死は鴻毛より軽しの「ノモンハン 責任なき戦い」と「国立の追悼施設を」(福田元首相)

15日は73回目の終戦記念日。この日、山口県で3日間行方不明だった2歳の男の子が、大分県から駆け付けたボランティアの男性によって発見されました。78歳の尾畠春夫さんは藤本理稀(よしき)ちゃんが「ぼく、ここ」とハッキリこたえ、差し出した飴の袋を取って一粒口に入れガリガリと音を立てて噛むのを見て、この子は大丈夫と思ったそうです。「大事な小さな尊い命が助かってよかった」と目に涙をにじませています。
(ドローンで撮影された今も残る塹壕のあと)
一方で、NHKスペシャルノモンハン 責任なき戦い」では、日本の軍隊がいかにヒト(他人・人間)の命を軽く扱ったかを見せつけられました。軍の上層部にとって現場で戦う人間の命なんて単なる数でしかなかったかのようです。鉄砲の弾と同じ、あるいは、替えのきく兵隊というぐらいです。せっかく生き残った者にも責任を押し付けて自決を迫る卑怯さ。見ていると森友問題と重なって見えます。近畿財務局で自殺者を出していますが、責任を下に押し付けて、悪いことを企んだり指示した上の者はのうのうと生き残っている。同じです。そして個人的人間関係が優先される。これも同じです。
番組が始まって、関東軍に辻正信の名前と写真が出て、二人で、「おぅ、辻正信、おったな〜。いたね〜」と声を上げてしまいました。「石川県出身よね」「地元、選挙区だった」。母からもよく辻正信の名前は聞かされていました。戦後、ずいぶん経って、衆院議員に当選しています。山中温泉出身だったようです。夫の方がよく知っていて、戦後、隠れていて、途中で出てきて、また、どこかで行方不明になったはずと。

◎昨日の夕刊の番組案内に内容が書いてあります「暴走許した無責任体制、情実人事・情報軽視の末に太平洋戦争に突入、自決を迫られた部隊長発見!軍幹部が語った150時間の肉声」。自決を迫られた部隊長の妻が、戦後、真実を知りたいと関係者に手紙を書きますが、みんな知らぬ存ぜぬと白を切ります。財務局の佐川さんと同じです。自決を強要した上官も、ピストルを貸してくれと言われたとウソを。森友問題とまったく重なります。


戦争、特に日本の戦争では、敵の命だけでなく味方の日本人でも、兵隊の死(命)は"鴻毛より軽く"、一銭五厘でいくらでも調達可能と思われていました。「個人の人権」なんて意識もない、大日本帝国憲法のもとでの戦争でした。兵隊は「天皇の赤子」と言われ、命令一下、命は捧げる、召し上げられるものでした。一方で、参謀本部の軍人は「天皇の命令なんて絶対ではない、どうにでもなる」とも言っています。天皇を利用して軍の意志を通そうとする。今の安倍政権が、憲法では天皇を元首に祀り上げる改憲を考えていながら、今上天皇のお気持ちなど無視してかかっているのと、これまた、同じです。そして、2年後、日米開戦。戦争は繰り返され、勝つ見込みはないと1年後にはわかっていても、撤退できず。310万人の死者を出して1945年8月15日まで続きました。
◎この度、「死は鴻毛より軽し」という言葉を私がなぜ知っているのか、ちょっと調べてみました。軍人勅諭の中に、「死は或いは泰山より重く,あるいは鴻毛(こうもう)より軽し」という一節があり、母から聞いたか、あるいは戦後、戦前を語る時、この一節が語られたのではないかと思います。

☆『軍人勅諭』(ぐんじんちょくゆ)は、1882年(明治15年)1月4日に明治天皇が陸海軍の軍人に下賜した勅諭である
1948年(昭和23年)6月19日、教育勅語などと共に、衆議院の「教育勅語等排除に関する決議」および参議院の「教育勅語等の失効確認に関する決議」によって、その失効が確認された。

昨日の番組では、ノモンハンの後、捕虜となることを厳しく処罰、その後「生きて虜囚の辱めを受けず」の戦陣訓が出来、軍人や民間人が捕虜になるより死を選ぶようになる一因となったということでした。軍の上層部にとって兵隊の命が「鴻毛の軽さ」であるからこそ、玉砕や自決を強要できたのでしょう。靖国に葬っているから自決せよとは、殺人、処刑、そのものでした。生き延びて、まだその責任を感じていない人たちの録音を聞いて、呆れ果てました。NHKの番組サイトより:


ノモンハン 責任なき戦い2018年8月15日(水)
午後7時30分〜8時43分


79年前、モンゴル東部の大草原で、日ソ両軍が激戦を繰り広げたノモンハン事件ソ連軍が大量投入した近代兵器を前に、日本は2万人に及ぶ死傷者を出した。作家・司馬遼太郎が「日本人であることが嫌になった」と作品化を断念した、この戦争。情報を軽視した楽観的な見通しや、物量より優先される精神主義など、太平洋戦争でも繰り返される“失敗の本質”が凝縮されていた。しかし軍は、現場の将校には自決を強要した一方で、作戦を主導した関東軍のエリート参謀たちはその後復帰させ、同じ失敗を重ねていった。
今回NHKは、ロシアで2時間に及ぶソ連軍の記録映像を発掘。4Kで精細にスキャンした映像を「AIによる自動カラー化技術」で鮮やかに着色し、戦場の実態を現代によみがえらせる。さらに軍の判断の経緯が証言された、150時間を超える陸軍幹部の肉声テープも入手。敗北はどのようにして隠され、失敗は繰り返されたのか。映像と証言から迫る。

◎ニュース番組で、「みんなで靖国…」の会長が、「日本の平和のための犠牲になられた」と言っているのを聞いて、「???」。どこかオカシイと思っていましたが、↓山崎氏のツィッターを読んで納得しました。あの大戦の戦死者は、平和のために戦ったのではなくて、大日本帝国憲法のもと、天皇とその国家体制が命じるままに戦って死んだ人たちですね。「平和のための犠牲」と言うと、ちょっとした欺瞞、すり替えがあるように思います。


山崎 雅弘
@mas__yamazaki 8月15日

みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」会長の尾辻議員は、戦没軍人を「こんにちの日本の平和のために犠牲になられた方々」と表現したが、戦後の平和は当時の軍人が守ろうとした国家体制が敗戦で完全に崩壊し、日本国憲法下で実現したもの自衛隊も戦没軍人も、彼らはただ都合良く利用するだけ