福島第1原発の事故後、国内のほとんどの原発が止まり、英仏で再処理したプルトニウムの在庫がどんどん増えてしまった。そのプルトニウム約47トンも溜まり、原子爆弾6000発分にも上る。利用のめどがたたないままプルトニウムをため込むことは協定の方針に沿わない恐れがある。


原発再稼働に壁>
 大手電力会社で作る電気事業連合会長の勝野哲さんは「利用目的のないプルトニウムはもたない」と話し、プルトニウムを既存の原発で再利用するプルサーマルを進めて在庫を減らしたい考えだ。ただ原発の再稼働は進まず新規増設の見通しも立っていない。描いた通りにはプルサーマルを実現できない可能性が高い。こうしたことから政府は、協定の見直しを米国が求めてくる懸念を持っていた。
 しかし、米トランプ政権は10月に「再交渉する理由は何もない」と改定を求めない方針を明らかにした。5日に来日したトランプ大統領との首脳会談でも議題に上らなかったとみられる。「交渉の難航を予想していたが安堵した」と経済産業省の担当者は胸をなでおろす。
 ただ、協定は自動延長された場合、どちらかの政府が6か月前に通告すれば協定を終了させることができる。北朝鮮核武装など、東アジアでの核拡散の懸念が強まれば連鎖を恐れる米国が協定の見直しを求める可能性も残る。その場合は日本の核燃料サイクル政策の見直しが必至となる。

日経新聞ですので日本の経済界の立場で書かれている記事ですが、溜まりすぎるプルトニウムをどうしたらよいのか全く解決策のない様子がよくわかります。さて、3・11の月命日の日の鎌仲さんのスピーチはそのあたりをズバリついていますので、ぜひ全文を読んでみてください。「shuueiのメモ」さんが、このスピーチを全文紹介されています。(引用元 http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20171112/1510429459

鎌仲ひとみ監督、スピーチ全文【1111 GENPATSU ZERO 反原発☆国会前集会】
http://coalitionagainstnukes.jp/?p=10093

       
+*+*+*+


ドキュメンタリー映画を作っているかまなかです。


久しぶりにここにやってきました。
いつも、ここで声を上げてくださっていること、皆様に改めて感謝を申し上げます
今日は311の月命日、あれからちょうど80ヶ月目になります。


この間、大きな、復興の掛け声の陰で再稼働が進められ、この原発事故の本当の姿を見えなくしようという強い意思と力が働いてきたと感じています。
被災地で人々の生活がとりもどされることは素晴らしいことです。しかし、人々の本当の意味で生活がきちんと取り戻されているのかというとそうではありません。
放射線の安全基準が高いままに、避難区域が解除され、そこに戻って住むように促されています。誰しもが故郷、ふるさと、マイホームに戻りたい。でも、そこには以前より高い放射線があるのです。そして避難解除されれば、即、補償金が切られてしまいます生きるための選択肢が奪われているのです。


一方、避難した人々も苦境に落とし込まれています。自力で母子避難した多くの家庭が、経済的に破綻寸前、あるいは破綻し、命を絶ってしまった方もおられます。この方達への支援が国や県から、ほとんどない海外には何兆円もの支援をするくせに、足元で、この原発事故で苦しんでいる普通の人々を見捨てているのです。



原発に反対する様々な理由があります
このような事故を起こせば、取り返しのつかない甚大な被害になること。すでに溜まっている大量の使用済み核燃料をどうするのか、という問題。地域を分断し、社会を分断してしまう、被曝労働をし続けなければならないことなど枚挙にいとまがありません。


それでも、巷では「原発反対とは言えない」。エネルギーのことがあるからという男性に必ず出会います。
なぜ、今でもそうなのか。それは未だに「原発がなければ日本の経済が回らない」という古臭いプロパガンダが生きているからです。


でも皆さん、もうご存知でしょう。あの東芝がどんなひどい経営状態に陥ったのか
政府の原子力政策に寄り添って、6800億も出してウエスティングハウスを買収したつけ。安倍首相が莫大な国費をかけて国際的に売り込んだ結果、ヴェトナムも、最近はトルコも日本の原発をキャンセルしました。アメリカでは原発に誰も投資をしません


あの原発大国、フランスですら、これから原発の数を半分にし、ゆくゆくは脱原発を目指す政治的な方針を打ち出しましたこの政策転換の背景には、すでに原発が経済的に成り立たないという結論を、フランスの最も信頼されている国家組織、会計検査院がコストを計算し、公式に報告したからですこの報告は今や、全世界で読まれています


なぜ、事故を起こした当の日本だけが原発固執し、躍起になって再稼働させよう、大間の原発も完成させよう、としているのか
あまりにも不合理なこのあり方の根本に核燃サイクル計画があります。つまり、使用済み核燃料を資産として計上し続けているからです。ゴミを資産と言い募っているのです。


私は言いたい、もう、プルトニウム発電は砂上の楼閣であるということを認めなさい!
(そうだ!)
国際的にも北朝鮮を非難しながら使い道のない、プルトニウムを大量に保持することは無理です。
核燃サイクル計画は、原発という厄介なものから、さらに危険な核武装への導火線となってしまう。だから、脱原発運動は反核運動でもあり、平和運動でもあるのです。(そうだ!拍手)



最後に、言いたいのは、ここに集まった皆さんに、もっと放射線の被害を知っていただきたいということです福島県内で見つかった194人の小児甲状腺ガンも事故のせいだとは認めてもらえていません。被ばく被害はガンだけではありません。ありとあらゆる病気に被ばくは悪影響を与えます。


今、最も、空洞化されているのが、この被ばくの被害であると私は思います。
この事を訴えるのは非常に難しい。必死で復興したいと努力する福島の方々を応援したいという気持ちと、被ばくの事を訴えることが、相反するベクトルに見えるからです


それでも、私は内部被ばくから人々を守る対策がずっと必要だったし、今も全く足りていない事を申し上げたい安全をアピールするために、より被ばくを軽視する今のあり方をとても心配しています。また、もし、事故が起きた時、私たちは愛する人を守れるのか、と問うたとき、とても心もとなく感じます。
今、原子力防災をテーマに映画を作っています。ぜひ、関心を持って応援してください。ありがとうございました。
(拍手)