1月のお茶のお稽古

小雪がちらつく金曜日、今年最初のお茶のお稽古でした。
ちょうど先生のお宅の玄関の正面に当たるところに
蝋梅(ろうばい)の綺麗な黄色い花が咲いていました。
玄関には万年青(おもと)の15枚の葉が
7,5,3に組んであり、その葉の間から
万年青の真っ赤な大きな実が2つ、覗いています。
15枚の肉厚の葉の堂々とした風格と
深い緑と朱赤の色どりが格調高い新年の生け花でした。


お部屋に入ると炭火の暖かい空気を感じます。
掛け軸は「彩鳳舞丹宵」(さいほう、たんしょうに舞う)。
そして、お花は、さっき見た黄色い蝋梅と赤い蕾の椿です。
この二つを見た私、Nさんの「これ!?」という声に、右側に飾ってある扇に気付きました。
先生が家元の初釜に出かけられた時のお土産?だそうです。書かれている字は「鶯語吟」。鶯が語り吟ずる、あるいは、鶯が語るように鳴くとでも。花押(かおう)<サイン?>が表千家家元のものです。先生のお話では寅年の家元は、2月の利休忌(陰暦の2月28日)に引退されて、戌年の息子さんに家元を譲られるそうです。歌舞伎の松本幸四郎さんは、親子孫三代の襲名でしたが、代替わりが続きます。

三人でおしゃべりをしていると先生がお盆に甘酒を入れて入ってこられました。
15時間発酵させた麹(こうじ)で作った甘酒です。酒粕で作るのとは違って、これは美味しいです。
身体もすっかりホカホカになりました。お喋りしてると時間が無くなるからとNoさんが私に合図。
それで、水屋に立つことに。追羽根の蓋置を選びましたが、「つくばねの蓋置」というそうです。
大ぶりの黒い棚には縁取りが立ち上がっています。
珍しい初めて見る棚でした。高麗卓(こうらいじょく)というのだそうです。
(写真は、お茶を点てた後のお飾り。ト飾りかと思ったら、蓋置を下に置く飾り方。)
普通は、四つ足の棚の水差しに薬缶の水を足すとき、水差しを棚から出して、水を足します。
でも、この棚は大きいので、出さずに、そのまま薬缶の水を足すことができるとのこと。


お茶碗はグレイの生地に白で戌という字と
模様を交互に帯状に巻いてある三角茶碗を選びました。
正面は角ではなくて辺にしました。
中に大きな白い刷毛目の模様が入っています。
もう一つは張り子の犬が模様になった
京焼の可愛いお茶碗を選びました。
主菓子は、羊羹。
干菓子は、先生手作りの松竹梅。緑の松の色はお抹茶の色だそうです。
竹製の金色の器に盛ってあります。30年以上も前に手に入れて使えないと思ってたのにと先生が。


久しぶりに正座をしたせいか、
途中で足がつって困りました。
何とか無様なことにはならずに誤魔化せました。
二人が炉でお点前を済ませて、立礼式に移ります。
水差しをテーブルに乗せて、
埋め込んである電気コンロの上に釜を置きます。
先生が炉の炭の片づけに取り掛かります。

炭焼き職人のなり手がないことと
炭になる木がないとのこと。
隣町の池田の菊炭が有名ですが、
いつまで続くか・・・と先生も。
立礼式はお茶を点てる人も足が痛くならないから
お代わりをしなさいということで
先生の次に、お代わりをすすめられました。
都合、三服目を戴くことになりました。

帰るころには吹雪いていた雪も収まりました。
驚いたことに、この日はお土産に花びら餅を戴きました。
我が家は隣の両親の分も入っているよと言われました。
帰って、松葉模様の箱を開けてみると、桃色が透けて見える花びら餅が四個と
先生手作りの松竹梅のお干菓子が入っていました。ありがとうございました。
翌日の土曜日、午後のお茶の時間に隣の両親を呼んで、四人分のお抹茶を点てて花びら餅を戴きました。