ドラマ「西郷どん」「僕らは奇跡でできている」と「昭和元禄落語心中」

連続ドラマが次々と最終回を迎えました。メモ代わりにいくつか並べてみます。
今年、見逃したドラマもたくさんあったと思いますが、私が見たものの中のべストは「透明なゆりかご」かな、やはり。それ以後のドラマのなかで、ほぼ毎回見たものを。
◎最初に16日の日曜日に終わったNHK大河ドラマ西郷どん」。
明治150年の記念の年でしたが、ドラマを通して、というか、西郷隆盛を通して明治維新を振り返ることができました。
150年前、日本は本当に大変な困難を乗り越えて近代を迎えたのだと改めて思いましたし、様々な困難な問題にそれぞれの立場で対処しなければならなかった人たちを見ることができました。
どうあれば良かったのか、簡単には言えないな〜とも思いました。
朝の連続テレビ小説花子とアン」の中園ミホさんの脚本、原作も女性ですので、女性の視点で描かれた明治維新でもありました。

大久保と西郷、夫が見終わった後、大久保も公平に描かれていたし…とつぶやいていました。ナレーションの西田敏行さんが、かつて大河で西郷隆盛を演じていて、かつ、このドラマの中では、愛加那との間にできた息子で、西南戦争で片足を失った後、京都市長になる西郷菊次郎を演じていたのは、なかなか面白い趣向だったと思います。

島津斉昭と西郷との関係や、久光との関係も良く描かれていたし、最後の将軍、徳川慶喜とのドラマならではの関わりも、林真理子さんらしいといえば言える気がします。

配役では、鶴瓶岩倉具視勝海舟はちょっと残念でした。お公家さんの品がないような気がしましたし(実物はあんなだったのかも?)、勝海舟はもう少し小柄な人にしてほしかった。主役の西郷さんは、よく知られている西郷像に似せようというのではなくて、内面的になりきるという鈴木亮平さんの気迫のすごみがありました。瑛太さんの大久保利通もよかったです。弟の西郷従道錦戸亮さんは、浮いていたのか嵌まっていたのかよくわかりませんが、隆盛の傍らにいながら維新を生き抜く弟の生き方がよく理解できて良かったです。黒木華さんは最優秀賞ですね。
岩倉具視つながりで、唐突ですが、ここでゴーン氏についてのツィッターを。20日、ゴーン氏拘留延長却下化?について、布施&山崎コンビのツィートです。お粗末な日本の司法制度が世界に伝わってしまいました。明治時代とあまり変わっていない?(PS:お昼のニュースでは「再逮捕」!)

山崎 雅弘
‏@mas__yamazaki 12月20日

明治初期の岩倉使節団が欧米諸国を歴訪し、領事裁判権などの不平等条約を改正したいと申し出た時、相手国に言われたのがお宅の国は拷問で自白強要とかしているから駄目」。5年前には、日本の司法制度の後進性は「中世同然だ」と、国連の拷問禁止委員会でも指摘されました
山崎 雅弘さんが追加

布施祐仁
@yujinfuse
さすがに国際的にヤバいと思ったのかないい加減、不当に拘留し「代用監獄で自白強要」みたいな前近代的な捜査方法を改めないとこれはアメリカが地位協定改定に反対する口実にもされているし。 https://twitter.com/mainichi_dmnd/status/1075610373229703168 …

◎火曜日の楽しみは、珍しくフジテレビ系の「僕らは奇跡でできている」。

登場する人物の全員がドラマのスタート時点と比べて、どこかしら変えられているというか、高橋一生演じる一樹に触れることによって何らかの影響を受けて変化している。「自己肯定」という言葉を見つけましたが、どうも、コレです。見終わってほんわか幸せなのは「自己肯定感」のおかげです。
榮倉奈々さんが演じていましたが、優秀なのに自信がない、相手にも自分にも過剰に求めてしまう。いつも焦燥感があってハッピーになれない人。
小学生の男の子を育てる母親。先回りして良かれと思って、結局、自分の心配で子供を追い込んでいく母親。子育て中のお母さんならだれでも思い当たるでしょうね。同僚の先生方、人のせいにして自分の問題をスルーしてきた”堅気”の樫野木先生、アリの巣を観察している先生。ユニークですが、どこか憎めない。
結局、みんな一樹の影響を受けて変わっていく。家政婦さんにも「母親だと前から分かっていたよ」と言えましたし、面と向かって非難されても、翌日はめげずに出勤?できました。周りに鮫島先生や、一樹の祖父のような本当の大人がいたことがよかったのですね。一樹も強くなれました。よかった、よかったで終わりましたが、宇宙を目指すというのには驚きました。人生、出会った人とは、必ず、お互いに影響しあって、それを栄養にして人は豊かになっていく…ってことでしょうか。

