三朝温泉・山陰本線から山陽本線の旅(1)


なんとなくカニを食べに温泉一泊に憧れ?て、チャンスとばかり母が持ってきた新聞広告で行き先を決めて、気が変わらないうちに日を決めて申し込んでしまいました。間際まで三朝(みささ)温泉が何処なのか知らず、夫が調べて鳥取の先だぞ〜で、えぇ〜!という感じでした。それからも、お茶の稽古日の金曜日が終わってから、さぁ〜てという具合。ホテルには、前日までに倉吉に着く時間を知らせることになっていたので、土曜、日曜と相談して、往路は宝塚でJRの福知山線に乗って、山陰本線で倉吉ということに。

まだ夜が明けない6時30分ごろ家を出て、出勤に向かう人たちと同じ電車で石橋、ここで乗り換えて宝塚線で阪急宝塚まで。夜の白々明けから朝を迎えて、各駅停車の電車は高校生が乗り込んできたくらいで、阪急宝塚着。
ここからJRの宝塚駅へ移動。JRの窓口でジパングの割引を使って切符を。見回してみるといろんな旅の案内が出ていて、ここへ来てから行き先を決めることだってできるのか…と思いました。
宝塚で劇場側とは反対のJRの福知山線に乗るのは初体験。夫は山の訓練や山行で何度も。意外に混んでいるのにびっくりです。
丹波大山辺りから車内もすいてきました。柏原と書いて「かいばら」、石生と書いて「いそう」。

和田山の駅の向こうにはレンガつくりの屋根なし建物がいかにも明治か大正という感じで建っているのが見えました。
車窓から見る景色は先週の冷え込みで雪景色。青空に雪景色が続きます。途中からドアの開閉は自動ではなくて、開ボタンを押して下ります。
養父(やぶ)、八鹿(ようか)と続いて豊岡へ向かう線路沿いに道が。夫がつい3年前まで仕事で通いなれた道でした。懐かしいし、仕事でいろいろあったことを思い出すと。取引先の会社の工場移転で、転勤できずに途中でやめた人や、今でも単身赴任の人がいるとか。夫の話を聞いて、こんなに離れたところに家族で移り住むのは迷って当たり前の一大事だとわかります。

昨年10月、義弟夫婦の車で出かけた玄武洞が川の向こうに見えてきました。
山の中腹が半円にえぐれているのが玄武洞の一つです。
近くに橋が見えませんが、対岸にどうやって渡るのかな・・・


次は城崎温泉駅
ここで降りて、20分の待ち時間で乗り換えです。
切符を見せて改札を出て、駅の外に出てみる。
昨年の旅行では駅の外から見るだけでしたが、今回は駅側から見ることに。
駅正面のロータリー真ん中の小公園にはカニの爪がお迎えです。

城之崎鳥取行の山陰本線の各駅停車はワンマントレインで、車掌さんかと思ったら女性運転手さんで車掌も兼ねます。飛行機の客室乗務員のような感じで颯爽としてカッコいい!! 2両編成で一両目の前のドアしか乗り下りできなくて料金箱が置いてあります。一両目にはトイレがついています。駅を出るとすぐ雪が降り出してきました。すっかり日本海側の冬にすっぽり。


次の駅が竹野。駅には北前船の大きな絵が。どうしてと思っていたら海が見えてきました。いよいよ日本海です。お任せ鮮魚の佐藤さんの住む香住がすぐ2,3駅先。カニを食べるなら、香住やこのあたりでも良かったのに…と思い始めました。三朝(みささ)はもっとずっと先。早まったか、何にも考えずに飛びついたのがまずかった…なんて思いだしたら止まらない。

列車は海岸線沿いに走ります。浜坂で観光客らしき数人が下車するのを見て余計に拙かったかな…という思い。夫まで、「今度から決める前によく考えような」とやんわり。
そんな思いを吹っ切ってくれたのは、次の駅名! 
『諸寄(もろよせ)』は19歳の夏、サークルの合宿で来た海岸です。
55年前にここに来たことがあった!! ということは、福知山線から山陰本線
初めてではなかったということです。


路線図を見ると諸寄の次の鎧の次は餘部(あまるべ)です。
義弟夫婦と義姉たちと初めて夫の兄弟姉妹夫婦でドライブしたのが湯村温泉から生野銀山でした。その途中で餘部鉄橋に寄ってくれました。今は鉄橋は観光用に残してあるだけでコンクリート製になっています。あのドライブの途中、下から仰ぎ見た線路を通り、登るのを諦めた空中駅に停車します。
外は吹雪いて日本海の海が見えます。吉永小百合さんの最高のドラマ「夢千代日記」が思い出されます。そういえば最近再放送があったそうです。脚本を書いた早坂暁さんが昨年の12月16日に88歳で亡くなっておられますので、追悼番組だったのかも。ドラマの出演者と言い、あの武満徹さんの映像そのものの音楽と言い、忘れ得ぬドラマです。これで餘部鉄橋の上と下を体験できました。


東浜では海が見える高架の道路が
まるで疑似餘部みたいです。
居組駅の次は岩見、入江が迫って
道路標識に鳥取の名前が見えました。
いよいよ終点が近づいてきました。
一つ手前の福部では、青空が見えだしました。
あの横殴りのボタン雪の吹雪は夢だったの…
みたいなお天気になってきました。

鳥取駅に近づくにつれて住宅が続きビル群も見えて大都会の様相です。今まで孤立した集落のような寒村続きで大きなボタン雪が横っ飛びで吹雪いている景色が続いていましたので、余計に鳥取が大都会にみえるのか。
2時前に終着駅鳥取着。ここで乗り換えて、今度は米子行の快速に乗ります。ホームが変わりますので少し歩くと、歓迎の花笠飾りが。白黒の世界から色彩を取り戻した感じです。

駅員さんに切符を見せると、快速はすでに到着していて乗り込めますとのこと。
ホームの列車を見て夫が「長い!」。今まで2両編成でしたから、5両は長い!です。
乗客も大勢。2駅目が鳥取大学前という駅なので,大学生や大学関係者らしき人たちがごっそり下車。
海が見えていた車窓はやがて潟なのか湖なのか・・・畑が水没したのか水田なのか・・・という景色が続きます。

今までは、始発で終着駅まででしたが、今度の倉吉は途中下車なので要注意。

やっと倉吉です。1号車の料金箱が珍しいので写真を。5両編成の米子行を見送って。
・JR宝塚から、9時半ごろ福知山線に乗り、終着駅の福知山まで。
山陰本線で2両編成のワンマントレインに乗り終着駅の城崎温泉まで。
・お昼前に城之崎始発の女性乗務員が運転する2両編成のワンマンで終着駅の鳥取へ2時間近く乗車。
鳥取からは、2時2分発の5両編成の米子行に乗り、途中の倉吉、2時52分到着です。

JRを約5時間半、約40駅を各駅停車して、乗り換え4回の旅でした。途中、青空の下の雪景色、ボタン雪の吹雪越しに見える暗い海、トンネルを越えて次々現れる日本海の入り江、思い出の諸寄や、夢千代さんも通った餘部の空中駅・・・夫が仕事を終えた今だからこそ時間をタップリかけて出来る贅沢な旅です。
旅館のお迎えのバスの時間まで20分ほどありますので、JRの窓口で復路の相談です。乗り換えなしの特急で新大阪まで行けるのがあるというので、帰りは山陽本線を使って一回りというのもいいねということに。待ち合わせの場所、駅の隣の土産物店へ向かうことに。(つづく)