九谷焼作家展(「江沼九谷」)と”奇想の工芸”


先週の木曜日、前日から始まった九谷焼の展示を見るため、梅田の阪急百貨店の9階催し会場へ。「奇想の工芸マーケット」に従弟が作品を出しているというのでそれがお目当てです。まず九谷焼の作家展へ。そこで懐かしい地名を発見。両親や夫の実家は今では加賀市になっていますが、昔は江沼郡でした。その江沼の地名をつけた『江沼九谷』という焼き物があったという解説があり、渋い朱色の九谷焼が並んでいました。そういえば昔見たことのある色と模様です。解説によりますと:

江沼九谷の『開国』


 明治時代の江沼九谷は、ジャポニズムブームを受けた輸出産業での華々しい成果とは縁遠い所に位置していた。 九谷焼発祥の地を擁していながら、いや、擁していたからこそ、古九谷以来の伝統的な上、焼き付けにこだわりを持ち、それ故に欧米貿易商の需要(=ジャポニズム)に柔軟に対応することができなかった。


 『開国』に対応する模索は江沼九谷の制作現場においても行われていた。館の主導により、明治12年(1879)に九谷陶器会社が設立されたこと、明の活力から井上陶源をはじめと留守貿易商が活躍したことは注目すべき出来事と言える。


 和風の美とジャポニズムと。大聖寺藩以来の伝統と、日本を代表する陶芸の在り方、似て非なる美意識と価値観の間で、江沼九谷の作家たちが模索した作品作りは、近代から現代へとつながり今日の多種多様な九谷焼作品へと結実している。


◎父の実家のある大聖寺は、城下町でした。前田利家の弟がお殿様だった大聖寺藩で、隣村の母からすると、お城下で、お街で、お茶やお花やお稽古事が盛んで、お菓子屋さんが沢山あって、父のお父さんは表具屋だったけど,店は人に任せて、謡曲をやったり絵をかいたりの遊び人だったとか。そういえば展示されている器類は見たことがあります。
それに、夫の実家がある山代温泉では須田精華窯が。義母が肉を買うなら「天狗の肉屋さん」と決めていたお店へ付いていったことがあります。総湯周りから少し坂を上がったところにある肉屋さんの手前の角に九谷焼の須田精華の陶器店がありました。沼津でお世話になった方のお礼に、このお店で、花瓶にしてもいいような高さのある四角い灰皿を買い求めたことがありました。赤絵と呉須の模様が入っていました。あの須田精華が江沼九谷の代表の一人だったわけです。


◎「明治九谷の歴史」(http://www.kutanimus-volunteers.com/kutani-guide-history-meiji.html)によると、当時石川県の能美と金沢と江沼の3か所あり、能美郡は義母の実家のある地域です。Wikipediaで調べてみて、そうだったのか!と思ったのが、九谷の地名です。
山中温泉を1番目とし、大聖寺川上流へ旧西谷村の栢野大杉がある村落を2番目とし、9番目の村落を九谷とした」とありますが、母の妹である今は亡き叔母さんが嫁いだ先が2番目の「栢野の大杉」のある栢野(かやの)でした。3番目が我谷。我谷ダムができた時、それより奥の9番目の九谷までの村が水没したとか。
おじさんがこの我谷ダム建設で北陸電力とやり合ったという話がありました。栢野は、箕面の駅向こうに住んでいて夜間中学の先生をしている従弟の実家があり、今は長男の従弟が実家を継いで、お寺ではないのですが亡き伯父さんと同じく浄土真宗の僧侶の資格を取って地域のお役に立っているようです。九谷焼や古九谷がこの地域の奥の九谷村のことだったのを長い間忘れていました。(ここまでの写真の作品が江沼九谷)
◎明治九谷の一つ『江沼九谷』の解説と作品を見た後、現代九谷の作家の作品がどっさり展示してあるコーナーへ進みました。値札もついていますので展示即売会のようです。
伝統的な黄色と緑で覆いつくした吉田窯の作品や
赤絵や呉須の絵柄の物もありますし、
モダンな作風の物もあれば、
実験的な形のものも。
これぞ九谷焼というのももちろん。
コーヒー椀皿にとても良いものがありましたが、お値段も良かったり。


漆工芸の棗(なつめ)が展示してある陳列ケースもありました。透明の棗にカキツバタが漆で描かれています。これはガラスではなくて透明なプラスチックに彫刻して絵付けしてあるとか。小さいサイズの棗もありました。
さて、正統派の九谷焼作家展のコーナーを離れて、真ん中の広場の反対側には石川県の物産展、その一角に「奇想の工芸マーケット」のコーナーがあり、そこを目指すことに。ウルトラマンシリーズの九谷焼や、手塚治虫火の鳥の絵皿がメインのコーナーが見えてきました。


従弟の作品はこのコーナーの最奥にありました。
棚の上には、え〜っと驚くような造形の作品。
カニの足の上に髑髏が乗っていて
頭から花、目が飛びだして!?
”従弟らしい!”と言えば”らしい!”
でも、あっけにとられました。
もう一つの作品も、徳利の上に
何やら怪しげな生き物が取り付いています。
よくまあ、こんなものを思いつくものです!

腰のあたりの高さの台に展示してあるものは酒器。
これはおとなしい感じですが、夫は手にもって見て少し重いと。
九谷焼を使って若い人たちがいろんな挑戦をしている意気込みを感じてこのコーナーを後に。
石川県に住み着いて漆塗りのアクセサリーを発表しているスザーンさんのコーナー。
ご本人に了解を得たら快くOK。ご自分の作品を胸に写真を。
人出は多く、加賀名物の食品の物産展辺りは混んでいました。
ゴリの佃煮とニシン大根、生姜砂糖のお煎餅・柴舟を買って帰途に。