NHK金曜夜の「昭和元禄落語心中」。これは、番組が始まるとテレビ画面の前の空気がまるで違った世界でした。
岡田将生さんて、こんなうまい役者さんだったっけ!というぐらい感心しました。山崎育三郎さんも役者さんですね。驚きました。先代の七代目八雲を演じた平田満、八代目八雲の運転手であり身の回りの世話役を務めた松田を演じた篠井英介のお二人もとても良かったです。
演じられる落語の世界とドラマの世界が二重になって、その二つの世界を自在に往来してドラマは進むのですが……独特の空気というか世界に引き込まれてしまいました。漫画が原作とか、落語の世界をどんな風にマンガで描いたんでしょう⁉ 番組HPから:

累計200万部を突破、魅力的なキャラクターと骨太なストーリーでマンガ賞を総なめ、若者たちを中心に落語ブームを巻き起こしている、雲田はるこさんの「昭和元禄落語心中」をドラマ化します。

脚本には連続テレビ小説「マッサン」の羽原大介さん。音楽には村松崇継さん、演出には映画監督のタナダユキさんらを迎えました。戦争の時代の落語家たちの生き様、芸の絆に結ばれた若者たちの熱い友情、師弟や男女の情愛・嫉妬・別れ、そして無二の親友の事故死を巡るミステリー…。濃厚にして豊穣なヒューマン・ドラマをお届けします。



ドラマのあらすじ
昭和初期、落語の世界に入った八雲(岡田将生)は、同期入門の落語の天才・助六(山崎育三郎)と、固い友情で結ばれる。八雲は助六の芸に憧れ、嫉妬し、追いつこうともがき、芸者・みよ吉にも支えられ、成長していく。やがて、助六とみよ吉(大政絢)とが結ばれるが、ふたりは謎に満ちた事故死を遂げてしまう。八雲はその死を巡る秘密を抱いたまま、ふたりの遺児・小夏を引き取る。小夏(成海璃子)は、八雲を「親の仇」と恨んで成長し、やがて天衣無縫な八雲の弟子・与太郎竜星涼)とともに、八雲がひた隠す「助六とみよ吉の死の真相」に迫っていく…。


◎あと「下町ロケット」(今度の日曜が最終回)と、米倉涼子林遣都の「リーガルV」も楽しかったです。林遣都さんは、デビューで主演の映画「バッテリー」がとてもよくて、その後は順調に活躍。NHKのテレビドラマ「火花」(去年か一昨年?)の演技に感心。最近は「おっさんずラブ」で意外な面も。今回は米倉涼子さんのポチ役でしたが、何でもできますね。
 朝の連続ドラマ「まんぷく」も毎朝見るのが習慣になっていますが、安藤百福夫妻のお話し、戦後の大変な時代を丁寧に描いていて、「武士の娘」が口癖の松坂慶子さんが明るいので、過酷な時期もドラマとしては楽しく見ています。これはまだ最終回ではありませんが。世良さんが、いつも良い人なのか悪い人なのか、怪しい(笑)。
 19日にテレビ大阪で放送されたドラマスペシャル「東野圭吾 手紙」。最後の「上を向いて歩こう」の亀梨くんの絶唱。この歌、永六輔と中村八大が60年安保闘争のあとに作ったそうですが、決別の歌としてこんな効果があるのかとちょっと驚きました。罪と罰、罪の償い、被害者と加害者、兄弟とか、差別とか・・・・考えさせられる内容でした。TBSの鶴瓶の番組「Aスタジオ」のアシスタントをしていた本田翼さんの成長した演技者としての姿に出会えたのも良かったです。